ICUキャンパス内で点字ブロック増設――特別学修支援室インタビュー
|4月上旬、本館の前とバスロータリーに点字ブロックが設置された。これまでICUのキャンパスでは図書館の前にしか点字ブロックは設置されていなかったが、その範囲が広げられた形となる。
今回は、どのような経緯でこれらの場所に点字ブロックが設置されたのか、学修・教育センターの南和子さん、特別学修支援室の杉田瑞枝さんにお話をうかがった。
(※インタビューは再構成済み)
――今回、本館の前とバスロータリーに点字ブロックが設置された経緯について教えてください。
現在、ICUには視覚障害を持った学生が5人います。そういった学生にとって、点字ブロックは自分の行きたい場所に行くために必要なものなので、かねてから設置のお願いはしていました。しかし、いつ設置ができるかということは私たちが決められることではなくて、大学行政全体との兼ね合い――建物の工事や、学生が多くいる時期を避けるなどのタイミングの問題――がありますので、他の部署と相談しながら設置に向けて動いてきていました。そして今年4月、実際に設置されることとなりました。
――これから他の場所にも点字ブロックが設置される予定などはありますか?
まだ具体的な予定はありませんが、キャンパス・グランド・デザインが策定され、ICUのキャンパスが大きく変わることが予定されている状況ですので、どのタイミングでどこに設置するのが効果的なのか、じっくり考える必要があると思っています。点字ブロックを設置した後で建物の配置が変わるなどの可能性もあります。そういった兼ね合いの中で、今、支援の必要な学生の困難をなくすために、今回、本館の前とバスロータリーに設置されることとなりました。
今の段階で他に設置を予定している場所はありませんが、学生から具体的に「困った」という声があったら、検討するという形になると思います。
――特別学修支援室は他にはどのようなことをしている部署なのですか?
点字ブロックなどの視覚障害を持つ学生に対する支援のほかにも、聴覚障害を持った学生が授業で先生が話している内容を分かるように、他の学生が隣の席に座ってパソコンで文字起こしする、といったサポートもしています。
先日、障害者差別解消法が施行されました。その中で掲げられている「合理的な配慮」というコンセプトをもとに、多様性のあるICUを実現していければと思っています。
例えば、点字ブロックの上に物を置いてしまうと、視覚障害をもつ人の邪魔になってしまいます。そういった点など、学生のみなさんにも気をつけてもらいたいです。
――学生になにかメッセージはありますか?
多様な学生がそれぞれに安心して学生生活を送ることのできる場や空間をつくり出していくためには、様々な仕組みと工夫が必要です。学生のみなさんにもぜひ、ICUらしい仕組みや工夫、そして配慮を一緒に考えいってもらいたいと思っています。
――ありがとうございました。