祝・井の頭公園100周年! 学生スタッフに聞く、「井の頭学園祭」の全貌とは
|「住みたい街ランキング」で長年1位の座を守ってきた繁華街・吉祥寺。ICU生にとっては、サークルの新歓やセクコンの折に利用される「慣れ親しまれた」と言ってもいい街だろう。そんな吉祥寺の「心臓部」とも言えるのが、今年開園100周年を迎える井の頭公園だ。
開園100周年を祝して、井の頭公園では5月1日から7日までの一週間、井の頭公園100歳記念ウィークという大規模なイベントが開催される。そして、その内の4日と6日には「井の頭学園祭」と題して、地域の大学のクラブやサークルがパフォーマンスを行い、ICUからも複数の団体が出演する予定であるという。
今回は、井の頭学園祭の学生プロジェクトチームのメンバーにして、2015年度のICU祭実行委員長の日向貴之さん(ID17)から、企画誕生の経緯や、企画の詳細についてお話をうかがった。(内容は再構成済)
――まず、プロジェクトチームが設立された経緯についてお聞かせください。
長い話になります。井の頭公園が開園100周年を迎えるのは今年の5月なのですが、それに向けて10年くらい前に「井の頭恩寵公園100年実行委員会」という団体が三鷹市・武蔵野市・東京都を中心として設立されました。そこでは、100周年を迎える2017年に向けて、例えば公園の池の水をきれいにする活動をしたり、地域振興イベントとして「100祭」というイベントを毎年10月に開催したりといったことをしてきました。
その集大成が、今年の5月に開催される「100歳記念ウィーク」です。1日から7日までの各日程が、武蔵野市や三鷹市を始めとした様々な団体に割り振られることになったんですが、そのうち4日と6日が「西部公園緑地事務所」という井の頭公園を実際に管理している団体に割り当てられることになりました。
そこで、「地域のアーティストらを呼ぶだけじゃなく、近隣の大学の学生も巻き込もう」と緑地事務所が思い立ち、ICU、杏林大学、日本獣医生命大学、成蹊大学、亜細亜大学の近隣5大学に声がかかり、そこから学生企画の立案自体に関わる有志の学生が集まったのが団体設立の経緯です。学生サービス部経由でICU祭の実行委員会に声がかかり、当時すでに引退していて暇だった元実行委員長の僕が代表して活動に参加することになり、今に至ります。
――設立後、具体的にどういった活動をされてきたのですか?
先ほど述べた通り、元々は5大学の人間しかいませんでした。それで、いきなりわけもわからないまま集めれて、メンバーも初対面同士で、団体としてかなり不安定な状態でした。それに、僕はICU祭の実行委員長をやっていた経験がありましたが、他の大学の人たちはイベントを運営する上でのノウハウを持ってる人ばかりではありません。そういった状況で企画をいちから作るのはかなりシビアです。しかも、公園の制約で企業の宣伝が打てなかったり、予算もそこまであるわけじゃない中で、ゼロベースから企画を作っていくのは結構大変でした。
案の定最初の2、3か月はまったく話が進まず、メンバーのテンションも落ちていく一方でした。そのことに危機感を覚え、思い切って5大学以外の大学からも意志がある学生を募りました。その結果、慶應義塾大学や東京大学を始めとした大学から新しいメンバーも集まり、昨年の7月くらいから本格的に企画を始動することができました。
最初に都の方から入った要望は「盆踊りをやってほしい」というものでした。「井の頭音頭」という音頭がこの地域には伝統的に存在するんですが、その踊り方が近年廃れつつあるので、その復興をひとつテーマにしてやってほしいとのことでした。そこで、「盆踊りって若い世代により普及した方が復興になるよね」って話が盛り上がり、「盆踊り×踊ってみた」をやってみようとか、地域のサークルのわかい踊り手たちを呼ぼうとか、自由に企画していきました。そこから、予算の都合だったり、公園の制約の問題、企業の協賛得られなかったり、色々課題にぶつかって、「学園祭をやるのが一番スマートだよね」ってことになったんです。
――紆余曲折を経て、井の頭公園で学園祭をしようというコンセプトにたどりついたんですね。
そうですね。最終的に去年の12月に確立させたコンセプトが「若者による地域振興」と「井の頭公園を非日常の祭空間にする」、この2つでした。以前は井の頭公園周辺に住む著名人を呼んでくることなんかも考えていたんですが、現在はそういうことは考えなくなりました。若い世代のパフォーマーを呼ぶこと、そして大学の境目を取り払った「街の中の大きな学園祭」を開催する、その2つが僕たちの活動のテーマですね。
――「若い世代のパフォーマー」の中にはICUの学内団体も含まれているんですよね?
もちろん含まれています。アカペラサークルのUNBRANDさん、コピーダンスサークルのメルティングぽっとさん、ICUヒーロー研究会JACさんの3団体が当日ステージに立つ予定です。ICUは最初に声がかかった5大学でもあり、特にICUの団体には声をかけてほしいという要請も事務局からも受けています。それに、どうせなら自分の大学の団体を積極的に呼びたいという思いもありました。
――パフォーマンスのイメージとしては、ICU祭のステージ企画に近いのでしょうか?
それと近い形になると思いますが、加えてMCで吉祥寺や井の頭公園に関する思い出なんかを語っていただくつもりです。あとは、ヒーロー研究会のキャラクターである機動礼拝シーベリーが、先ほど言った「井の頭音頭」に参加してくださる予定です。
――先日近隣のアニメ会社を巻き込んでイベントを開催されたとお聞きしましたが、学生チームとして100祭記念ウィーク以外にもイベントを開催されているのですか?
実は、学生プロジェクトチームは4日と6日当日の企画だけじゃなくて、それに向けた広報だったり、協賛金を集める営業だったりといった活動をしてきました。その広報の部分で、去年の10月から学生チーム主体でイベントを何回か実施して、井の頭公園の100周年に向けた1年間をデザインしてきました。
まず取り組んだのがPVの作成です。早稲田、慶應、東大の3つの大学の映画サークルに声をかけて、昨年8月に脚本のコンペをしました。そこできまった脚本を元に、10月に3サークル合同で井の頭公園内で井の頭学園祭のPVを作成しました。これも井の頭学園祭に向けて掲げているコンセプトに基づいていて、普通大学の映画サークルって自分のサークルだけで作品を撮るものだと思うんですが、そこの壁を取り払い、色んなサークルが集まって新しいものを生み出すことを目指しました。
苦労は多かったですが、無事クオリティの高いPVが完成し、その試写会をリクルートキャリアさんと協力して、リクルート本社の会議室で行いました。それが昨年の12月4日です。試写会と同時に、井の頭学園祭の正式なお披露目と、プロジェクトチームの活動の紹介を行い、それと同時に自分たちが作り上げたコンセプトをたたき台に「学生時代の活動が自分たちの将来にどうつながっていくのか」というテーマでワークショップを実施しました。
また、祭当日の準備を進めつつ、前イベントとして「これまでのアニメ、これからのアニメ。」というイベントを開催しました。実は2017年は日本のアニメが誕生してから100年という記念の年でもあります。「100周年繋がりでコラボレーションできることはないか」と模索していたら、「日本のアニメ100周年委員会」という団体が受け入れてくださったので、晴れて吉祥寺×アニメでイベントを開催する運びになりました。吉祥寺のアニメ会社の「スタジオディーン」と「ガイナックス」が協力してくださり、2社の代表をお呼びしてトークセッションし、武蔵野美術大学と多摩美術大学、そして中央大学の3大学からアニメーション作品に関わるサークルを呼んで、企業、大学の枠を取っ払ったワークショップも実施しました。
――学園祭が終わったあとは、なにか活動をされていく予定はあるのですか?
学生プロジェクトチーム自体は東京都の傘下の団体なので、今後どうなっていくかはわかりません。ですので、前イベントと後イベントは別の団体名義で開催した方がいいだろうということになり、Media100という団体が設立されました。現在は、SNS等で井の頭学園祭の広報をしている団体という位置付けですが、学園祭終了後も後イベントの企画だったり、インタビューだったりを通して独立したメディアとして活動していければいいなと考えています。前述のアニメイベントが結構好評だったので、第二弾も検討しているところですし、学園祭に出てくださる団体だったり、前イベントに出てくださった企業の方にインタビューをして、それをアーカイブしていく作業は意味のあるものだと思います。
学園祭に向けて取り組んできた「境目を取り払って、色んな組織が協同してなにかを作るのを支援する」、みたいな活動はこれからもやっていければと思っています。
――では、最後にICU生に向けてメッセージをお願いします!
取りあえず、4日と6日の2日間、井の頭公園まで遊びに来てください。イベント自体のクオリティもかなり高いものになると思っています。ダンス団体だったらUNIDOLという学生アイドルの大会で優勝している明治大学の団体さんが来てくださいますし、アカペラだったら一橋大学や青山大学など、主要な大学のアカペラ団体が一同に会します。加えて、地域のアーティストもお呼びする予定で、日本では2人しか弾けないバンドューラという楽器を演奏しているウクライナ人の女性だったり、面白い経歴を持った吉祥寺由来のアーティストの方々にも声をかけています。吉祥寺や井の頭公園が好きな方、ICUの団体だけを観に行くつもりの方、どんな動機の方でもひとつの学園祭として楽しめるものになっていると思うので、ぜひ当日いらしてください。
また、特に新入生の人とか、サークルを引退した4年生に向けた宣伝なんですが、Media100という団体は、色々な大学から色々な人たちが集まってきて、イベントの企画、メディアの作成、インタビュー、等々をおこなっている団体です。小さな団体なので、ひとりひとりが色んなことを考えないといけない大変さもありますが、やりがいを持って活動できる場所だと思います。僕自身、実はこの春ICUを卒業して、仕事をしつつこの活動を続けているんですが、社会人になっても学生時代やってきたサークル活動のようなことを続けられる場にもなればいいなあとも考えています。主張を持っている人間が主張できる場所にしていきたいと思います。
もし興味がある人がいたら私たちのフェイスブックとかからご連絡したいただければ大歓迎です。現在、東京大学と東京藝術大学のインカレサークルであるdesigning +9さんと連携して、HPを作成していますので、完成したらそちらもぜひご覧ください。
――ありがとうございました!