公演直前インタビュー! 劇団黄河砂『ハムレット』・16日(土)から公開開始
|シェイクスピアの『ハムレット』といえば、誰しもタイトルを聞いたことがある大変有名な戯曲である。その『ハムレット』の、ICUの学生からなる劇団・劇団黄河砂による舞台がちかく行われる。
この公演は、劇団黄河砂の4年生による、卒業前最後の公演だ。何故卒業公演のタイトルに『ハムレット』が選ばれたのだろうか。演出兼キャストであるID16の飯田雄大さんに、その見どころとともに語ってもらった。
(※インタビューは再構成済み)
−−シェイクスピアの『ハムレット』を舞台にしようと思ったのはなぜですか?
2年前に、シェイクスピアの『マクベス』を、今回も共演する他の16の何人かと一緒に演じたのですが、その時、大変面白かったけれどもうちょっとできることもあったんじゃないかと思っていました。そこで、卒業する前にシェイクスピアをもう一回やりたいと立ち上げました。
また、『ハムレット』は有名なのでキャッチーだし、演じる側も今まで持っていた作品へのイメージがどのように変わるのかを体験できると面白いのかなと思いました。演劇には、脚本を読むだけでなく、実演してみないと分からないことがあり、そこが面白いのです。
−−「もうちょっとできる」と考えられたのはどのような点ですか?
『ハムレット』は古典なので、他の作品と比べ、みんなの解釈が食い違うことが多い作品です。多角的な視点を通じて物語の流れや面白さなどを、もっと引き出せるのではと思いました。
また、ICUでは入学してから演劇を始めた人が多いため、4年間の経験を通し、声の出し方ひとつとっても、さらに深く響かせられるようになっています。一番表現豊かに演じられる部類の戯曲といわれるシェイクスピアを、自分たちの深化した表現力でもう一度挑戦してみたいと考えています。
−−『ハムレット』はシェイクスピアの作品のなかで最も長い戯曲といわれていますが、今回の舞台のシーン選びはどのようにおこないましたか?
シーン選びはとても難しかったです。一般的に『ハムレット』は、「ハムレット一家」を主筋に、「オーフィリアの兄レアティーズ、その父ポローニアスの3人の一家」と、「ノルウェーの王子フォーティーンブラス一家」という3つの話の筋があり、三重構造をとっているといわれています。分かりやすい例を挙げると、ハムレットもレアティーズもフォーティーンブラスも父親を殺されていて、「父親を殺された青年の行動」という類似点があるわけです。
しかし、今回は、いちばん外側の物語をなす、ノルウェー王子フォーティーンブラスの話の筋はすべてカットしています。これはカットした『ハムレット』を映画や演劇にする際の基本形で、ローレンス・オリヴィエ主演の有名な『ハムレット(1948年・イギリス)』や、ピーター・ブルック演出、エイドリアン・レスター主演の舞台作品を参考にさせてもらいました。
主にこの2つの先行作品を基に参考に粗く削って台本をつくったのですが、実際に稽古をしてみると、なぜかうまくいかないシーンが出てきました。「ここは自分から話しかけていく台本になっているけど、どちらかというと話しかけてもらった方がやりやすいんだけど……」という役者の声を受けて、原典を読んでみると、本来は話しかけられるようになっていた部分が、カットによって言いづらい台詞になっていたことがありました。役者が自然に感じるように脚本をつくるシェイクスピアのすごさを体感しましたね。
演劇のはじめは、先行作品を参考にしつつ、文学的に、テーマやプロットに沿って台本の基礎を作っていきますが、最終的に一行一行組み合わせていくのは稽古場です。実際に役者に喋ってもらってから一緒に考える、その作業を2ヶ月続けて、ようやく納得できる台本になってきたと感じています。
実はまだ少し長すぎるので、これから20分ほどカットしなければならないのですが……。
−−演出で一番力を入れていることはなんですか?
役者の演技です。『ハムレット』は古典作品で、時代が経っているぶん、現代の口語演劇とちがい、昔の言葉をそのまましゃべらないといけないという、言葉づかいの難しさがあります。でもただの古典劇としてだけではなく、現実世界にも通用するような厚みのある演技をすることで、生身の人間にしか出せない迫力も表現していきたいと思います。
シェイクスピアの戯曲の言葉を掴んで演技をすると、すごく迫力のあるシーンができてきて、それがとても面白いです。臨場感あるシェイクスピアを、言葉の差、時代の差を乗り越えて魅せようと意気込んでおりますので、ぜひそれを体感してください。
−−最後に公演の意気込みをお願いします。
これは16の卒業公演でもあり、入学当初はほとんど初心者だった16が、4年間続けてきた演劇の集大成です。自信をもってお届けしますので、ぜひ見に来てください。
−−ありがとうございました。
文学として、また映画など映像化してあるものとして触れられることはあっても、今回は原点である「戯曲」としての『ハムレット』を存分に楽しめる貴重な機会だ。経験豊富な4年生が演じる、偉大なシェイクスピア。その化学反応が見せる迫真力を、ぜひお見逃しなく。
日時 | 2016/1/16(土) 12:15〜 2016/1/16(土) 16:15〜 2016/1/17(日) 15:15〜 2016/1/18(月) 19:15〜 |
場所 | 国際基督教大学 ディッフェンドルファー記念館西棟(新D館)1階多目的ホール |
チケット価格 | 前売り 500円 当日 600円 ICU外割引(ICU生以外限定)400円 土日割引(1/16, 1/17 の回限定)400円 ※割引券はCoRichからの予約限定。 |
劇団黄河砂HP | http://gekidankokashaicu.wix.com/kokasha |