さようなら、第二女子寮
|2016年4月、第二女子寮が閉寮する。この寮は1956年にハワイの聖公会からの資金援助を受けて建設された、2016年3月時点のICUにおいて最も古い寮だ。
今回は、閉寮を1ヶ月後に控える第二女子寮のソーシャルルームにお邪魔し、現役寮生であるID18の多田珠里さんとID19の佐藤夏実さんに、お話をうかがった。
(※インタビューは再構成済み)
――閉寮することになった経緯について教えてもらえますか?
この寮は建てられてから50年以上が経っており、これまでにも3回ほど、第二女子寮の閉寮を大学側が検討する「閉寮さわぎ」がありました。そのたびに閉寮が延期されてきましたが、4回目の今回は本当に閉寮することになりました。
――やはり建物や設備の老朽化は進んでいるのですか?
玄関の扉を開けると建物全体でミシミシと音がしたり、キッチンの棚が傾いてしまって危険なので撤去することになったり、雨漏りで居室が1つ使えなくなったり、いろいろガタが来ています。
――第二女子寮はどんな特色を持った寮だったのですか?
ぶっとんだ人が多い寮でした。OG会などで元寮生の方と会う機会があったのですが、インパクトのある人たちでした。昔は第二男子寮と仲が良かったため、ハメを外すことの多かった第二男子寮の影響が大きい気がします。ソーシャルルーム(共有スペース。もちろん屋内)で雪合戦をしたり、パーティーを開催したり、ストームというイベントで、男子寮に忍び込んでいたずらをしたり、昔は盛んだったようです。
それと、これは現在もそうなのですが、イニシエや演芸会(寮祭期間中に行われ、各寮が劇を披露し、卒業生が審査するイベント)に命をかける寮ですね。「イニシエで女を捨て、演芸会で人間を捨てる」という言葉があるほどです。去年2位だったのが悔しかったので、今年の演芸会では、脚本教室に通って脚本を書き、ダンス教室に通って練習をし、神頼みで滝行もして、みごと1位を勝ち取りました。4月のバカ山発表会ではキャンディーズの『春一番』にあわせたダンスを踊るのが恒例となっています。
また、寮の運営の面では、キャビネット(中心となって寮を運営する役職の人たち)のミーティングが他の寮では月1回のところ、第二女子寮では週1回あります。それによって、寮内で起こる問題をすぐに話し合って解決でき、寮生全員が集まる寮会も短時間で済んでいます。そういった寮運営の仕組みは新設される新々二寮でも参考にしてもらいたいですね。
――寮で受け継がれてきた物などはありますか?
現在は開催されていない、寮対抗のバスケットボール大会のトロフィーがありました。
また、2階のスタディールームにこんな人形が飾られていました。
どこかからの留学生が持ってきてくれたもののようなのですが、怖くて誰も手をつけられないでいました……。
「不毛の二女」とは
寮内を見学させてもらっていると、ソーシャルルームの前の廊下に「不毛」と大胆にも金色で大きく書かれた紙が貼ってあった。これは一体何なのだろうか。お二人に聞いてみた。
「不毛」は恋人がいないという意味です。一方、「有毛」は恋人がいる人を指します。
第二女子寮のある代に「不毛」の人が多かったため、「華の四女、お笑いの三女、不毛の二女」というように「不毛」が第二女子寮の特徴とされることが多くなったようです。これが広まったのはやはり一年に一度発行して他の寮にも配っている冊子「スピカ」の影響が大きいでしょう。
――「スピカ」はどのような冊子なのですか?
他の寮に第二女子寮を紹介する冊子です。不毛か有毛かを含む個人のプロフィールや、寮内のイベントの紹介などが載っています。
毎号、「これからも第二女子寮をよろしくお願いします!」という言葉で締めくくられるのが伝統になっており、最終号の今回も同様に裏表紙にこの言葉が載っています。
――最後になにか一言ありますか?
これからも第二女子寮をよろしくお願いします!