楽園に生える禁断の果実たち
|皆さんは今、この自然溢れる楽園(ICUのキャンパス)で、多くの果実類が食べ頃を迎えていることをご存知だろうか?
学内には、ぎんなんや栗、ウメなどといった、学生なら誰もが目にしたことのある果樹の他にも、タケノコやミカン、ナッツ類などといった四季折々の「食料」が存在する。
今回は、筆者が今までに食してきたICU内の自生植物をレポートしたい。
ウメ
毎年6月頃、ばか山周辺に植えられたウメが、たわわに実っているのを見たことがある方も多いだろう。
しかし、ICUでは、毎年設置される看板のとおり、学生が木を「叩いたり」「揺すったり」して、ウメの実を採集してはいけないことになっている。聞くところによると、これは教会のバザー等で売るためだそうだ。
そこで、筆者はたまたま落ちていたウメを使って、シロップ漬けを作ってみた。ウメと砂糖のみで作った梅のシロップ漬けは、パンにつけたり、ブランデーに垂らしたりして消費した。梅が口の中でとろとろと溶け、とても美味しいシロップだったので、来年もまた作ってみようと思う。
真竹
ウメと同様に、タケノコもまた、管財グループ(以下:管財)によって採集が禁止されている。
だが、春になると、学内の至るところに「真竹」というタケノコらしきものが生えているのをご存知だろうか。
全長30センチくらいのこのタケノコは、何層もの皮に覆われており、それを次々と剥いていくと、親指ほどの可食部分が現れる。今回は鍋の具材として煮込んだが、シャキシャキとした食感が楽しめた。
サンショウ
泰山荘周辺に生えている、細長く丸い葉が特徴の細い低木がサンショウの木である。
その実は、ちりめん山椒などの佃煮などにされることが多いが、春になると出てくる若芽は実よりも香りが高く、鍋のスパイスには最高だった。
ノビル
本館西側出口の、シーベリーチャペル周辺には、春になるとノビルが生える。
細長いネギのような葉を注意深く探し、その根本を掘っていくと、丸い真珠のような輝きを放つノビルの可食部分が現れる。これも真竹やサンショウとともに、鍋で煮込んだ。らっきょうのような食感と、ピリッと辛い味が鍋全体を引き締めていた。
ミカン
理学館の北側出口にはミカンの木があるのをご存知だろうか?
もともとは研究のために植えられたものだが、毎年少し小ぶりの可愛らしいミカンがたわわに実る。
季節になると、理学館住民はもちろん本部棟の方たちも自由に食べているらしい。勉強の疲れにお1ついかがだろうか。
リンゴ
ILC側の理学館正面玄関近くに植えられている木が、リンゴの木である。
これは小石川植物園から株分けされたニュートンのリンゴで、ミカン同様、研究のために植えられたものだという。
日本で栽培されているリンゴのほとんどは、同じ木の花粉から結実しないため、対策として他のリンゴの木が植えられた。花の咲く時期にズレがあるため、結局なかなかリンゴを拝むことができないようだ。
カヤ
泰山荘入り口には、カヤの木がある。カヤの実は柔らかい果実に覆われており、その中にある固い殻に覆われたアーモンド状の実の胚部分が可食部だ。
胚はドングリ同様、そのままではアクが強く食べられないが、アク抜きをするとドングリ以上に美味しいおやつとなる。
独特の爽やかな味が、癖になること間違いなしだ。また、泰山荘にはクリも落ちているので、授業終わりに栗拾いをするのも、秋を感じられて楽しいかもしれない。
いかがだっただろうか? ICUには、今回紹介した食物の他にも自然薯やフキ、柿、キクラゲといったさまざまなものが存在する。管財によれば、ウメとタケノコ以外の採集は特に規制しておらず「常識の範囲内で」採集可能とのことだ。「収穫の秋」はこれからが本番だ。皆さんも、たまにはスーパーマーケットの代わりにICUの森へと足を運んで、狩猟採集時代に思いを馳せてみてはいかがだろうか。