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【ここでしかできない留学】ロンドン大学東洋アフリカ研究学院 (SOAS) 宇田川藍佳さん

ICUには海外の提携校で1年間学ぶことができるという交換留学制度があり、現在も多くのICU生が世界中の大学で勉強している。皆それぞれが現地でしかできない経験をして多くの刺激を受けていることだろう。そこで、Weekly GIANTS Co.は「ここでしかできない留学」をテーマに世界中に留学しているICU生からの留学に関する記事をお届けする。第三回はイギリスのロンドン大学東洋アフリカ研究学院 (通称: SOAS)に留学中の宇田川藍佳(ID19)さんだ。(※内容は再構成済み)

▲SOASキャンパス内のJunior Common Roomと宇田川さん

ーー最初に、宇田川さんが感じているロンドンの魅力について教えてください。

“London is this type of place – you’ll either love it or hate it.”

ロンドンに着いて間もなく、大学で出会った友人がにやにやしながらこう教えてくれました。以前2回ほどロンドンを訪れていたわたしは、それほどの興奮も興味もロンドンには持ち合わせておらず、また東京での暮らしに疲れてしまっていたため大都市には辟易していて、「ああ、これは絶対嫌いになる」と少し絶望的な気持ちになったのを覚えています。

が、しかし、こちらでの生活も三ヶ月目。あの時の絶望はなんだったのか、今の気持ちは、イギリス英語の言い回しで言えば「ロンドン、そんなに悪くないかも!」

ロンドンに対して「そんなに悪くないかも」と思った理由は山ほどありますが、何よりも、ロンドンは多様性の街であるということ。ロンドンは人種的・文化的に多様な街として有名で、生活していて常に感じることです。例えば、授業が終わった17時、大学から住んでいる大学寮へ向かう途中に出会うのは、まず目につく大学の屋上でたなびくレインボーフラッグ、四川料理の独特なスパイスの匂い、そこから聞こえてくるフランス語、カフェでMacbookを開くヒップスターたちの身にまとう鮮やかな黄色とホームレスたちの灰色。ロンドンには、それらがそれぞれ混ざり合うことなく共存しているという雰囲気があります。誰もが他人に無関心であるといえばそうですし、それは人種的・階級的「分離」とも捉えられます。しかし東京と違うところは、何か特定の「〜らしさ」を体現することを人から求められないところだと思います。わたしは日本国籍で戸籍上では女性の大学生ですが、ロンドンでは多くの場合、どのレベルのコミュニケーションにおいても、「大学生」の「日本人」「女性」として振る舞うことが期待されていないと感じます。全ての人が特定のイメージに縛られない何者かになることができるこの雰囲気は、面白いことに、わたしがロンドンに帰属しても良いのだと安心させてくれる理由になっています。ですが、現実には差別的な発言や行動は存在しますし、そもそもロンドンへの帰属することができる点について安心できるのもわたしが差別の対象とならずロンドンでの生活を楽しめる社会的地位にいるということの裏返しにすぎないとも思います。もしかしたら、帰る頃にはロンドンが大嫌いになっているかもしれません……。

 

ーーSOASでの学生生活について教えて下さい。

「大都市嫌いのわたしがなぜロンドンを選んだか?」その答えは全てSOASにあります。当校は1916年に設立され、イギリスの帝国主義を知の側面から支えていたという歴史的背景を持ちます。現在、SOASは大学のカリキュラムや制度の脱植民地化をすすめようとしていて、私が今学期履修している授業では、脱植民地主義やその歴史を一つの観点として国際政治や文学作品を分析しています。日本の政治学の教科書では一章割かれるさえも珍しい「脱植民地主義」ですが、その思想・実践は旧植民地のエリートや大衆の普遍的解放を目指した理想と多くの犠牲を伴った現実が積み重なった大きな潮流であり、この観点で歴史をあたらめて眺めてみると、大きな驚きがあります。

また、何よりもSOASの魅力は学生にあると感じています。学生部(Student Union)は多様な代表の役職を設立し、学生の意見をできる限り吸収しようとしています。また、毎学期2回ずつ学生のための会議を開き、そこで学生から出された大学に対する提案や批判を討論し審議し大学に提出しています。ちなみに、昨年の教員ストライキ後に提出された修士学生の学位取得のための論文提出時期の変更に関する提案は大学側から承認され、実際に効果があったと聞きました。実際に学生部の会議に参加してみると、参加者こそ多くはないものの、そこには会議の形骸化はみられず、学生が熱く議論を交わしている光景がありました。また、政治的・社会的活動に能動的に参加する学生がICUに比べて多いように感じます。例えば、環境問題の植民地主義やクィア政治などに興味をもつ学生がそれぞれサークルを組織し、頻繁にイベントやミーティングを開いています。授業にとどまらず意見を発信し、連帯することを重視している学生の姿にはとても励まされますし、ICUでの自身のあり方を再考させられます。

わたしのSOASキャンパスでのお気に入りの場所は、カラフルな絵と自作のチラシで埋められたJunior Common Roomと呼ばれる共有スペースです。記事冒頭の写真はここで撮影しました。朝にはコーヒーを片手に授業の準備をする人、昼時には友達と待ち合わせして一緒に昼食をとる人、そして夕方になると授業終わりにビールグラスを傾ける人で賑わいます。ここでみられる自由で有機的な学生同士の繋がりはまさにSOASを象徴しているかのようで、素敵だなと思います。

 

ーー学外の生活について教えて下さい。

◆運動

不定期で週に2回程度友人とジョギングしています。彼女は修士課程の学生なのですが、9月にヨガのクラスで彼女が話しかけてくれたことがきっかけで仲良くなりました。走りながらお互いの近況報告、恋愛、政治やフェミニズムについて話しています。ジョギングコースは主に、Regen’s Park、ロンドンが見渡せるPrimrose Hill、そしてエンジェル駅近くのカラフルなボートハウスが連なる運河の周辺です。特に、休日の晴れた朝の運河はとっても美しいです。下の写真はジョギング中にその運河で撮りました。

▲宇田川さんのジョギングコースの運河

◆旅行

イギリスの冬は暗く、ビタミンDを求めてイギリスから逃亡したくなることもあります。そんな時、ロンドンの空港からは多くの地域に直行便が運行されていて、加えてLCCのフライトが多く就航しているので便利です。わたしはこれまでスイスとオランダに行きましたが、航空券はそれぞれ5,000円、12,000円程度でした。

◆不便な点

ロンドンにも不便な点は多くあります。例えば、バスが時間通りに来ることはめったにないですし、自転車は歩行者を親の仇にしているかのごとく道角を飛び出してきます。また、物価が高いのでパブでも酔うに酔えません……。

 

ーー最後に一言あればお願いします!

参考にならない可能性の高いような内容での寄稿になってしまいましたが、少しでも読者の皆さんの留学準備の手助けとなることができれば幸いです。SOASでの交換留学、「そんなに悪くない」のでおすすめです。