ICU入試体験記PartⅠ
【2018年度受験者 ver.】

 

 正直に言って、3年生である筆者には受験の記憶は遠くなりつつある。こんなことを言ったら、今受験生であろう読者の方々には冷たい目で見られるかもしれないが、受験なんてそんなものなのである。あんなに大変だった1年間も、その間に詰め込んだ膨大な知識も、ほぼ忘れるのだ。

 ただこんな筆者でも、受験は良い思い出である。勿論当時は毎日のように世を恨み、「あとn日……」と死んだ目で唱えていた。おそらく読者の皆様も、そんな人が大半だろう。でもそれももう終わりである。結果はどうなろうと、まずは長期間努力し続けた皆様を祝したい。

 さて前置きが長くなったが、筆者のICU受験当日の話である。まず前提として、筆者はICUに一切期待をしていなかった。はっきり言うと「落ちても知らん!」と思っていたのである。その理由は、ICUのいわゆる「変人感」にあった。まず、過去問が他大に比べて手に入りにくい。赤本はあれど、完全な形では掲載されていない。いざ解いてみても、他大とは完全に傾向が違う。何をどう対策すれば良いのかわからない……。筆者は元よりリベラルアーツに惹かれていたためICUの志望順位はかなり高かったのだが、過去問を解くたびに「これは対策するのは無理だ……」という思いを強くしていた。

 さらに、筆者はいわゆる英語弱者であった。先程も述べたが、筆者はICUのリベラルアール教育に惹かれて志願したのであって、国際性にはあまり興味がなかったのである。「だから」と言っては言い訳になってしまうが、英語はどうも好きではなく、そして得意ではなかった。事前に解いた過去問の結果は散々であり、最高でやっと5割程度しか得点できなかった様に記憶している。

 こんな状態であるから、筆者は「もうICUは受かったらラッキーでいいや」としか思っていなかった。そんなことよりも、その2日後に控えた他大受験の方が気になっていたくらいである。とにかく、そんな状態で迎えた受験当日であった。

 受験当日の記憶もおぼろげなのだが、確か筆者の年は人文・社会科学(自然科学)、ATLAS、英語の順番であった。筆者は文系であったため、人文・社会科学選択である。この年の人文・社会科学は「方角に関して人々が持つイメージ」というテーマだったように思う。過去問を解いたことのある方は、「あ、あれかな」と思って頂けると幸いだ。この科目に関しては、とりあえず読んでいて楽しかったのを覚えている。問題数が多く、全て解けるか少々不安だったが、ギリギリ間に合った様にも記憶している。読者の皆様にも、この科目に関しては楽しんで頂けると嬉しい。

 筆者にとって問題だったのは、この後の2科目であった。まずATLASは、受験当日まで1回も解いていなかった。公式HPに掲載されたサンプル問題を軽く確認はしていたが、全文掲載でないことに萎え、「もう当日ぶっつけでいいや」と投げ出したのである。実際ぶっつけで解いた当日は、自然科学パートに苦手な光の問題が出され、軽く絶望したのを覚えている。確か計算が全くできず、適当にマークしたはずだ。

 そして(筆者にとっては)最難関の英語である。リスニングは何を言っているかさっぱりわからない。フランス語かと思ったくらいだ。途中から聞く気も失せ、「全部a書きゃどれか当たるだろ……」と思っていた。実際途中からそうした記憶がある。読者の皆様にも、英語に限らず「これは無理だ」と思ったなら、潔く諦めて気持ちを切り替えることをおすすめする。実際、何かしらマークしておけばどれかは当たるのだ。リスニングのみならず、リーディングも悲しい記憶しかない。筆者は、英文に関してはかなり遅読なため、読み終わらないことは覚悟していた。実際、終わらなかった。最後の文法パートはほぼ直感での回答である。

 こんな情けない受験生であったが、蓋を開けてみれば合格していた。浮かれた筆者は残りの他大受験を全て取りやめ、ICUに入学して今に至る。英語弱者はその後、ELA(英語教育プログラム)に揉まれ半泣きになったが、なんだかんだ大学生活を楽しんでいる。

 今、この記事を読んでくださっている貴方が受験生ならば、まずは試験を気軽に受けてほしい。筆者も受験生のとき同じことを言われ「そんなことできるか!」とは思ったが、やはり終わった側からしてみれば、「気軽に受ける」ということはそれなりに重要なのである。わけのわからない問題にぶつかったり、残り時間の少なさに焦ったりしても、とりあえず絶望せず答えていけばなんとかなるのである。

 そしてもし貴方が合格され、他大学と迷ったならば、筆者は入学を強くお勧めしたい。筆者個人としては、この大学に入学してよかったと思っている。そしてもし入学されたならば、新ディッフェンドルファ―記念館3階372号室(Weekly GIANTS Co. 部室)にてお待ちしています。 【まっくろくろすけ】