【前編】卒業論文虎の巻
|年が開け、卒論の締め切りが段々と迫ってきて来た。これから卒論が待ち受ける在学生にも、もちろん卒論のせいで不安で眠れぬ夜を過ごす今年度の卒業生にも役立つ情報を手に入れるべく、ライティングサポートデスク(WSD)の利根川さんに卒論のいろはを教えていただいた。今回は事前にWeekly GIANTS Co. 社内で卒論を書いている在学生に疑問や質問を募り、生徒の生の声をWSDの利根川さんにインタビューするという形を取った。
大ボリュームの前後編・前編の今回は、大まかな執筆スケジュールの組み方の極意、論理的な妥当性のある論文の書き方、文献の探し方と役割をお伝えする。
(※インタビューは再構成済み)
執筆のスケジュールは決まっているの?
――どのように執筆のスケジュールを組めばよいのでしょうか?
まず卒論の提出期限日など卒論に関する決まりを知りましょう。ポータルの教務グループのページで確かめられます。教務の担当者からは「期限厳守! くれぐれも提出期限を守ってください」とのことでした。詳細な卒論研究・執筆スケジュールは専攻分野や卒論の方法論(実験、フィールドワーク、質問紙調査など)から影響を受けます。ぜひ卒論指導教授にご確認ください。
「指導教授が新任教授で、ICUのスケジュールをまだあまりご存じない場合はどうすればよいか」とWGさんから質問をいただきました。回答の適任者でないわたしがコメントしていいのか分かりませんが、もし自分だったらまず新任の指導教授に率直に困っていることを話します。次に思いつくのはディパートメント長に相談することですね。これまでみなさんから寄せられた卒論に関する質問とその問い合わせ・紹介先を表にまとめました。
教授も納得!論理性のある論文
――論理的な妥当性がある卒論の書き方を教えて下さい。
みなさんはELAのResearch Writingや9月生の方はCollege Compositionのクラスでアカデミックライティングの基礎を身に付けると思います。基礎科目、専攻科目で専門的な内容を学んだ後に、卒論に取り組む仕組みになっています。専攻分野ごとに研究方法、レポート・卒論の作成方法、記述・引用のスタイルなどに違いがでてきます。卒論を書くまでの学びの過程で、科目の内容ばかりでなく、アカデミックライティングの専門的な方法についても学んでいくのですね。
アカデミックライティングにはこうした専門分野に特有のライティング・スキルがあります。そのほかに、専門分野にまたがって共通したスキルというか概念的な知識もあるのです。ここではこの概念的な知識と広くよばれていることをお伝えします。ただし、自分で論文を書いてきた結果としての個人的な見解にすぎません。さまざまな説明の仕方があります。これが正しいというものではなく参考程度に扱ってください。
序論(Introduction)は研究テーマの背景説明、先行研究の調査(Literature Review)、研究方法、研究課題(Research Question)で構成されます。
本論(Body)はパラグラフがひとまとまりになって、パラグラフ同士のつながりがどういうものになって章を形成し、章と章がどのようにつながって最終的に結論に至るかという論理性が求められます。論理や主張を裏付ける十分な証拠も必要です。
結論(Conclusion)ではそれまでのまとめと結論を述べたうえで、最後に今後の研究課題を述べます。このように全体が構成されます。
大きく三つの部分からなる論文構成に支えられて、研究課題(Research Question)が本文(Body)で十分な証拠と妥当な論理に支えられていわば論理のストーリーが展開され、説得力のある結論(Conclusion)へと導かれる。このことは、論理性のある(美しい)論文であるための最低条件といえるかもしれません。
卒論を書く上で特に注意してもらいたいのは、記述・引用などのスタイルです。ひとつのスタイルで最初から最後まで一貫させることが求められます。もうひとつの注意点は、他人の論文などを引用注無しで自分の論文に掲載すると剽窃になってしまうことです。これは著作権法違反のれっきとした「盗み」になります。アカデミックな世界での剽窃に対するペナルティーはとても重いです。1年生の頃から剽窃しないように気をつけていてください。剽窃しないためにどうしたらいいか分からない時は指導教授に聞くか、WSDのチュートリアルで相談してください。
(後編へ続く)