ICU生の告白が集まる場
ICU confessions 運営者インタビュー
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ICU生の間で話題沸騰中のSNSプラットフォーム「ICU confessions」(icuconfessions)。Instagramの総フォロワー数は1200を超え、総投稿数も約2600にも及ぶ(2021年6月26日現在)。その名の通り、ICU生のconfession(告白)を完全匿名で投稿していくこのアカウントには、毎日のように様々な内容のconfessionが寄せられる。授業やサークルなど大学生活に関わる投稿はもちろん、鬱、過去のトラウマ、性の悩み、恋愛事情など、非常にセンシティブな内容を含む投稿も存在する。このコンセプトが学生たちから絶大な人気を集め、今では多くのICU生に認知されているICU confessions。しかし、その運営者や運営方法、企画の目的などについての情報は、あまり知られていない。そこで今回、我々はICU confessionsの運営者とコンタクトをとり、完全匿名性という条件のもと文面を通じてインタビューを実施する機会を得た。ICU confessionsの真の目的や今後の展望とは。
――ICU confessionsを始めたきっかけを教えてください。
匿名性を利用して、普段ICU生がどんなことを考え、どんなことを感じているのかを知りたいと思ったことです。
――以前、メンタルヘルスの情報をシェアしていました。ICU confessions を始めたきっかけは、運営者さんの過去の経験が関係しているのですか。
「心の健康」というテーマが、友達とも家族とも話しにくいものだと感じたことが背景にあります。ICU Confessionsという場が、心の負担を減らし、メンタルヘルスへの理解を深めることに貢献出来たらと思いました。このこともあり、まずはメンタルヘルスについて話しやすい環境やマインドを作ることを目的に、*my storyという企画を始めました。
※ my story: 決まったテーマについて自分の経験談を共有する企画。my storyの共有日には、体験談と簡単な知識を投稿している。あらゆるテーマへの理解を深めることが目的。
――活動の目的を教えてください。
目的は2つあります。まず第一に、普段話せないような内容を安心して発信できる場を設けることです。人によっては、思いを溜め込みすぎて心が疲れてしまうこともあると思います。しかし、ICU confessionsでは名前、ID、ジェンダーなどでジャッジされる心配はありません。このプラットフォームが、フィルターの裏にある自分の気持ちや状況をさらけ出し、抱えていることを吐き出せてスッキリできる場になれればいいなと思います!
第二の目的は、センシティブな話題への理解を深めることです。当事者の話を聞くだけでも、その問題で悩んでいる存在がいることを知り、理解を深め、今まであった誤解を解くことができると思っています。いろんな考え方のconfessionを見ることで、皆さんの視野を広げるきっかけになれば嬉しいです。
――運営者の方は何者ですか。
誰でしょう? 皆さんのご想像にお任せます。あなたの隣にいるかもしれません。
――運営の方が今までで一番印象に残っている投稿は何ですか。
一番最初の投稿です。3000投稿ほど遡って見てみてください。
――寄せられた投稿を載せる以外に、今後やりたい活動はありますか。
実際にやっていることは、confessions reactという、confessionに対して匿名で意見交換をする企画です。LINEのオープンチャット機能を利用し、5、6人でディスカッションできます。まだ一度しか開催していませんが、不定期で今後も開催する予定です。それ以外にもキャンパスでのconfessionなど色々考えていますので、楽しみにしていてください!
また、confessionに対して議論をしたい人が多いと思います。現在投稿へコメントが中々付かない原因は、コメント欄には匿名性が存在しないからなので、匿名性を保った形で議論ができる場を設けたいです。confessions reactがこの取り組みの一つですが、参加人数や時間に制限がない議論の方法も模索しています。
――活動の規模がどんどん大きくなってきたと思いますが、どんなことが大変で、どんなことにやりがいを感じますか。
他団体と交流ができることや、今後どんな新しい企画に挑戦するかについて考えることにやりがいを感じます。それに、毎日新しい視点を持ったconfessionが投稿されることも嬉しいですし、アカウントへのアドバイスや感謝・応援の言葉を頂けたときは、学生みんなでこのアカウントを成長させているような気がして楽しいです。
一方で、友達にバレないようにすることや、投稿する際の審査が大変です。審査については、はっきりとした基準を設けることが難しいため、投稿するたびに頭を悩ませています。
――最近*TW(トリガーワーニング)がついた内容の投稿が不適切なのではという議論があったようですが、内容の規制などについてはどうお考えですか?
さまざまな議論がある中で、全てのconfessionに手を加えず、同等に取り上げたいという気持ちがあったのでTWの挿入に関しては正直悩みました。表現の自由への介入かどうかという点や見た者に与える影響を考慮しながら、特に性、暴力、自殺、犯罪行為のconfessionに関してTWを設けることにしました。一言でも写真一枚でも、一部の人の気分を悪くさせるかもしれない可能性があるなら、みんなが安全で楽しめるようにする方がいいという決断に至りました。
その一方で、TWをつけて敢えて扱いづらい社会問題を発信する理由は、人々の考え方に影響を与えることができると感じているからです。これらの情報を提供することは、助けを求めることや自分自身、そして周囲の人々を気遣うことの大切さを強調したり、希望のメッセージを伝える機会にもなると思っています。また、TWを挿入すること以外にも、支援サービスから援助を受ける方法を提供すること、友人や家族などからの支援は重要な価値があることを示すこと、適切な言葉を用いることなどを実施しています。
※ TW: 注意喚起・警告
――以前、Humans of ICUの中で、運営者の方が「周りの友達に言わず始めた」と語っていました。もし仲の良い友達がこの記事を読んでいたら、何か伝えたいことはありますか?
会話の種としてICU confessionsのことが登場すると、内心喜んでます!
――人気の高まりにより、今後さらに投稿頻度が多くなることが予想されますが、それに伴い運営の方針などを少しずつ変えていく考えはありますか。
現在は投稿数を1日に30投稿前後と決めています。今のところ、この方針を変える予定はありません。この投稿数が私たちの限界でもあり、見ている方にもちょうどいい数だと感じています。
――最後に、読者の方にメッセージがあれば教えてください。
アカウントをはじめた当初は、confessionが来なかったらどうしようという不安が大きかったですが、思った以上の反響がありびっくりしました。運営の精神状態を心配してくださり、ありがとうございます。自分達は場所を提供しているだけで、コンテンツを作り上げているのはICUのコミュニティみなさんです。これからもよろしくお願いいたします!
――ありがとうございました。 【氏原拳汰】
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