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「実験のための能楽公演」とは? 能楽ワークショップで聞いてきた

来る6月24日、ICUのオーディトリアムで能の公演が予定されている。それに先駆けて、「一露の会」を主催するシテ方金春流の中村一路さんによる能のワークショップが、ICU本館で10日に行われた。
ワークショップは能についての説明が英語でなされるなどの、日本語があまり得意でない人に向けた工夫も随所に見られ、能についてのレクチャーを間近で受けることができる充実したものであった。

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「経政」を舞う中村一路さん

ワークショップは、公演や能についての説明が続いたあと、今回演じられる「経政」という演目の一部を実際に中村さんが演じた。いわば、公演の先取りである。

「経政」は、45分という短い演目であり、能にあまり触れたことがない人でも気軽に楽しむことができる。この話は、平清盛をおじに持ちながら、源平合戦で無念にも命を落とした経政という人物をテーマに進んでいく。死んでしまった経政を弔うために琵琶を弾く行慶のもとに経政の霊が現れ、昔の有様と地獄での苦難を行慶に訴える。経政の生涯と苦しみを語るこの物語に、来場者はきっと胸を打たれることだろう。

能を見たことがない人も簡単に物語が理解できるように、新しい試みとして字幕も表示された。この公演は能の世界に足を初めて踏み入れる人にとって最適な一歩であること間違いなしだ。公演は、早稲田大学の能楽サークル協力のもと、旧D館オーディトリアムを能の独特な舞台の形に変えて行われるそうで、普段とは違うオーディトリアムを見ることができるかもしれない。
さらに、このワークショップでは、ICUでの公演の主な目的が「データ収集」であることも明らかにされた。能の公演でデータ収集とはどういうことだろうか。
実は、この公演は、「NOH GUIDE SYSTEM」というシステムを始めるための実験に位置づけられるのだという。

「NOH GUIDE SYSTEM」とは、能楽を初めとする日本の文化や芸術を広く楽しんでもらうためのシステムだ。多言語・多曲目・日本語の理解度に合わせた解説で立体的なデータベースを構築し、個人に最適化された情報を自動で提供する。これが完成すれば、能楽師とお客さんが双方向に直接関わることができ、能をより楽しんで見ることができるのだという。中村さんは「誰かの日本文化に触れるきっかけになってほしい」と、「NOH GUIDE SYSTEM」にかける熱意も口にした。

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中村さんの背後に投影されているのが「NOH GUIDE SYSTEM」による解説。
24日の公演は、「NOH GUIDE SYSTEM」の実験でもある

中村さんによると、最近、能をとりまく環境は厳しいのだという。若い人材が不足し、能の世界は危機に瀕している。このピンチを乗り越えるために、「NOH GUIDE SYSTEM」を考案したそうだ。

ワークショップでは、能の未来を真剣に考える一人の芸術人の姿を見ることができ、その熱意に感動した。ぜひ、皆さんも24日の能楽公演に足を伸ばし、同じ思いを共有してほしい。公演の詳しい情報は、同窓会のページに掲載されている。