【新入生歓迎特集】教職課程事始め

 教職課程とは、教員となるための免許取得を目指すコースであり、ICUでは原則的に中学校及び高等学校の一種免許状の両方の取得を求められる。これは、中等教育の場で、より採用されやすいようになることを見据えてのことである。通常、他大学では学部の特質に連関して取得できる免許の教科に制限があるが、ICUは教養学部のみが設置されているために、国語、社会、地理歴史、公民、数学、理科、情報、外国語(英語)に加えて宗教と、教科の選択肢に幅がある。制度上、複数教科に跨いでの取得が可能であるが、その分学生の忙しさが格段に増すことは言うまでもない。

 さて、教職課程を履修するにはどうすれば良いのか。教務グループが毎年の春学期と秋学期に開催する教職課程説明会に参加しないと、残念ながらスタート地点にすら立てない。新型コロナウイルスの今後の状況から考えるに、説明会がオンラインとなることは必至であろう。何れにせよ、教職課程というものは、非常に煩雑である上に多忙でしかないということに尽きる。ただでさえ、他大学に比しても学業において「忙しい」と言われるICUで本課程の履修を希望する者は、教員に余程なりたいという者か、就職のセーフティーネットとしての資格が欲しいという者に限られるであろう。因みに筆者は後者の口である。

 それでは筆者自身の話に移ろう。筆者はID22(3年生)であり、現在英語科の免許取得を志望している。だが、その一方で主専攻(メジャー)は政治学にすると決めているので、2019年度の1年間は堪え難きを堪えながら、忸怩たる思いで、政治学以外のメジャーの基礎科目(ファンデ)をせっせと受講してきた。本来の興味とは異なる教科の教職免許取得を希望するとは、筆者のことを単なる阿呆ではないかと思われるだろう。確かに、阿呆ではないかとふと思う時もある。しかし、教員となるならば母校以外には就職の口として眼中にない筆者にとって、英語科を選択することは非常に現実的なのである。であるからと言って、筆者個人としては、やはり艱難辛苦の極致も極致なのだ。というのも、前言の通り、メジャー選択等において決して欲しくもないファンデや200番台の単位ばかりが積みあがっていくのである。確かに、教員免許の取得という視点に立てば、数々の言語学やら何やらの単位が必要であるということには論を待たない。しかしながら、精神面においてはとても健康であるとは言い難い。ただ、選択科目(エレクティブ)が早々に埋まるのは喜ばしいことこの上ないのであろう。

 2020年度の履修計画を立て始める頃であろうから、特にID24の読者を念頭に、以降は筆者が2018年度と2019年度に履修した教職関連の講座について記していきたいと思う。

 ※各講座の表記は、講座を提供するメジャーの略称、講座番号、講座名、開講学期としている。また、EDUは教育学、LEDは言語学、LITは文学、PSYは心理学、GESは一般教育科目(社会科学)、HPEは保健体育の略称である。そして、開講学期の表記は、春・秋・冬の英語表記における頭文字を採用し、それぞれS、A、Wとしてある。なお、〔評価基準〕は筆者受講当時のものであり、これを参考程度に付す。担当者交代の講座は随意2020年度のシラバスを参照されたい。

EDU115 教育原理(2019S)

 2020年度は担当が交代する模様なので〔評価基準〕は割愛。

 正直なところ、本講座は俗に言う楽単なのだが、開講時間が月水金の1限ということもあって、遅刻及び居眠りしがちとなってしまった。授業の終わりに課される小テストは電子機器を含むオープンブックであり、ネットの検索をかければ満点必至である。学期末レポートのテーマは「学びとは何か」だったのだが、筆者はひたすら母校の教育を賛美していた記憶がある。これは、単に書き易かったから母校を賛美したに過ぎないのであしからず。2019年度までは教職主任の大川洋先生が担当していたが、来年度からは別の教員となるようである。担当教員が変われば、講義内容も一変する可能性があるので、注意が必要である。

EDU116 教職原論:中等教育研究入門(2018W) 

※2019年度以降は「教職原論」に改称

〔評価基準〕プロジェクト課題 40%:中間プロジェクト 20% および最終プロジェクト 20%、グループワーク 20%、プレゼンテーション 20%、授業への貢献度 20%

 担当は、佐藤千津先生である。シラバスを参照をすると評価基準は上記の通りであるが、実際上の評価の過半は学期末のグループ発表であったと記憶する。ひたすら佐藤先生の講義を聞くという、興味関心を惹く講座ではなかった印象だが、教職課程履修者にとっては必修講座であることは忘れないでいただきたい。最終発表は、各班に割り当てられたテーマに基づく調べものをし、ポスター掲示をして行う。そして、自班の発表とともに、他班の評価も行う。肝心の先生は一度も筆者たちの班が発表をしていた会場に現れなかったのだが、どの様にして学生発表の評価を正当に下したのか、正直疑問である。会場は2つに分かれていたので、もう一方の会場にいたのだろうか。

EDU214 特別活動論(2019S)

 〔評価基準〕出席・討論 10%、小レポート 40%、レポート 50%。

 担当の水口洋先生はとにかく優しい。その一言に尽きる。週2コマの講座で、前半は部活動、ホームルーム、学校行事等の学校における特別活動に関する講義である。そして、後半は講義内容を踏まえて予め決められた班の中で、自己の学校経験を基にグループ・ディスカッションを行うという構成となっている。各回の講義で提出を要求される小レポートを提出し、真面目に受講すれば問題なくA評価を得ることは非常に容易である。

LED231 言語教育のための英語学(2019S)

 2020年度は担当が交代する模様なので〔評価基準〕は割愛。

 担当の守屋靖代先生は、元気溌剌としていてその語り口も軽妙である。飽きさせない授業が気に入ってしまって、筆者が通年で先生の講座を受けるきっかけとなったのが本講座であった。毎回の出席と教科書内にある重要語句を取り上げる小テストを上手く乗り越えれば、評価Aは問題なく頂けよう。

LED232 英語史Ⅰ(2019A)

〔評価基準〕中間試験 40%、期末試験 60%、欠席・遅刻で減点

 守屋靖代先生による、英語史の概観を掴むための入門講座。理由のない欠席や10分を超える遅刻は減点対象となるが、守屋先生の活力と守屋節連発の講義を受ければ自主休講をしたいという学生はいないのでは、と思う。何個も講義を受けていると同じ内容の話を何度も聞くのはご愛嬌。古英語の歌詞を見ながら受講生全員で合唱したり、映画『マイ・フェア・レディ』を観たりと、非常に楽しい講座であった。2020年度は英語史Ⅰは開講されるが、続く英語史Ⅱは同年度に開講されないことは注意されたい。

LED233 英語科教育法Ⅰ(2019A)、

LED234 英語科教育法Ⅱ(2019W)

※LED102 言語教授法原論(日本語ないしは英語開講)を履修ののち、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの順で受講しなければならない。なお、LED102の単位は英語科教職の単位には含まれない。

 2020年度は担当が交代する模様なので〔評価基準〕は割愛。

 富山真知子先生の最終講座となったこの2つの講座は、英語科の教職免許取得を希望する人にとっては必修科目である。Ⅰは学習指導要領に主軸を置き、世間一般の英語学習や学校現場における英語の授業等の英語に関する幅広いテーマについて講義とディスカッションを行い、学期終盤には予め班分けした学生たちによる教科書研究と教科書開発の発表が行われる。Ⅰを受講した学生でなければ履修できないⅡでは、具体的な教授法や授業運営、生徒の評価方法といった、Ⅰよりも踏み込んだ内容となる。学期終盤では、Ⅰ同様に班別の学生発表が行われ、講座内で用いる教科書を基にした英語4技能(話す、聞く、書く、読む)の解説とその技能を用いたマイクロ・ティーチング(時間及び人数を減らした小規模授業のこと)の実演がテーマである。双方ともに、相当量の学習と学生発表準備を要し、先生の評価もかなり厳しかったという印象である。

LED331 英語史Ⅱ(2019W) ※2021年度に開講予定

〔評価基準〕リサーチ・ペーパー(Oxford English Dictionaryを参照し、単語を1つ選択した上で分析を行う)50点、中間試験100点、期末レポート100点、課題・グループワーク等(+α)

 英語史Ⅰに続き、担当は守屋靖代先生である。筆者は、言語学を専攻する気が全くもって無かったのだが、単純に守屋先生のファンと化してしまったので受講した。英語史をさらったⅠに対して、Ⅱではクリスマス・正月休暇に入るまではOxford English Dictionary(OED)の取り扱いや、収録単語をどの様に分析していけば良いのか、といった説明や実践演習が行われる。年明け後は、教科書を用いた本格的な英語史の講義となり、主に英語史において大変重要な転換点や、興味深いと先生が考えた事項を取り扱う。日本語開講ではあるが、リサーチ・ペーパーは英語で書く必要がある。また、期末レポートは日本語と英語の混交か英語のみでの執筆を選択できるが、先生は、「今までの受講生は皆さん英語で書いてくる。素晴らしい!」とおっしゃる。それを聞いた筆者は、「英語での提出をしろ」と先生は言外に匂わせているのだと受け取ったのだ。因みに、期末レポートのテーマは「英語におけるアラビア語の貢献」である。

LIT106 英文学史Ⅰ(2019S)

〔評価基準〕出席 10%、リサーチ・エクササイズ 10%、詩の暗唱披露 20%、詩の現代語訳課題 30%、期末試験 30%。

 カナダ育ちの英国人であるクリストファー・サイモンズ先生が英国訛りの発話に努めようとするも、なかなか上手くいかないのはご愛嬌。先生が選りすぐった文学作品とその各時代背景を絡めた解説と英文学の技法等の基礎知識に関する講義が主である。取り上げられる作品は事前に読む必要があるが、邦訳版も併せて読むと理解が容易くなるであろう。また、学期後半には数回に渡ってシェークスピアの『十二夜』の映画版を鑑賞した。詩の暗唱披露が学期終盤にあるのだが、発表順は挙手制である。披露を終えた学生が徐々に増える中で、機を見て手を挙げるという行為は、あまり心臓に良くないこと請け合いである。評点分配の観点から、課題を満遍なく行うことをお勧めする。                         

PSY102 生徒指導論・進路指導論 (2019A)

〔評価基準〕中間レポート 30%、期末レポート 50%、出席・コメントシート 20%

 担当の西村馨先生による授業。朝に弱い筆者にとっては目をこすりながら1、2限の講座を受けるのは正直辛かった。授業の約半分をロールプレイイング(役割演技、高度な「おままごと」だと理解しやすい)に使うというのは、心理学メジャーに全く興味のない筆者にとって、「何の修行だ」という憤りさえ覚えさせたと同時に、これは教員の怠慢ではないかという、私の人格を疑わせる要らぬ考えを掻き立てさせたことだけ付言しよう。筆者が、初めての当日土壇場休講を経験したのもこの講座である。「担当教員が連絡なく30分以上遅刻する場合は、その授業は休講」というルールが存在することを知ることが出来たことは意義深かった。(休講措置については、ehandbookの「休講/事故・災害・ストライキ等への対応」の項目に記載されているのでそこを参照されたい。)

PSY272 教育相談(2019W)

〔評価基準〕中間レポート 30%、期末レポート 50%、出席・コメントシート 20%

 西村馨先生が上記講座と同様に同時間帯を担当。講座名と扱う内容は異なるが、大まかな講座構成や運営は変わらない。

GES019 日本国憲法(2019A)

〔評価基準〕コメントシート 20%、中間レポート 35%、授業内期末試験 45%、適宜の裁判傍聴(任意)に行った際のレポート提出(その経験を授業内で話すことも可能)又は最高裁判決の分析レポート 約10%の加点

 春学期にも同名の講座が開講されているが、筆者が受講したのは秋学期の寺田麻佑先生によるものである。終始iPadやパソコンに目を落として講義ノートを音読しながら授業を行う姿に、筆者も当初は先生の技量に不安を覚えた。しかし、学生への真摯な姿勢を持っているということを筆者の先輩から耳にして以降は、電子機器に不慣れな姿や学生の目を見ないままにマイクを手渡してくるその姿も、愛くるしいなと思えてきたのである。実際、Moodleには積極的に法学関連の情報を掲載したり、加点措置を講じたりと学生に対しての一種の優しさも感じられた。先生はただ単に学問に対してひた向きなのであり、学生に媚びる講義はもはや必要ないのではないかと筆者に思わせるに至った。裁判傍聴レポートは任意提出であるが、是非とも裁判を傍聴していただきたい。語弊を恐れずに言えば、日常生活では目にすることが無いであろう世界を裁判傍聴を通して見ることが出来るのだ。

HPE003 体育理論(2018A)

〔評価基準〕期末レポート 80%、クイズ・ コメントシート・出席 20%

 清水安夫先生による週1コマの講座である。履修登録日(レジ日)に先生のオフィスを見れば想像に難くないのだが、話好きな先生の辞書には「時間管理」の4文字はないようである。しかしながら、大変に人が良く、憎めない先生であるということも付け加えたい。また、「体育理論」と称しながらも、学期の半分近くは震災対策の話で占められていたので震災関連の事柄について詳しくなるというおまけ付きである。毎回サンダルを履いて講義に参加していた筆者は、毎度のように「地震が起きたら避難時に困るよ」と突っこまれ、未だにキャンパスで出会うと声をかけられるという黒歴史の始まりでもある。1単位の割には、期末レポートにしっかりと取り組むとかなりの労力を要するので、その点においては注意が必要である。

 ICUで取得できる資格の中でも教職課程は、学生の履修科目の多くを自動的に決定し、卒業要件の単位数を楽に満たしてくれる。加えて、課程を修了すれば中学・高校の第一種教員免許を一挙に取得できるのだ。しかし、決められたレールに従って履修を進めるのは想像以上に辛いものである。教職課程を志望する学生は1年次の頃から一定数いるのだが、2年次の終わりまでには徐々にその数を減らしていく。筆者のように親との誓い貫徹するか、教師になるという余程の意気込みがない限り、教職課程は好きな学問を学び、4年間での大学卒業をしたい者にとっての足枷ともなりかねないのだ、ということを最後に忠言しよう。

【棟梁】