私の芽―ICU時間割アプリを作る―
|自分ならではの視点を活かして、ユニークな活動を行うICU生にスポットライトを当てる連載企画、第二回はICU生向けに時間割アプリを開発した千葉彌平さん(ID19)だ。アプリを開発した経緯とこれからの展望を聞いた。
――まず、千葉さんの活動を教えてください。
2016年に、ICU生向けに時間割アプリを作成しました。”TimeTableForICU”という名前でapp storeにあります。
――この活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。
単純に、自分のプログラミングの勉強のために何かしらアプリの開発をしてみようと思ったことがきっかけでした。せっかく作るなら実用的なものにするつもりだったので、ICUの時間割アプリを作ることに決めました。実は、それまでもICU生向けの時間割アプリはあったのですが、僕が2年生の頃になくなってしまったので、新しいものを作ることにしました。
――前の時間割アプリの開発者の方とは何かお話はされましたか?
友人との会話で、ICU生向けの時間割アプリを初めて開発した方が同じ部活の先輩だと知りました。その方は当時シリコンバレーでエンジニアをやっていたので、留学中にシリコンバレーを訪れて直接お話をしてきました。時間割アプリはその方から一旦別の方に引き継がれたので、僕は時間割アプリの開発者として三代目になります。
――それでは千葉さんは、二代目の方から引き継いだのですか?
いえ、二代目の方が誰なのかを知らなかったので、いちから自分で作りました。
――アプリの開発をする際に、苦労したことなどはありますか?
プログラミング自体は授業で学んでいたのですが、アプリの作り方は全然分からなくて、2年生の夏休みに毎日10時間ほどパソコンに向かっていました。なので、1ヶ月間はコンビニの深夜のバイトとアプリ開発しかしていませんでした。Android版を夏休みの間にだいたい作り終えて、夏休み明けにリリースしました。
――リリース当初の反響はどうでしたか?
Android版を作ったときは、AndroidユーザーのICU生が少なかったのであまり反響がありませんでしたが、その代わりiOS版を作って欲しいという声をそれなりに聞きました。そこからiOS版に着手することになりました。
――最初にAndroid版を作ったのはなぜですか?
自分のスマホがAndroidだったからです。
――今はどちらのバージョンでも使えますか?
Android版はもう使えません。管理も全くしていないので、すでにストアから消えています。指定されたメンテナンスをやらないと公開停止されてしまうんですね。あまりにも中身の設計がごちゃごちゃし過ぎて直すことができないので、手が出せないんですよ。建物に例えると、ドアがどこにあるのか分からなかったり、部屋の切り分け方が分からなかったり、唐突に階段が出てきたりして、そこから増改築するのは不可能という状態でした。今はiOS版だけ残っているのですが、それだけでも相当ユーザーがいます。2019年春学期の3か月のデータだと、1913人が使っています。まともに使っている人数自体は1600人ぐらいだと思いますが、ICU生の半分以上が使っていることになりますね。
――これからも時間割アプリの開発には関わっていきますか?
ほぼやる気はないです。iOSのバージョンが上がるのに合わせて手直しをしていますが、僕はもうICUを卒業してしまったので、アプリを管理する理由もありません。また、僕が大学院で専攻しているコンピュータサイエンスにおいては、こういったアプリ開発だけをしていてもダメなんです。アプリを作ることは開発の分野であって、研究ではありません。僕の実績の一つにはなりますが、それに割いている時間がありません。
――維持費もかかるでしょうし、手放したくなる気持ちもわかります。
Appleに毎年一万数千円払わないといけません。たまに広告を載せたいという人がいますが、数千円の収益にしかならないのでだいたい赤字になってしまいます。ただ、それは僕があまり営業をしていないということもあります。
――ずばり、アプリ内の広告の効果は感じていますか?
広告はなるべく自然に目に留まるところにあります。メインの時間割の画面ではありませんが、授業の登録をするときに表示されるようになっています。ですが、実際にはあまり広告を載せるモチベーションが湧かないという気持ちも分かります。そんなに目立つところではありませんし、一度授業を登録して時間割の画面をスクリーンショットしてしまったらアプリを開かなくなってしまうということもあります。
――これから広告の効果を増やすためには、どんなことが考えられますか。
まずアプリを日常的に開いてくれることが大事です。そのために、ICU Portalの通知を出したり、学内の情報をまとめて見られたりするといいとは思っています。ニュースでアップデートされるものがあると、みんな見るようになるので、広告がつけやすくなるんですね。
――ICU生に一言お願いします。
誰かに私の時間割アプリを引き継いでほしいと思っています。営業などをして、経費以上に収益を上げられるようになったら、その人のものにして構いません。私は多少指導することは可能ですが、細かいことを教える時間はありません。最低限開発できるスキルを自分で身に着けてきてください。実際に開発する際、アドバイスは可能です。ぜひ声をかけてください。