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第3回キャンパス・グランド・デザインに関するオープン・フォーラム開催! 「本館建て替え問題」の行方は

10月6日(金)、ダイアログハウス2階の国際会議室にて、第3回キャンパス・グランド・デザイン(CGD)に関するオープン・フォーラムが開催された。

今回の第3回オープン・フォーラムは、第2回オープン・フォーラム後に実施された本館耐震性能調査の報告書を踏まえて実施され、お昼休みの時間ながら多くの学生や教職員が訪れた。理事会側からは日比谷潤子学長と新井亮一財務理事が登壇し、質問フォーム経由で事前に寄せられた質問に対して大まかに答弁をしたのち、会場からの質問に応じた。

 

まず、事前質問に対する回答に際して、質問を大きく下記の5種類にカテゴライズしたのち、カテゴリー単位での答弁がなされた。(質疑の内容は再構成済。実際の発言録はリンク先を参照)

①なぜ、「10年説(2011年時点で、本館の寿命が残り10年であるという説)」と今回の検査の結果が食い違ったのか?
2011年7月の段階、すなわち東日本大震災の後に改めて耐震補強を検討していた際、建築の専門家から「通常の補修で10年、さらに追加で10億以上の費用をかけて補修しても25年以上は使えない」とのコメントが出されていた。その結果、通常の補修をして10年の使用が決定され、これが「本館の寿命は10年」という「10年説」の根拠になった。

しかし近年、高齢鉄筋コンクリート構造物の高寿命化、補修の事例が多く見られるようになり、同時に技術も進歩してきている。コンクリート構造物の寿命に関する業界内の見解の変化と技術進歩についての助言が2016年に改めて建設業者からあったため、補修による継続使用の可能性を検討することになった。

その第一歩としてコンクリート診断を行った結果、診断結果は良好(”現況のICU本館躯体状況は、柱、梁、壁等の耐震性能上重要な部材において経年に起因するようなひび割れ、損傷は認められず、早急に中性化対策の実施を要する状況にはないものと考えられる”)だったということである。だが、今回わかったことは「構造躯体がこれまで想定されていた以上に丈夫である」ということ。これだけで本館が10年以上使えることを保証するものではない。これだけ高齢の構造物をさらに10年以上使用するには、構造躯体の打診による精密な検査、天井裏、床下の検査、防水の点検、水回り、空調、電気設備の交換などをする必要があり、その見積もりを現在作成している。来年度初めごろにその結果が出る予定である。

 

②このような報告書の結果を受けて今後キャンパス整備や本館をどうするのか?

今回の調査結果を踏まえて、これから改めてどうするか検討をおこなう。保存と新築を比べることになるが、補修保存の場合でも新築と同等の性能が確保できるかということや、総事業費と大学の財政負担能力、工事が授業にどのような影響を与えるか、文化遺産歴史的建造物としての保存価値、あるいはICUの建物として献学の理念においてどのような価値があるか、といった、いろいろな条件を基に判断することになる。

検討に際して、新たに「本館検討委員会」を設置する。メンバーは新井財務理事と富岡総務理事、大学の行政者、教職員を予定している。これに学生や同窓会がどのように参画するということは後述する。

 

③キャンパス・グランド・デザインについて
HPで公開しているところの「Phase3(2018年~ 本館の整備)」については、現状と違っていることになるので、今後検討委員会での検討や理事会での審議を経て変更が出てくると思うが、それはサイトにも反映していくつもりだ。

「キャンパス・グランド・デザインが、大学の目指すところとどのように関わっているか」というお話があったが、この大学が出来たときも今もそうだが、ICUの非常に大きい特徴は「レジデンシャルキャンパス」にある。学内住宅の整備とともに、キャンパス・グランド・デザインに書かれていることの中で寮や学内住宅の整備は、大学の理念の実現に非常に重要だと考えている。

もう一点、理学館と本館の機能を統合するかどうかはまだわからないが、非常に重要なメッセージとしては、文理を幅広い分野で学ぶ環境をつくることで、文理を超えた知識を統合するということも重視しているということだ。理系と文系の教育や、研究活動があまり離れていない所で実施されるということも重要だと思うので、そういう建物の作りというものを目指したいとも考えている。

 

④コストの話として、さらなる借金をして大丈夫か?
本館の西側に新しい建物を建てて、そちらに理学館や本館の一部機能を移設し、結果的に今の本館を残すというのはどうか、という案があった。これも選択肢としては考えている。

また、借金をさらにすることも可能だ。全国の私立大学の総資産における負債の割合が平均14.5%なのに対し、ICUは12.3%。他大学と比較すると、実は借入金は少ない状態である。

 

⑤今後の教職員、学生、同窓生との対話をどう行っていくのか?
本館検討委員会をまもなく立ち上げ、その第1回の議題として、学生の意見をこれからどのように集めていくか、また学生との対話をどういうふうに行ったらいいかを取り上げることにしている。

 

次に、上記の回答を踏まえ、質疑応答の時間が設けられた。本記事では、会場から寄せられた質問のうち、いくつかをピックアップして紹介する。(質疑の内容は再構成済。実際の発言録、割愛した質疑応答に関してはリンク先を参照)

・本館検討委員会は、今後の意志決定プロセスにどのぐらいの影響力を持つことになるのか? また、教職員を選ぶと言うが、その選考プロセスはどうなっているのか?
本館検討委員会は、学内の意見を集約するために設置する。「学生、教職員はこのように考えている」ということを理事会にまとめて伝えるための委員会になると思う。人選については現在考えているところだが、基本的には、委員会の正規のメンバーというのは、大学の色々な部署とか、教員についても様々な人を代表する立場にあるような人が委員になるような方向で検討している。

 

・そもそもキャンパス・グランド・デザインが策定された経緯としては、第一に耐震性の問題があったと思うのだが、仮に耐震性の問題が今後の内装調査でなかった場合においても、性能であるとか、文化遺産、建替えの価値等と新しく建てることの比較を通して「建替えた方がいい」という判断がなされる可能性があるのか?
建て替えか修復保存か増築か、オプションは3つあると思うが、それぞれについてまず見積もりを取る。ただ、見積もりを取るためには「どんな建物にしたいか」という要件の整理が大切であるため、本館検討委員会から出てくる「こういう機能が欲しい」というのがまとまったところで行う予定である。その後、その中でどれが一番いいのか考えていくことになるので、様々な要因を考慮した結果、建て替えになる可能性もあるし、保存修復になる可能性もあるし、従来の本館を残したまま増築する可能性もあるし、今の時点ではどの可能性もある。

建て替えた方が安いという結果が出たとしても、そのまま建て替えになるということではなくて、修復保存や建て増しをした方が大学の献学理念の継承につながるとか、建造物の歴史的・文化的な価値を優先すべきということになれば、そちらになる場合もある。

 

・どのオプションを選ぶかの判断基準に学生の意見とか卒業生の意見というものが含まれていないように感じたし、本館検討委員会に学生をどう巻き込んでいくかを話し合う場に、そもそも学生がいない。学生が消費者のような立ち位置にあるんじゃないかと感じてしまった。
1点目については、そこに学生の意見が反映されないということでは全然ない。例えば、今回フォーラムに際していただいた意見の中にも、文面から判断して、多分学生の方からの意見なんだろうなというものが沢山ある。そういった意見は理念的な観点のものが多いが、「コストの比較」のような学生の意見はそれほど無いかもしれない部分においても、建物と教育とのあり方などについては十分に意見が反映されるようにしたいと思っているし、性能の方も学生としてこういう教室があったらいいというような意見はどんどん寄せて欲しいと思っている。今お話したことの中に学生の意見は十分反映されると思う。

今日のイベントを見ても、すべての人が参画できるわけではないので、大勢の学生に対してこの色々なキャンパス・グランド・デザインの諸項目についてどのような考えを持っているかを、どうしたら広く意見収集できるかとか、そういう方法を1回目の検討委員会でまず議論する。そこで方法を決めたら、十分に意見を収集したいと思う。「こういう方法もあるのではないか」という提言も含めて、是非して欲しいと思っている。

 

・理学館とD館について。ウェブページ上のイメージ図において、理学館は本館と統合、旧D館に関しては完全に撤去されていたが、それらの建物は今後どうなるのか。
旧D館については、確かにイメージ図からは無くなっているが、今後改めて検討する。なくす、壊すということを決定しているわけではない。旧D館の建物としての価値については認識しているし、十分に価値を学びつつ、どうするかを決めていくことになると思う。

理学館については、実は老朽化が甚だしく、かなり危険な箇所も多いので、何らかの形で早急に解決しなければいけない問題だと認識している。だが、実験設備の関係で、例えば仮校舎を造ってそこに移動して、もう一度戻すということは、財政的にかなり厳しい。よって、通常の補修というのはなかなか難しいと思う。ただ、構造躯体自体が本館に比べればまだ若い建物なので、活用の可能性もあると考えている。できれば本館と同時に理学館の方の調査もして、活用するとしたらどういう可能性があるかというのも検討する予定である。

 

・本館は耐震工事をしても10年しかもたないというのは2011年7月の施工業者の見解だという話があったが、「通常の補修でも10年持たない。大変なお金を掛けても25年」という科学的な認識と、今回の耐震調査で出てきた認識というのはずいぶん大きくズレていると感じる。技術的な指摘にしては落差が大きいと思うが、この辺りをどのように考えるのか。その落差の原因は何か。
老朽化したコンクリート建造物の保存に関する議論が、色々な所でこの10年間おこなわれてきた。そういう経験が積み重ねられて、今のこういう議論があるんだと思う。実際問題として、2011年のミーティングで「残り10年」と言われたことと今回の診断結果にギャップはあるが、同じ業者の方に今お話すると、見解が変わってきているのは事実だ。

 

ページの都合上割愛した箇所もあったが、上述のように、会場からの質問も交えつつ、日比谷潤子学長・新井亮一財務理事の方から約1時間、学生・教職員の疑問に対する答弁がなされた。

フォーラムの最後には、新井財務理事の方から「建て替えるのか保存するのかもう1つ建てるのか、3つの選択肢のうちのどれを選ぶのかといった話があったが、実際には選択肢は10個、20個になる可能性もある。補修にもいろんな段階があって、どこまでやるのかというのも議論の余地がある。色々なことを検討し、最終的に決定したい」といった趣旨の言葉もあった。

今後は学生・教職員も交えて本館、大学の将来について、多角的な視点から再検討していくというのが理事会側の回答の要旨だ。本館検討委員会に対して学生側がどのように関与できるのか未だ不透明ではあるが、今回のオープン・フォーラムは、診断結果を踏まえて今後のプランが修正されていく上でのスタート地点であったと感じている。今後の展開を注視したい。

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