【寄稿】[TIPS]Office365のいらないアプリを消す方法
|2015年度以来、ICU(国際基督教大学)ITセンターはマイクロソフト社との契約に基づき、学生全員にMicrosoft Office 365(ProPlus)を供給している。最近、新たにOffice 2016が使えるようになった。インストールの方法自体は、すでにPortalで詳しく説明されている。もっとも、供用開始から1年が経過しているため、もう利用している読者の方が多数かもしれない。
ところが、このOfficeにはひとつの重大な欠点がある。Word、Excel、PowerPoinなどの個別のOfficeアプリを選択してインストール・アンインストールすることができないのだ。自宅のデスクトップパソコンで利用する分には問題ないかもしれないが、最近ますます普及しつつあるWindowsタブレットでOfficeを利用したい場合には、もともと少ない保存領域を圧迫する。利用しないOfficeアプリを消去すれば、当然ながらその分の空き容量が得られる。
そこでこの記事では、あまり知られていない、ICUのOffice 365を必要なアプリを選んでカスタムインストールする方法を紹介する。また、既にOfficeをインストールしている場合にも、以下の方法で必要でないアプリを削除することができるので、空き容量にお悩みの読者にはお役に立てるかもしれない。
必要なもの
- Google移行済みのKerberos ID
- Windowsが搭載されたパソコン・タブレット(記事ではWindows10 Home を前提としている)
- 2GB程度の空き容量
- 70分程度の時間(退屈な講義をつぶすにはぴったりだ!)
- 「Office 365展開ツール」をダウンロードする
今回の方法では、ICU Portalにアクセスする必要はない。マイクロソフト社から直接、Office 365展開ツールを入手しよう。
Office 365展開ツール(英語) | ダウンロード |
ダウンロードが完了したら、さっそく実行して好きな場所にファイルを展開しよう。ただし、パス(=アドレス、ファイルの場所を示す文字列)に日本語や全角英数が含まれるような場所はおすすめできない。
- configuration.xmlを編集する
展開先のフォルダを開くと、中にsetup.exeとconfiguration.xmlを見つけることができるはずだ。このファイルをメモ帳で開き、中身を編集する必要がある。
ひとまず、もっともメジャーであると思われるWord、Excel、PowerPointの組み合わせにするためには、以下の文字列をコピーし、既存の内容を置き換えるだけでよい。
<Configuration>
<Add OfficeClientEdition=”32″ Branch=”Current”>
<Product ID=”O365ProPlusRetail” >
<Language ID=”ja-jp” />
<ExcludeApp ID=”Publisher” />
<ExcludeApp ID=”InfoPath” />
<ExcludeApp ID=”Access” />
<ExcludeApp ID=”Outlook” />
<ExcludeApp ID=”Lync” />
<ExcludeApp ID=”Groove” />
<ExcludeApp ID=”Project” />
<ExcludeApp ID=”SharePointDesigner” />
<ExcludeApp ID=”Visio” />
<ExcludeApp ID=”OneNote” />
</Product>
</Add>
</Configuration>
Office365は、必要とするアプリではなく必要としないアプリを指定する仕様になっている。だから、上記の3つのアプリ以外の名前を列挙したconfiguration.xmlを作成すれば、名前が挙がらなかった3つのアプリだけがインストールされる。もしAccessやOneNoteが必要なら、それぞれの行を削除するだけでよい。
- Windows OSが32ビット版なのか64ビット版なのかを確認する
configuration.xmlのなかに、”OfficeClientEdtion=”という文字列があることにお気づきだろうか。ここには、所持しているWindowsのOSが32ビット版か64ビット版かによって、入れるべき数値が変わってくる。ふつうは64ビットだが、タブレットや古いパソコンでは稀に32ビットのものがある。必要に応じて確認しよう。
OfficeClientEdition | 値 |
32ビット版の場合 | 32 |
64ビット版の場合 | 64 |
64ビット版は32ビット版に対して上位互換の関係にある。そのため、とりあえず32にしておけばインストールに失敗すると言うことはない。ただし、64ビット版のシステムであれば64ビット版のOfficeを利用したほうが本来の処理速度を発揮できるため、より快適に使えるはずだ。
ちなみに、”ja-jp”の部分を”en-us”にすれば英語版が、”de-de”にすればドイツ語版をインストールすることができる。
ここまで終わったら、configuration.xmlを保存して閉じてしまおう。
- コマンドプロンプトを管理者権限で実行する
WindowsのCUI(コマンド・ユーザー・インターフェース)であるコマンドプロンプトなるものを、管理者権限を与えて実行する必要がある。スタートメニューから「すべてのアプリ」へと進み、さらに「Windowsシステムツール」のなかに発見できるはずだ。右クリックし、「管理者権限で実行」しよう。
- 【新規インストールの場合】コマンドプロンプトを利用してインストールを開始する
真っ黒なコマンドプロンプトの画面が現れたら、以下のようにコマンドを入力していこう。最新のWindowsであれば、右クリックするだけで貼り付けができる。
cd [展開先のフォルダ]
(展開先のフォルダが”C:\Users\kerberos \Desktop\office”であれば”cd C:\Users\kerberos \Desktop\office”とする)
展開先のフォルダのパスが左側に表示されるようになるはずだ。それが確認できたら、
setup /download configuration.xml
と続けよう。しばらく時間がかかるが、この間にOfficeのインストールに必要なファイルがダウンロードされる。珈琲を片手に、ゆっくり待機しよう。
場合によって、しばらく経過してから何かしらのエラーが発生することがある。configuration.xmlに間違いがないことさえ確かなら、とにかくパソコンを再起動しよう。理由なくエラーが発生する症状がしばしば見られているようだ。実際、筆者も成功するまでに3回ほど再起動をかける必要があった。
コマンドプロンプトが再び入力を受け付ける状態になり、configuration.xmlがある展開先のフォルダに新しいフォルダが作られた形跡があったら、無事完了したということだ。あとは【既にOffice2016がインストールされている場合】と同様の作業なので、このまま6項へと読み進めてほしい。
- 【既にOffice2016がインストールされている場合】
※ここでいう「既にインストールされている場合」とは、あくまでOffice 2016がインストールされている状態のことだ。もしまだOffice 2013を利用しているなら、いったんアンインストールした上で新規インストールの手順を踏む必要がある。
既にインストールをしたことがある場合は、インストールファイルのダウンロードは必要はない。コマンドプロンプトに、以下のコマンドを入力しよう。
setup /configure configuration.xml
直ちに赤い、直後に白い画面が現れ、Officeのインストールが始まるはずだ。このときに出てくるアプリのロゴが現在インストールされているアプリのロゴなので、もし間違いがあったらキャンセルし、configuration.xmlを修正してからもう一度繰り返そう。
インストールが完了したとの通知が現れたら、もう作業は終わりだ。容量を節約するため、展開先のフォルダはまとめて削除してしまおう。Officeを起動するとOffice 365へのログインを求められるので、Kerberos IDを入力しよう。
ICU Portalの手順に従ってすべてのアプリをインストールした場合、Office 365は3GB弱の保存領域を消費する。しかし、この方法で、Word、Excel、PowerPointのみをインストールすれば、なんと1GBに抑えることができる。
チリも積もれば山となる。来る春学期に向けて、部屋だけでなくパソコンも整理しておくというのも、また悪くない時間の使い方かもしれない。
Article by Shimon Maeda, 181219