新傾向!ICU入試直前 総合教養(ATLAS)の確認と対策-Part 2
|ATLASの新傾向
2021年度の総合教養(ATLAS)では新傾向の問題が出題された。本稿では総合教養の入試問題がどのように変化しているのかを検証し、その対策法を考えていきたい。なお、総合教養の試験の構成などの基本情報は昨年度の記事に記したので、そちらを参照した上で、本稿をお読みいただけると幸いである。
昨年度記事: ICU入試直前! 総合教養(ATLAS)の試験形式の確認と対策
新傾向1 知識問題が減って読解と聴解の問題が増えた
2021年度の総合教養では放送と資料の内容理解を問う問題の出題が増えている。2020年度と2021年度の総合教養の問題を読解問題、聴解問題、その他の問題に分類し、それぞれの割合を以下のグラフに示した。
グラフに示されるように、2020年度では読解問題と聴解問題の出題は全体の約半分(52.5%)にとどまっていたが、2021年度ではその割合が約75%まで増加している。つまり、講義を聞き、資料を読んで、その理解を問う「内容理解」の問題が全体の大半を占めている。その一方で、講義や本文の理解とは直接関係のない知識問題や計算問題など題は減少している。
内容理解の出題の割合が増えたので、講義や資料をしっかりと聞き、読んだ上でその内容が理解できていれば高得点が期待できる構成であると言える。その反面、読解問題の出題が増えたことで、以前よりは回答に時間がかかる事が予想される。よって、制限時間と時間配分に留意した上で試験に臨みたいところである。
新傾向2 Part 4も読解問題の出題が増えた
総合教養のPart 4では自然科学に関する問題が出題される。例年Part 4は知識問題や演算問題等が中心で、資料の読解問題はあまり出題されない傾向があったが、2021年度の出題では10問中4問が読解問題であった。よって、文系の受験生であっても資料をきちんと読めば答えられる問題が増えている。Part 4の自然科学は総合教養の問題冊子の最後の箇所に登場するので、最後まで諦めずに解いていきたい。
Part4の出題の変化
読解問題 | 知識問題 | 判断推理 | 演算等 | 合計 | |
2021 Part 4 | 4 | 3 | 1 | 2 | 10 |
2020 Part 4 | 1 | 5 | 2 | 2 | 10 |
新傾向3 Part2, 3でも放送講義に関する問題が出題された
従来のATLASの出題では、講義と各資料(論文)は同じ話題を取り扱っているものの、それぞれのPartは独立して出題されており、講義の内容はPart 1以外では問われることは基本的にはなかった。しかし2021年度のATLASではPart 2とPart 3で講義の内容と資料(論文)の関係性を問う問題が出題された。
よって従来のようにPart1の問題さえ解いてしまえば冒頭の放送講義の内容は忘れてもよいというものではなく、Part2以降でも講義の内容が再度問われる可能性がある事を覚えておきたい。特にメモ冊子に放送講義のメモを取る際は、講義の内容を思い出せるように、メモの取り方を工夫するとよいだろう。
放送時間や文章量は従来通り
2021年度総合教養で放送された講義の長さは約17分であった。2020年度は約15分であったため、2分ほど放送時間が長くなっている。過去の出題を検証すると2019年度も約17分の放送であったため、放送時間は概ね変化していないと言えるだろう。
一方、2021年度の総合教養のPart2,3,4で出題された資料(主として学術的な論文)の文字数の合計は約8,800文字であった。この文字数は2020年度とほぼ同等であったため、こちらも従前の形式を継承している。
ただし先に述べたように2021年度の出題では、Part4も読解問題が複数出題されていたため、実際に読む必要がある資料の分量は以前の出題より増えている。実際の試験でもPart4まで資料を読むことを想定して、時間配分をしたい。
総合教養の年度別の放送時間と回答時間
試験時間 | 講義の放送時間 | 講義放送後の回答時間 | |
2019 | 80分00秒 | 17分03秒 | 62分57秒 |
2020 | 80分00秒 | 14分55秒 | 65分05秒 |
2021 | 80分00秒 | 17分17秒 | 62分43秒 |
総合教養 各資料(論文)の文字数
Part2(人文科学) | Part3(社会科学) | Part4(自然科学) | 合計 | |
2020 | 2930 | 2650 | 3180 | 8760 |
2021 | 3059 | 2700 | 3042 | 8801 |
出題分類
以下のグラフは2021年度総合教養の出題の分類の構成比を示したものである。全体の約半分が読解問題、放送に関連した問題は全体の25.5%(講義と資料の関係を問う問題を含む)出題されており、内容理解の問題が多いことが分かる。昨年度は知識問題などその他の問題が多かったので、年度によって構成が変わる可能性がある。
読解問題 | 知識問題 | 聴解問題 | 判断推理 | 演算等 | 聴解+読解 | 合計 | |
Part 1 | 0 | 1 | 9 | 0 | 0 | 0 | 10 |
Part 2 | 9 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 10 |
Part 3 | 7 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 10 |
Part 4 | 4 | 3 | 0 | 1 | 2 | 0 | 10 |
合計 | 20 | 5 | 9 | 2 | 2 | 2 | 40 |
まとめ
以上を踏まえた総合教養(ATLAS)のまとめは以下の通りである。
1. 昨年度の総合教養では内容理解の問題が増えた。特に理系の問題が出題されるPart 4でも読解の問題が増えたため、文系の受験生でも資料をしっかりと読めば解ける問題が増えており、理系の問題であっても最後まで諦めないで解くことが大切。その反面、以前は読まなくてもよかったPart 4の資料を含め、読解問題の回答に際して読まなくてはいけない資料の分量は増えているので、時間配分には気をつける。
2. 従来は放送講義の内容はPart 1でしか問われなかったが、昨年度はPart 2, 3で講義の内容と資料の関係性を問う問題が出題された。Part 1以外でも講義の内容が問われる可能性があるので、放送講義中はしっかりとメモを取る。
3. 分野横断型試験の特性上、総合教養では今後も受験者の柔軟な発想を試すような新傾向の問題が出題される可能性があるので、過去問とは違う問題が出されても臨機応変に対応する。
演習と対策
総合教養はICU独自の試験であるので、形式に慣れる上で、まずは1年度分解いておくことが受験対策として大変有効である。まだ解いていない人はICUの公式サイトで公開されているのでダウンロードして解いてみよう。残念ながら赤本を含めて総合教養の解答は公開されていないものの、1度解いておくだけでも試験形式が把握できるので、制限時間を計りながら試験本番を想定した総合教養の演習をやっておきたい。
また、総合教養の対策をさらにやっておきたいという言う場合はオンラインでの学習が効率的である。筆者の運営するオンラインレクチャーでは総合教養の全過去問の演習が可能であり、英語や人文・社会科学も過去30年分以上の解答・解説が用意されている。
(筆者はWG OBでICU入試情報サイト「BUCHOのICU受験対策」を運営。「ICU BUCHO」で検索)。
【BUCHO】