【ここでしかできない留学】カリフォルニア大学サンタバーバラ校 泉川みなみさん
|ICUには海外の提携校で1年間学ぶことができる交換留学制度があり、現在も多くのICU生が世界中の大学で勉強している。それぞれが現地でしかできない経験を通して、多くの刺激を受けていることだろう。そこで、Weekly GIANTS Co.の記者が「ここでしかできない留学」をテーマに世界中に留学しているICU生へのインタビュー企画をお届けする。第二回となる今回はアメリカのカリフォルニア大学サンタバーバラ校 (以下: UCSB) に留学中の泉川みなみさん(ID20) だ。(※インタビューは再構成済み)
ーー最初に現在留学している地域と大学について簡単に教えて下さい。
南カルフォルニア(通称: Socal)は暖かい気候と人の多様性に富んでいることで知られています。UCSBが拠点とするサンタバーバラという街はロサンゼルスから車で2時間ほどの位置にあり、カルフォルニア屈指の美しい山や海に囲まれているリゾート地としても知られています。この美しい環境にキャンパスがあることから、UCSBは「天国に一番近いキャンパス」と呼ばれており、キャンパスの美しさや人気度のランキングなどでも常に上位にある大学です。また、大学の特徴としては、UC Berkeley、UC Los Angeles に次いで3番目に設立された州立総合大学で、学生たちも明るくフレンドリーでフランクな人が多い印象があります。
UCSB周辺の学生街はIsla Vistaと言い、学生はもちろん、飲食店やシェアハウス、アパートなどで溢れています。多くの学生は自分のシェアハウスから自転車や、スケートボードで通学しているため、朝や帰宅時間にはものすごいスピードで自転車やスケートボードが行き交っています。金曜日を全休にしている学生が多いため、木曜日から週末にかけては非常に賑やかで、音なども気にせずパーティがいろんなところで開催されています。
ーー泉川さんが感じている留学先の魅力はなんですか?
UCSBの一番の魅力は、やはりキャンパスの美しさだと思います。大学の中にプライベートビーチやラグーンがあって、その美しさには目を見張るものがあります。勉強や日常でうまくいかないことがあっても、海を見渡せばリフレッシュできますし、夕焼けや星空を見ると自然の広大さに感動します。また自然に溢れていて暖かいせいか、人ものんびりしている気がします。東京の喧騒とは似ても似つかず、みんな授業の合間や後にビーチに行ったり、ハイキングをしたりするなど、有意義に自分の時間を過ごしているイメージです。
ーー現地での大学生活について教えて下さい。
今学期、私が履修しているのは、社会学の授業を2つと、教育学の授業1つです。どれもとにかくリーディングが多く、一週間に合計300ページ以上出ることもよくあります。なかなかリーディングが多くてついていくのが大変ですが、どの授業も先生の話が面白く、授業を聞いていて退屈することはありません。授業を受けるうえで気づいた学業に関連することを紹介しようと思います。
まず、最初に授業で驚いたのは、最初の自己紹介の時に”preferred pronoun” を聞かれることです。みんな「自分はsheやheで認識されたい」などジェンダーの自己主張をしており、それが自己紹介に含まれるという概念に驚きました。また、授業を受けていくうえで気づいたのが、アメリカという国に深く根付く人種の概念についてです。今までも人種差別についてや、人種のトピックはICUの授業を通しデータや事実としては理解しているつもりでした。しかし、アメリカに実際に来てみると日本で私が感じていた以上に授業でも人種の話は頻繁に上がり、様々な人種の学生がいる教室の中で”white priviledge” (白人の特権)や、”colored” (有色人種)の人たちのトピックが頻繁に話し合われます。人種と貧困や人種差別など、人種がアメリカの社会問題に深く関連していることを身をもって感じました。
もう一つこちらの学生と日本の学生で違うと感じた点は、「自立」についてです。アメリカでは18歳から成人としてみなされ、いろんな意味で親から自立するという文化を感じました。UCは州立大学であるため、様々な家庭環境の学生が集まっているせいもあるかもしれませんが、実家から大学に通う学生はほぼいないですし、大学では自分の意思で学び、経済的にも自立している学生が数多くいます。例えば、大学の授業料や寮費、生活費なども全て奨学金や自分で稼いだお金でやりくりしている学生も多く、授業が終わればアルバイトなどの仕事にすぐ向かったり、深夜まで働く学生もいます。日本ではみんな交際費のためにアルバイトをしている人が多いイメージでしたが、こちらでは生きるために働いている学生に多く出会いました。そのため、アメリカ人の友達に、「日本では家賃と学費の両方を払う親も少なくはないよ」と言うと驚かれました。家庭の境遇がどうであろうと、自分で生きるお金を稼いで勉強をするアメリカ人の友人らはたくましいと感じるばかりです。他にも、子供がいる学生がクラスに何人かいて、自分の子どもを大学のDay Care (保育所)に預けながら、子育てと学業を両立しています。同年代と思われるクラスメイトに聞いたところ、2人の子どもを育てながら、学校に通っていると言っていました。「家に帰れば子どもの面倒をみて、その後に自分の課題をするので全然夜は寝られない」や「成績が落ちると子育て支援が打ち切られるので勉強も頑張らないといけない」と言っていて、私よりはるかに大きい責任を抱えて日々を過ごしていると感じました。改めて自分がいかに恵まれているかを実感するきっかけになりました。
ーー現地での生活について教えて下さい。
こちらの生活で良い点は、世界中から留学生が来ているので、いろんな国の人と出会えることです。また、こちらの学生はみんな勉強とパーティを両立しているので、平日はしっかり勉強をして、週末からは思いっきり遊ぶといった生活スタイルが面白いです。また、便利な点としては、大学のIDを持っていればバスに無料で乗れるので、ダウンタウンなどにもアクセスがしやすいことです。ただ交通機関がバスしかないため、スーパーの買い出しや少し足を伸ばしたい時に車がないとかなり不便です。
ーー最後に一言あればお願いします。
留学することで、一旦日本での日常から離れて新しいことにチャレンジしたり、自分について考えるきっかけや時間が増えたように思います。また、留学先での多様性のレベルは日本で経験できるものではなかったので、新しい気づきや経験をできただけでも留学してよかったと思っています。留学するメリット・デメリットは人によるかもしれませんが、私の体験が誰かの考えるきっかけや参考になれば嬉しいです。もし留学に興味がある人や、留学を迷っている人がいれば気軽に連絡してください!
ーーありがとうございました。
次回は、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院 (SOAS) に留学しているICU生へのインタビューをお届けする予定だ。乞うご期待。