学内メディア団体インタビュー~第一弾~
Humans of ICU

 本企画はICUに点在するメディア団体に焦点を当て、各団体の魅力を紹介するものだ。第一弾となる本記事は、Instagramやfacebookを主な活動場所とするHumans of ICUの周アンジェラさん、南澤まどかさん、數井麗紗さんにお話を伺った。Humans of ICUは主にICU生をインタビューし、彼らの物語を文字と写真で発信する団体である。インタビューを本業とする彼らにインタビューを申し込んだ筆者は、本記事を書きながらその奥深さを噛みしめている。生きた会話を文字に変換し、かつ読者にもできるだけ余すことなく届ける。実は非常に難しい。インタビューを通して、ICU生と深く向き合い続けている彼らは何を思い活動しているのだろうか。本記事が、読者の関心をHumans of ICUの活動に向けられるものであることを祈っている。

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ーーHumans of ICUを「OO団体」で表すと……?

數井:三人で話した結果、誰でもインタビューされる可能性があることから「ICUのみんなが関連している団体」かな。他の団体だとファッション、企業など共通の分野に興味を持つ人が集まるのに対して、私たちはICUのコミュニティに所属していれば誰でも関連しているような団体だと思います。

ーーHumans of ICUの活動はどの点がユニークか?

周:私は記事として発信する前に相手の話を聞くこと、耳を傾けることが私たちの一番大切な役割だと考えています。私たちにとってインタビュイーは主人公であり、私たち記者は彼らがもつ物語のナレーターなんです。インタビュイーが持つ物語を私たちが「翻訳している」点がユニークかなと思います。あとはインタビューをキャンパス内の人にランダムにお願いすることがあるので、ICUコミュニティの人と積極的にやり取りできる点かな。

數井:うん、すごく”Engaging”だよね。私たちが一方的に動いて書きたい記事を書くのではなくて、電車に人々が乗り降りするように、読者、インタビュイー、そして記者が一本のライン上に隣り合う感じ。

ーー耳を傾けることの重要性とは?

南澤:ICU内のダイバーシティに貢献し、その存在を見せる、” Thrive in diversity; sharing with curiosity”というミッションを昨年作りました。言葉で「ICU生」と言うと、一個のカテゴリーができてしまう。だけど、そこには一人ひとりのストーリーがあります。なので耳を傾けることによって、ICU生それぞれが様々な背景や考えを持って、たまたまICUという一つの場所に集まっているということを伝えられる点が重要だと思います。

數井:私は ”Everyone has a story”、全ての人にその人だけの物語があると信じています。その人が、その人だけの物語を話すためには私たちが耳を傾けることが大切。なので、その人だけにしかない物語を引き出せる点で耳を傾けることはとても重要だと思います。これは結構みんな共通して強く信じてると思うな。

ーー運営陣だからこそ見えるHumans of ICUの魅力とは?

周:私たちは全員がライターなんですけど、それぞれの個性が記事に出るんです。同じインタビューを行っても、ライターが違えば全く違う記事になるほど、Humans of ICUのライターたちの個性が記事に色濃く出ます(笑)。そのHumans of ICUの一人ひとりの個性や要素を、それぞれが記事に出せることが魅力的だと思います。

南澤:インタビューから執筆までの全ての工程を担当者が一人で行うことでインタビュイーと深い関係を築ける点です。実際に本人がインタビュイーから聞いた話を記事にするので、しっかりとした視点から鮮明にインタビュイーの物語を伝えられると思います。

ーー「記事にしたい」と思うのはどんな時か?

數井:私の場合は周りの友達をインタビューする時もあれば、ランダムに「インタビューしたい! 」と思った人に声を掛けることもあります。実際に、オンラインの講義で見かけた面白そうな生徒に声を掛けたこともあります(笑)。

南澤:私は「目がキラキラしている! 」って思う人に声を掛けることが多いです。留学前の学生とか。どこかいつもと違ったり、面白い話をもっていそうだと思う人にインタビューしたくなります。時には、全く話したことがない、バカ山でのんびりしている学生にも面白い話をもっていそうと感じたら声を掛けます。

周:私は、人が何かについて情熱的に話している時に「この人にしか話せないことだから、記事にしないともったいない……! 」と思い立って記事を書きたくなります。

ーーインタビューの質問はあらかじめ用意されているのか?

南澤:私はその人にしかない話に耳を傾けることを重要視しているので、基本的に質問を事前に用意することはありません。インタビュイーの物語を会話の中で掘り下げるようにしてインタビューを行います。

數井:私は相手が知人であれば決まった質問は用意せずに、話の中で出会う、掘り下げたら面白そうなタネを書き留めておいて後で話を振るようにしています。

周:「卒業」など決まったトピックに沿って複数の部員がそれぞれインタビューを行う際は、あらかじめ大筋の質問を決めることはあります。でも、あらかじめ話して決めた質問以外の進行は各部員に任されていて、インタビュイーの物語を引き出せるかは各部員のインタビュー次第です。予想外の話に出会うことが面白い点だと思います。

ーーいつ頃から「その人だけが持つ話」を聞き出せるようになったのか?

數井:私はHumans of ICUに入った時、すごく沈黙がダメな人だったんですよね。誰も話さない時間が本当に無理で。でも、私はまどか(南澤さん)が「沈黙」は全然大丈夫なことで、逆に沈黙の中で自分は話さないで相手がその後に何を出してくれるのかを待つと、意外とそこで面白い話をしてくれる時が多いと教えてくれて。それを聞いて、「あ、そっか~! 」 って思いました。それ以来、沈黙が大好きです(笑)。

南澤:私は、自分がどういうポジションで相手の話を聞いているのかなかなか明確にならずに、悩んでいたことがありました。私に何の権利があってその人の物語を切り取って、紹介するのか、と。でも、それぞれの人が物語をもっていること自体を大切にしようと思い始めたころから、自分の意思を持ってインタビューの中で話を持っていけるようになりました。

周:私は正直、未だに納得のいかないことがあります。今書いている記事も、実はインタビューを二回行ったんです。一回目のインタビューは「その人だけが持つ話」を引き出せていない気がして、考え直してからもう一度インタビューを行いました。全てのインタビューがこうなるわけではありませんが、インタビュイーによってはあります。

ーー文字によって表現する意義とは?

數井:三人で話して至った結論が、積極性がないと記事が読めないことだと思います。動画だと、消極的とまではいかなくても記事ほど頭を動かさないと思うし、記事は読みたいと思わないと関われないものだから。あと、投稿に文字と写真しか用いていないことから、インタビュイーに対する偏見の余地を少なくできることだと思います。ただストーリーを読んで、顔を見て、自分で解釈する、みたいな。

南澤:文字を切り取る作業はどのインタビュー系の団体でも大変な作業だと思いますが、そこが一番難しいところであり、意味があると思います。その人の伝えたい本当の物語が15分のインタビューの中で10秒かもしれない。動画であれば時間という区切りがあるから伝えきれないかもしれないけど、文字ならその人の物語と特定の過去との繋がりなども伝えられる。文字はいつもは見えないものを見えるようにできるので良いと思います。

ーー読者にむけて一言どうぞ!

南澤:コロナ禍において、人と人との直接的な関わりが減ることで学生生活が大きく変化していると思います。今まで会えた人と会えなくなったり、新しい関わりがつくれなかったり。そんな中でも、Humans of ICUが紹介するICU生それぞれの物語を通して、読者の方がICUのコミュニティそのものや、コミュニティにいても関わることがなかった生徒を知ったり、共感したりできる場でありたいと思います。Humans of ICUをICUでの生活の一部として使っていただけたら嬉しいです。

數井:もともとHumans of ICUは、学生にICUコミュニティに属しているという”Belong” 感を伝えるために立ち上がりました。今だからこそHumans of ICUをみんなに使って欲しい、そして読んでほしいと思います。まだキャンパスに来たことがない新入生から卒業生まで、みんなが属するコミュニティとしてのICUを感じて欲しいです。

周:インタビューをするうえで、私はインタビュイーとの出会いはすごくラッキーなご縁だと思っています。これからも頑張っていきたいと思います!

【麒麟】

Humans of ICU

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