チャペル演奏会プロジェクト開催 宗教改革500周年にちなんだ、その内容とは 

2017年11月10日、11月にしては暖かな気候の中、第4回ICUチャペル演奏会プロジェクト(以下チャペルプロジェクト)が開催された。団体としてのチャペルプロジェクトは、ICUのチャペルでキリスト教をテーマにした作品を演奏してきた団体で、2014年に学内の音楽系団体に所属する学生らの有志によって設立された。

19時30分、チャペル内の座席は多くの人で埋まっていた。見渡すと、授業終わりの学生や仕事終わりの社会人、中にはICUの教授の方々の姿も見ることができた。

演目はJ.ブラームスの『ハイドンの主題による変奏曲』とF.メンデルスゾーンの『交響曲第5番《宗教改革》ニ短調』の2曲。指揮を務めた教養学部4年の吉田良平氏のコメントによると、これらの演目は2017年10月31日で宗教改革500周年を迎えたことを踏まえたもの。「歴史上の事件に思いを馳せると共に、今では歴史上の人間に過ぎなくなってしまった、悩めるルターの、また悩みながらも作曲を続けたブラームスとメンデルスゾーンの息遣いを、音楽を通じて感じていただければ幸いです」と吉田氏は綴る。 演奏自体は休憩を挟んで1時間半ほど行われ、多様な弦楽器、管楽器、打楽器の音色が混ざり合いながら、ときに力強く、ときに優しい両曲の音色がチャペル内に響き渡った。演奏会の最後には賛美歌の『すべてのもの統らす神よ』が演奏され、来場者たちも歌声を重ねた。

筆者はCMS管弦楽団やWIND BRASS ENSEMBLEの演奏会に行ったことはあったが、チャペルプロジェクトの演奏会を訪れるのは初めてだった。それらの団体の演奏会は大体学外のコンサートホールで行われる。確かに演奏をする上でのコンディションだけを見れば、コンサートホールの方が断然良いだろう。だが、「ICUチャペルで演奏されるからこその意義」を、筆者は今回の演奏会を通して体感することができた。木で覆われた温かみのある内装と、ほんのり明るい照明。高い天井と、眼前にそびえる荘厳なパイプオルガン。温かさと荘厳さが同居したチャペル内部の雰囲気と力強さと優しさの両面を持つクラシックの音色はとても相性が良かった。加えて、演奏される曲は宗教をモチーフにしたものである。チャペルの長椅子に腰掛けながら、演目のテーマである宗教改革に思いを馳せ、オーケストラによる演奏を聴くことができたのは極めて贅沢な体験だった。来年の演奏会にもぜひ足を運ぼう、そう思わせる1時間半だった。