ICU高校からICUに進学するには

 

 この記事では、ICU高校(国際基督教大学高等学校)の生徒はどのようにICUに進学していくのかということについて主に述べていきたいと思う。本記事はICU高校からICUへ推薦入試を通して進学した現役のICU生である筆者が自らの体験に基づいて記したものである。家に残っていた推薦入試の試験要項などを参照しながらできるだけ正確に本記事を執筆したものの、あくまで主観に基づく個人的な体験談としてご紹介させて頂ければ幸いだ。また、過去に行われた推薦入試なので、これから行われる推薦入試とは異なる点があるかもしれない。その点はご容赦願いたい。

 帰国生徒入試に合格しICU高校に入学した筆者は、指定校推薦入学試験を通してICUに入学した。いわゆる「ハイ上がり」と呼ばれるICU生の多くが筆者と同じようにICUに推薦試験を通じて進学している。ICU高校はICUと同じ学校法人国際基督教大学の組織の一つではあるが、ICUの付属校ではない。ICU高校の生徒はICUに内部進学するのではなくて、あくまでICUの教養学部がICU高校に対して1学年約240人にあたり80名分の推薦枠を指定しており、その枠を使ってICU高校の生徒がICUへ進学していくのだ。推薦入試には「一般推薦」と「帰国生徒推薦」の二つがあり前者では高校での評定の平均が3.8以上であることが、後者ではICU高校の定める「帰国生徒」に該当し、その上で成績の評定平均が3.8以上であるか、アメリカの大学入学で使われるSATという試験で一定以上の成績を納めていることが求められる。しかし、この「一般推薦」と「帰国生徒推薦」の二つの出願枠を生徒が出願時に指定するわけではないので、実のところ、「帰国生徒」であった筆者がどちらの枠で合格したのかはわからない。

 ICU高校の生徒がICUへの推薦試験に出願して合格を得ることは特段難しいことではない。秋頃にはICU高校で推薦入試の試験要項が配布され、9月末に希望者は高校に出願書を提出する。高校による校内推薦を受けた後、今度は10月の末ごろに大学へ出願書類を提出する。筆者はSATを受験したことがなかったので、高校での成績と評定平均値が記された調査書、推薦状や入学願書などを提出した。入学願書は受験者の履歴書のようなものなのだが、ICUで学びたいことや、日英両言語で受験者の人生観に影響を与えた事柄について長文で記述を求められる欄がある。この欄に書く内容については考えを巡らせる必要があったが、ICU入学後に授業で課される課題の負担に比べたら易しいものであろう。書類を提出してから1ヶ月ほどした11月末には合否が判明する。筆者が出願した年の推薦入試ではICU高校からの受験者は不合格となる者はいなかった。かくして、筆者の大学受験はつつがなく終わったのである。

 11月末に大学受験を終えたものの、筆者は某大手予備校に12月までなんとなく通い続けた。しかし、さすがに冬期講習に参加する気にはなれなかったので、代わりに自動車教習所に通うことに決めた。世の高校3年生が受験勉強に励む中、筆者は冬空の下、クリスマス当日もせっせと教官を横に乗せてマニュアル車と格闘していたのだった。そうこうしているうちに2ヶ月を消費し、3月に無事運転免許を取得した頃には受験シーズンは終わっていた。

 正直言って筆者の大学受験で大変なことは特に無かった。むしろ大学入学後の現在の方が大変なくらいである。筆者はつい最近までICUの入試問題を見たことすらなかったが、多くの「ハイ上がり」の学生も筆者と同じようにICUの入試問題について特に知らないのだろうと推測している。また、ICU高校では一般受験をする生徒、特に理系の生徒が数多くの授業を履修しているのに対し、ICUへの推薦合格を希望する生徒は、決して全員ではないが、履修する科目を少なめに設定することによって、良い評定を得て推薦入試の出願への準備をするような傾向があるように見受けられた。実際のところ、必ずしも全てのICU高校出身者が這い上がってICUへ入学したと断言することはできないだろう。これが筆者の大学受験の感想である。

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