6/2シンポジウム「”ここ”の歴史へ ー幻のジェットエンジン、語るー」学生企画メンバーの思いとは

6月2日に開催される歴史学シンポジウム「“ここ”の歴史へ ー幻のジェットエンジン、語るー」に向けて独自の企画を進めている学生たちがいる。このICU史における大発見に対し、彼らはどのような企画を、どのような思いで計画しているのだろうか。その活動を知るべく、企画者の一人であるID19宇田川藍佳さんにお話を伺った。(※インタビューは再構成済み)

 

ーー本学生企画の概要と目的を教えてください。

私たちは、シンポジウムで5ヶ月間構想・制作してきたドキュメンタリーフィルムを発表します。

ドキュメンタリーフィルムでは、本企画の一部として開催した藤原洋さんのキャンパスツアーを中心に、私たち学生がICUの、戦争の、そして個人の歴史にどう向き合うべきか考えます。藤原洋さんは、運輸局の航空機検査官を務めたのち、現在航空ジャーナリスト協会の顧問を務めている飛行機の「プロ」です。そんな藤原さんがICUの前身である中島飛行機三鷹研究所を訪れたのは、なんと太平洋戦争終戦の二日後でした。そこで彼が目撃したのは、現在の牧歌的な雰囲気のICUキャンパスからは想像もつかない光景の数々でした。「藤原さんが何を見て何を感じたのか知りたい」と考えた私たちは、先月20日に藤原さんをICUキャンパスにお招きして学生の参加できるキャンパスツアーを開きました。

本企画の目的は、二つあります。第一に、本シンポジウムのテーマのひとつでもある「歴史の継承」について考えることです。特にICUという場で生まれた個人の歴史を残すことにどのような意味があるのか、また意味があるとすれば私たち学生は何を「すべき」なのか、という問いに有志学生自身が何かしらの答えを見つけることができたらと思います。第二に、その思考の成果をシンポジウム参加者に発表・発信し、今後の学生間の思考・議論を促進することです。

 

ーーどのように準備をすすめていますか?

本企画の企画者は、5人の有志学生です。もともと私しかメンバーがいなかったのですが、ドキュメンタリーフィルムの授業で本館建替問題についての映画を製作していた片山大暉さんを誘ったことがきっかけで、最終的に5人集まりました。IDは19が3名と20が2名であり、就職活動や留学準備、サークル活動などで忙しい学年です。したがって、出来ることを出来る時期に分担しながら、各々の自主性・自発性を尊重して準備をすすめています。

また、私たちはドキュメンタリー映画を発表しますが、実は映像に詳しい学生は一人もいません。しかし、分からないなりに試行錯誤しながら進めてきました。

 

ーー宇田川さんや他のメンバーの方がこの企画を通して得た気づきや学びがあれば教えてください。

私たち有志学生は、本企画を通して、先ほど説明したような問いに答えることを目的として活動してきました。したがって、6月2日当日に発表するドキュメンタリー映画でそのような気づきや学びを共有したいと思っています。是非、当日はみなさんに会場に足を運んでいただきたいです。

 

ーー最後にICU生に向けてメッセージをお願いします。

個人的な話ですが、私は2年生のときからキャンパスグランドデザイン計画・本館建て替え問題について興味があり、オープンフォーラムなどに出席してきました。そのなかで強く感じたのは、本館建て替えに関する学校側の説明における歴史的視点の欠如と、それに関する学生の「無関心」でした。学生のなかには、「より快適な環境で授業を受けたい」「いや、この本館の雰囲気が好きだ」など様々な意見があるでしょう。しかし、最終的にどの道を私たちが選択するにしても、私たちは、「私たちの選択」が何を意味するのか、十分に知っておく必要があるのではないでしょうか。このような意味で、私は今回の学生企画、さらにシンポジウムは、現在のICU生の直面している問題(キャンパスグランドデザイン計画・本館建て替え問題)に繋がるアクチュアリティを持つと考えます。

今回の企画がきっかけになって、今後のICU生の議論がより豊かになればいいなと思います。

 

ーーありがとうございました。