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【夏期留学プログラム体験記】ベルリン自由大学

ICUでは留学を志す学生のために、様々なプログラムが用意されている。今回筆者が参加した夏期留学プログラムもそのうちのひとつで、約1ヶ月間海外の大学で授業を受けて単位取得を目指すものである。この記事では、ドイツのベルリン自由大学で勉強した筆者が現地での生活や授業について詳しくレポートし、プログラムを通して得られたことや、フレッシュマンSEAプログラムと比較して感じたことをまとめてお伝えしたい。

 

授業について

▲授業が行われるキャンパス

 

授業は、ドイツ語を学ぶGerman Language Coursesと、それ以外のSubject Coursesに分かれており、そこから事前に1~2つ選択することになっている。2つ選択したら余裕がなくなったと去年の参加者から聞いていたので、Subject Coursesから ”Law, Society and Politics in Comparative Perspective” という授業を1つ履修することにした。結論から言うと、私の場合は2つ取らなくて正解だった。なぜなら、1週間に2日しか授業がないにもかかわらず毎回とんでもない量の予習課題が課せられ、その上4~6ページ程のエッセイを2本と最終日の筆記テストの準備をしなければならなかったからだ。もちろん英語力に自信がある学生やドイツ語も学びたい学生は2つ授業を取ってもこなすことはできると思うが、少なくとも語学の面から見て余裕がないと相当厳しいのではないだろうか。

 

▲授業内の遠足の様子

 

授業形式は教授のレクチャーが中心で、意見のある学生が自由に発言して討論するスタイルだった。また、授業の一環で合わせて3回の遠足もあり、政治犯を収容していた監獄や、歴史博物館などにも足を運んだ。合計17人のクラスはカリフォルニア大学バークレー校の学生が数名と、ロシア、ブラジル、トルコ、中国、韓国など様々な国籍の学生が集い、お互いの文化の多様さをポジティブにとらえた和気あいあいとした雰囲気の中で授業が進められた。日本人学生はクラスに筆者1人で、プログラム全体でもおそらく7~8人であったと記憶している。そのため、英語に触れる時間が多く、特にスピーキングやリスニングを磨くためには最適の環境だった。

 

授業は、「法とは何か」を様々な視点から考察していく内容で、リーディング課題として出された文献はマルクスやデュルケーム、服従実験で有名なミルグラムなど多岐に渡った。法学を学んでいる学生も一定数いたが、その他の専攻の学生も多かったため、専門的な内容を掘り下げて学ぶというよりは、そうした学生の多様な視点を生かした法学のイントロダクションに近かった。ただ、直接的には法学と関係のない事柄が出てくることも多く、これまで触れてきたイントロダクションと比べるとより多角的に学ぶことができたように感じた。

 

授業のレベルはというと、筆者にとってはかなり難易度が高かったように感じられた、とだけお伝えしておこう。平たく言えば、英語力が圧倒的に足りないせいでコース全体を通して難易度が高かったのか低かったのか判断をすることが難しい、ということだ。ではその英語力がどの程度か、恥を忍んで触れておくと、6月に受けたTOEICは800点台、そして英検は準1級程度である。ICU生としては全く高いスコアではないことはもちろん自覚しているが、入学当初に比べるとはるかに良くなっているはずの英語も、アカデミックな文脈ではまだまだ足りないのだと痛感させられる貴重な経験になった。もちろん、ネイティブスピーカーの学生も文献の理解に苦労している姿が時折見られたので、決して簡単な内容というわけではないはずだ。そんな中で必死に予習のリーディングに取り組み、エッセイを書き上げたのだから、多少なりとも成長していると信じたい。

 

クラスで1番仲良くなったのは英語のレベルがだいたい同じくらいの韓国からの留学生たちで、彼らとは日本や韓国の政治の話や文化の違い、時にはお互いのボーイフレンドのことも話題になるほど打ち解けることができた。授業が終わってから彼らの寮に遊びに行くと、韓国から持ってきた食材で料理を振舞ってくれることもあり、毎回の授業で彼らと会うのが本当に楽しみだった。授業中に納得できなかった話や課題のことでも助け合う中で、語学力だけではなくコミュニケーション能力自体が磨かれていくことを実感できた。

 

寮生活について

▲寮の個室にはデスクと椅子、ベッドとクローゼットが備え付けられている

 

次に、寮生活について詳しくお伝えしていきたい。筆者が入った寮は学校までバスと電車を2回乗り継いで約45分ほどの位置にあるStudent Villageという寮で、すぐ近くにはスーパーが3つあった。逆に言うと、スーパー以外の店はあまりなかったが、日用品には事欠かなかった。普段はそれらのスーパーで食品を買ってきて寮の共有キッチンで自炊していたが、キッチンはだいたい10人程の学生と共有していたため正直あまり衛生的とは言えず、料理をする気が削がれることも多々あった。そんな時は買ってきたりんごや牛乳、日本から持参したインスタントの味噌汁だけで夕食を済ませ、次の日は学食でしっかり昼食をとることでバランスを取っていた。使った食器が洗われていなかったり、片付けられないまま放置されていたりするキッチンを見て、他の学生に対して不満を覚えることもあった。共有スペースなのはキッチンだけでなくバスルームも同じである。もちろん状況はキッチンと同様、お世辞にも快適とは言えなかった。筆者にできることはただひとつ、誰よりも先にシャワーを浴びることであった。幸いなことに、筆者の寮は比較的夜遅くに帰ってくる学生が多かったため、筆者が学校から帰ってくると誰もいないことが多々あった。そういうわけで、シャワーはほとんどいつも1番にゆっくり使えたのが唯一の救いだった。

 

こうした環境の中でも、自分のスタンダードを押し付けてはいけないと自分自身に言い聞かせることでなんとか心を安定させ、1ヶ月間乗り切った。振り返ってみると、それは日本の実家で暮らしている時には経験することのない、貴重な機会だった。良いことも悪いことも、今回の経験はこの先決して無駄になることはないと信じている。

 

ここまで読んでいただいた皆さんのお察しの通り、筆者が滞在していた寮では学生間の交流は盛んとは言えなかった。同じ国からの留学生は固まって行動していたようだが、他国からの学生同士は比較的ドライな関係だったように思う。筆者の寮に日本人は他にいなかったので、キッチンに居合わせた学生と少し雑談したりすれ違う学生と挨拶を交わす以外は人と話さなかった。常に誰かと行動を共にしたい人にとっては不安な環境かもしれないが、1人でいることが好きな筆者にとってはその環境は苦ではなく、むしろ勉強に集中できて有意義に感じられた。Student Villageには他にあと2人のICU生がいたが、その2人は同じ建物の隣の部屋同士だったそうなので、人によって状況は大きく変わる。どちらにせよ、環境に左右されないように日々自分のすることに集中していれば、十分充実した時間を過ごすことはできるのではないか。

 

SEAプログラムと夏期留学プログラムを比較して

 

筆者はフレッシュマンSEAプログラムにも参加し、イギリスのシェフィールド大学で6週間勉強した。その時と比べて、今回のプログラムはより主体的に動くことが求められていたように思う。ICU生のグループで現地に向かい、授業や寮でも常に周りにICU生やその他の日本人がいたSEAプログラムはとても楽しかったが、どうしても日本人で集まって行動してしまい、日本語を使う時間が多かったことが気になっていた。日本人と常に行動を共にしている安心感からか、主体的に物事を考える機会があまりなかったような気もする。一方、今回はそもそも周りに日本人がいなかったので、必然的に他国の学生とのコミュニケーションが増え、そこでしかできない交流が広がっていった。もちろん日本人の気の置けない友達と旅行を楽しむのも良い経験になるだろう。しかし、せっかくの留学をより有意義なものにするために工夫して生活する努力そのものが、簡単なようでなかなかできないのだと痛感した。それこそ、自分1人で休みの日にどこで何をするか好きなように計画を立て、実行していく中でも、他者の存在を抜きにして自己に向き合う静寂の時間が生まれ、自分がしたいことやすべきことを整理する貴重な機会になった。

 

終わりに

辛いことや我慢しなければいけないことなども含め、本当に実りのあるプログラムであったことをお伝えできただろうか。これから留学に行く皆さんや留学を検討している皆さんができるだけ現地の様子を想像しやすいよう、ありのままを書いたつもりだ。留学と一口で言っても内容は様々であり、さらに学生本人がどのような留学にしたいかによって状況は変わってくる。この記事を読んだ皆さんが、留学に対して積極的に向き合うきっかけとなることを切に願っている。