SEAプログラム体験記 McGill University編

ICUの数ある留学プログラムのなかに、夏期休暇を利用した海外英語研修(Study English Abroad)プログラム、略してSEAプログラムがある。現在は多くの1、2年生がこのプログラムに参加し、さまざまな国の大学で語学研修に臨んでいる真っ最中だ。
WGでは前回に引き続き、いま現在シープロに参加し、海外にいる記者による現地からのリポートを連載する。
今回は、カナダのMcGill Universityでのプログラムに参加しているJさん(ID19)からの報告を紹介したい。

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筆者は6月27日、おそらくSEAプロの各プログラムの中では最も早く日本を出発した。マギル大学は新規校であるという不安と期待、途中飛行機の遅延などもありながら、なんとかたどり着いた。以下はそこで6週間過ごした感想である。

▲歴史ある建物が並ぶマギル大学のキャンパス
▲歴史ある建物が並ぶマギル大学のキャンパス

マギル大学はカナダの東端ケベック州最大の都市モントリオールにある。ここではフランス語が公用語であるが、フランス語と英語とがうまい具合に共存していて面白い。移⺠も様々な国から来ているので、多様性は本当に豊かである。モントリオールでは地下鉄やバスが発達しているので自由自在に市内を回れるのだが、街並みが端麗で、多くの博物館や美術館、歴史的建造物があり、とても6週間ですべてを見ることはできなかった。また商業施設、遊園地などがあり、市内探索をしているだけでも飽きることはない。さらにトロントやナイアガラの滝などへ私費ではあるが週末を利用していくことも可能である。

▲モントリオールのランドマーク・大聖堂
▲モントリオールのランドマーク・大聖堂
▲休日に訪れたナイアガラの滝
▲休日に訪れたナイアガラの滝

マギル大学での6週間はホームステイでの生活となる。ホームステイ先により当たりはずれが大きいものである。筆者の場合、はじめ1週間の家庭では家族が家におらず、食事もまともに出なかったため、コーディネーターに相談してホストファミリーを変えてもらった。引っ越した先のホストマザーはとても親切で、美味しい食事を3食作ってくれ、会話する機会も多かった。発音の練習に1時間付き合ってもらったこともある。ホームステイで会話力が鍛えられたと言っても過言ではないだろう。このようにホームステイ先が納得いかなかった時は、コーディネーターに積極的に相談に⾏くべきである。

授業は大学側のクラス分けにしたがって他の学生と一緒に受ける。クラスやレベルにもよるが、筆者のクラスはメキシコ系、アラブ系が多かったように思う。また移住して長い時間が経っているにもかかわらず英語が苦手というクラスメートも何⼈かいた。年齢も自分たちと同じ20歳前後から50代までと幅広く、多様性という面では満足のいくものであった。 筆者のクラスでは教師2人が文法、リスニング、スピーキング、ライティング、リーディングをそれぞれ分担して授業を持っていた。リーディングでは毎週課題として本を読んでくるのだが、要領の悪い筆者には相当な重荷であった。文法の授業は他の研修校と同じくそこまで難しいものではなかったが、ネイティブの人たちの考え方を知るという点では大変有意義なものだ。また毎週ライティングの課題が出され、プレゼンの課題もあった。プレゼンを他の学生とやり遂げたときは大きな達成感が得られ、絆が深まったように思う。授業最終週には期末試験が⾏われたが、その結果は少し心配だ。

マギルの最大の特徴が最終週に行われる「Montreal in Depth」と呼ばれるプログラムである。これはICUが3つのグループに分かれてそれぞれの観点からモントリオールについて学んでいくというものだ。筆者の参加した「Meals on Wheels」というグループでは様々な事情により料理ができない高齢者に食事を届けるボランティア活動に取り組んだ。どのように都市で農業を⾏っているのか、またどんな人々が暮らしているのかということについてなど、学ぶことは多かった。

モントリオールは様々な文化が共存するとても面白い都市であり、ここで6週間を過ごせたことを本当に嬉しく思う。英語だけではなく、多⽂化社会、カナダの歴史、そういったものについて多くを学ぶことができた。また海外で英語を使うという経験のなかった筆者にとって、生活の場で英語を使わざるを得ない状況の中にいることで会話や発音が上達していくことを実感できた。新規研修校ではあったが、本当に満足いくものであった。ICUには来年以降もマギル大学への派遣を継続していただきたいものである。そして来年の新入生にもSEAプロを、いやマギルを強く勧めたい。

▲様々な文化が共存するモントリオール
▲様々な文化が共存するモントリオール