ICU生はどんな企業に就職しているのか
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諸君は、ICU生の就職先としてどのような企業を思い浮かべるだろうか? 「国際」基督教大学という名の通り、グローバルで語学が活かせる会社が人気を集めていそうだ。しかし、具体的な企業名は知らないという人も多いだろう。
そこで、大学公式サイトに掲載されているデータを用いて、2013年度の卒業生が入社した企業を分析した。なお、最新版のデータが公開されていない場合は、2012年度の数値を使用しているがご了承いただきたい。
(2015年度の就職実績を元にした記事はこちら)
1. 全体の傾向
大学公式サイトの「就職・進学状況」には、2013年度の「業種別就職状況」が掲載されていないため、2012年度のものを分析する。学生が就職した業種は、製造業が21.2%と最も多く、サービス業が17.7%、情報通信業が15.8%と続く。なお、公務に採用された卒業生は1.4%である。製造業に就職する学生が多く、サービス業がそれに続くという構造は、日本の産業構造とあまり差がないように思える。次章では、企業別に就職の動向を検討する。
2. 企業別就職先一覧の分析
昨年度最も多くの卒業生が就職した企業は楽天(8名)である。東洋経済オンラインによれば、楽天は英語公用化が2010年よりなされ、入社するエンジニアは外国人が大多数を占めているそうだ。ICU生にとっては、活躍できる企業の1つであろう。
楽天に続いて就職者が多い企業は、EYアドバイザリーとみずほフィナンシャルグループ(ともに5名)だ。EYアドバイザリーは、コンサルティング企業である。ICU生は、同じくコンサルティング会社の野村総合研究所(3名)やアクセンチュア(2名)、コンサルタント事業も行っているトーマツグループ(4名)にも就職している。語学力と地頭の良さが求められるコンサルタント職も、ICU生の能力を発揮できる職種であると思われる。
また、みずほ以外のメガバンクにも卒業生は入社している。三菱東京UFJ銀行には3名、三菱UFJ信託銀行と三井住友銀行にはともに2名が就職している。メガバンクであれば大規模に新卒採用を行うため、就職するICU生の数も多くなるのであろう。
マスコミを選んだ卒業生もいる。企業別では、朝日新聞社が3名、日本放送協会(NHK)と博報堂がともに2名となっている。MCCや社会学などメディアに関連するメジャーを選ぶ学生が多いだけあって、一定数の学生がマスコミを志望しているようだ。
ICUの学生は、商社にも入社している。卒業生は、丸紅に3名、三菱商事に2名が就職している。グローバルに事業を行う商社もまた、ICU生に選ばれる職種なのである。
3. まとめ
情報通信業に従事する卒業生が多いというのは、時代をよく映しているだろう。今後景気回復が続き、東京オリンピック関連の産業が成長すれば、就職先の傾向も次第に変化していくはずだ。
ICUは小規模な大学であるため、同期に同級生がいない企業がほとんどである。しかし、毎年あるいは数年おきにICU生を定期的に採用している会社もある。また、同窓生が少ないということは、OB・OGとの出会いを大切にしてもらえる可能性が高くなるだろう。採用実績の人数が少なくても、諦めなければ希望は叶うはずだ。
参考文献
国際基督教大学「就職・進学状況」、国際基督教大学『MENU 学生生活・進路 就職・進学』。
http://www.icu.ac.jp/campuslife/career/index.html
(2014.7.31閲覧)
国際基督教大学「2012年度 教養学部卒業生 業種別就職状況」、国際基督教大学『MENU 学生生活・進路 就職・進学 就職・進学状況』。
http://www.icu.ac.jp/campuslife/career/list.html
(2014.8.1閲覧)
佐々木紀彦「楽天の『英語公用語化』は、ヤバいです 楽天・三木谷社長ロングインタビュー(その2)」、東洋経済オンライン 新世代リーダーのためのビジネスサイト『ビジネス 企業戦略』、2014.3.27。
http://toyokeizai.net/articles/-/33821
(2014.7.31閲覧)
東洋経済新聞社『会社四季報 業界地図2014年版』、2013.9。