ICU生有志が本館前で抗議活動:混迷するガザ情勢に対して私たちは何ができるか
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2023年10月7日、イスラム組織ハマスがガザ地区に近いイスラエル側での音楽フェスティバルを襲い、参加者を虐殺・拉致した。手元のスマホには、武装した人物が血だらけの女性を拉致し、恐怖の中で若者たちが逃げ惑う映像が幾度となく流れ、帰り道の電車の中ひとり呆然と立ち尽くした。
しかし、これに対してイスラエル軍が報復し、民間人を含む10000人以上がガザ地区で殺害されている。そのうちの4000人以上は子どもだ。現地の記者が必死に更新するSNSは、あまりに残酷なガザ地区の様子と人々の悲しみ、叫び、嘆き、恐怖で満ちている。パレスチナから遠く離れた日本の「国際」と名のつく大学の学生のひとりとして、どのようにこの状況と向き合えば良いのだろう。
ICUではこの人道危機に思いを寄せる学部生、大学院生など数十名がLINEグループ「Peace Discussion」に集まり、キャンパス内で静かな抗議活動を行っている。またこのグループチャットは、パレスチナ問題に関係する学内外の講義やデモ等の情報を共有する場ともなっている。以下、運営メンバーの一人であるSara Jariさん(25)からこのグループについて、この状況について書面でメッセージをいただいた。
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It wasn’t only me actually. Me and my friends went to a protest in Shinjuku, and there I met my friend’s friend who is a graduate student and we all thought that we should do something at ICU. So we made a group (a small one that was just a group of friends) to discuss what we can do at ICU. We kept inviting friends who were also concerned about the humanitarian crisis in Gaza and the group kept growing!
訳:実際は私だけではありませんでした。私を含めた数人の友人たちとともに新宿でのデモに参加しました。そこには、私の友人の友人の大学院生もいて、私たちはICUで何かするべきだと思いました。そこで、私たちがICUで一体何ができるかについて話し合うために(ほんの小さな内輪だけの)グループを作りました。この人道危機に関心を持つ友人たちも招待し続けて、グループの輪はますます広がりました。
2023年11月13日現在、グループのメンバーは既に100人を超えている。この活動の広がりの背景には、大学がこの問題に対して公式な声明を出していないことも関係しているかもしれない。Saraさんは更にこう続ける。
Of course, as people who initiated the idea, we have a responsibility of keeping the group working, so we separated roles like those who will be responsible for contacting ICU, emailing them, and talking about guest lecturers. And those who contact students and plan events on campus like protests and lunch talks. …and there are many other students that are doing a great job behind the scenes.
訳:もちろんこのグループを機能させ続ける責任が、私たち発起人にはあります。そのために、ある人は大学と連絡をとったりゲストが来ることを伝えたりしてICUとの繋がりを保ち、ある人はキャンパス内での抗議活動やランチトークを計画し学生同士を繋げる、というように役割分担をしています。…さらに、もっと多くの学生たちがこの活動を支えてくれています。
10名前後の学生が運営しているこのグループの中でも、Saraさんは特に学生への啓発活動に従事している。一人でも多くのICU生にパレスチナ・イスラエルの現状を知ってほしいーーこうした強い意志が、Saraさんをはじめとした学生たちを突き動かしている。
So regarding the group, we all united for one message, Peace! Regardless of our backgrounds, beliefs, political views, we all wanted the war to stop. We don’t want innocent people and innocent children to die and suffer, so we called for peace. At ICU, we have people from different backgrounds. Arabs, Israelis, Muslims, Christians, Jews, people from all around the world! So we didn’t want to make any of them uncomfortable or unsafe, so tried to be very respectful in our solidarity stands and the posters we had.
We are all there as Humans.
訳:このグループにおいて、私たちは「平和」というただ一つのメッセージのもとにひとつです。それぞれのバックグラウンド、信仰、政治的見解に関係なく、私たちはただ戦争が終息することを願っています。無辜の人々と子どもの命が奪われ、苦しむことを私たちは望んでいません。平和を望んでいるのです。ICUは、アラブ人、イスラエル人、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒など、世界中の多様なバックグラウンドを持つ学生たちの集まりです。もちろんその中の一人でも不快に感じたり、恐怖感を抱いたりしてほしくなかったので、この連帯の姿勢やポスターなどでは深く礼節を重んじるよう努めました。
私たちは皆、「人間」としてこの地に生きているのです。
今この瞬間も私たちと同じ人間が、この地上で必死に命をつむごうとしていることを決して忘れてはいけない。この記事が、今世界で起きているあらゆる戦争や紛争に対して私たちが関心を持ち続ける原動力となれば幸いである。平和というひとつの願いを込めて。【Olivia】