竣工式直前! 新体育施設の充実した設備とコンセプトに迫る
|バスロータリーからマクリーン通りを抜けてチャペルの方へ進むと、左手にガラス張りの巨大な建物が見えてくる。最近、工事用の柵が取り払われ、その特徴的な外観があらわになった。その新体育館の竣工式が11月29日に迫っているということで、新体育館のコンセプトや新しい設備について、学生サービス部長・体育館長の岸本誠さんと学生サービス部の高井雅一さんにインタビューを行った。(※インタビューは再構成済)
ーー新体育館のコンセプトを教えてください。
岸本さん:まず、なぜ新体育館を建てることになったか、ということからお話します。今学生さんが使っている体育館は、1972年に建てられたものです。当時の学生数はだいたい1000人程度で、1600人に増えても対応できるように建てられたのが、現在の体育館です。実は、その時もう一つ大きな体育館を建てようという案がすでにありましたが、それがなかなか実現せず、立ち消えになりました。現在、ICUの学生数はおよそ3000人です。つまり、当時の体育館の想定していた人数の約2倍の学生数になります。その学生数に対応できるような体育施設を作る必要があったというのが、一つ目の理由です。もう一つの理由として、Vジムのバスケットコートが挙げられます。Vジムのバスケットコートには、一応ゴールはついていますが、コートの外のスペースがほとんどないので、バスケットボールの公式戦が行えませんでした。ですが、新体育館は、公式戦に対応可能になっています。
コンセプトとしては、スペースを大きくするということが挙げられます。それは、まず保健体育の授業を充実したものにしたいということが一つ目の理由です。また、現在学生さんのクラブ・サークル活動では、狭いスペースをうまく共有し合いながら使っています。そうした状況を緩和したいということがもう一つの理由です。
また、外観を見ていただくと、独特な形をしています。なぜあのような形にしたのかということについて説明します。まず、あの辺りはマクリーン通りに面していて、礼拝堂も近く、多くの人が通るので、ICUの顔とも言えるエリアです。ですので、一般的な体育館のような圧迫感のあるものを建てたくはありませんでした。むしろ、樹木がたくさん生い茂る、周りの景観と調和するものを建てることを目指しました。建物の構造を木で組んで木の質感を表し、壁面をコンクリートにすると圧迫感があるので、ガラス面を多くしました。このような理由で、あの形になりました。新体育館の中では、木の骨組みなどがよく見えると思います。
ーー新体育館は、いつから利用できるのでしょうか。
岸本さん:12月から利用できるようになります。授業では12月5日から、クラブ・サークル活動では、SCHスケジュール調整会議の翌日、12月12日から利用できます。
ーー新体育館の設備について、教えてください。
岸本さん:既存の体育館は、今まで通り利用できます。また、屋根付きのテニスコートが4月から利用可能になっているので、ご覧になっているかと思いますが、あれも新しい体育施設の一つです。新しい体育館ができたことで、今までの体育館を「B体育館」、新しい体育館を「A体育館」と呼ぶことにしています。
「A体育館」の方には、バスケットボールの公式戦に対応しているメインコートがあります。メインコートは、練習であれば、二面同時に使うことができるサイズです。メインコートは、バスケットボール、バレーボール、バドミントン、ハンドボールを想定して、床にラインが貼られていますが、もちろんそれ以外の競技でも利用可能です。二階には、メインコートを見下ろせるランニングトラックがあり、雨の日でもジョギングできるスペースとして利用することができます。同じく二階に、スタジオと呼ばれる一面がガラスの部屋があり、ダンスの練習などに利用できます。マクリーン通りに面するところには、天井の高いラウンジを設けています。エントランス棟の一階には、授業でも使えるようなセミナールームがあります。ここは、パーテーションで仕切ることで、二つ同時に使えるようになっています。
加えて、新しい体育施設を建てるのと同時に、現在の体育施設のリニューアルもいろいろ行いました。「B体育館」の二階には、この間リニューアルオープンした、完全防音のPジムという部屋があります。大きな音を立てる活動でも、そこであれば他に支障がないようになっています。スポーツクラブハウスのラウンジにも、ガラスで仕切られた、冷暖房が入る部屋を作りました。
高井さん:「A体育館」の話に戻るのですが、メインコートには、常設のバスケットボールのゴールが2セットあります。また、それとは別に、国際試合で使用可能な基準を満たした可搬式のゴールが1セットあります。
岸本さん:天井についても、バレーボールの国体(国民体育大会)の試合ができる高さにしてあります。
高井さん:新体育館の細かい設備ですと、エレベーターも設けられています。冷却専用の製氷機も設置される予定です。また、管理室と救護室も設けられています。それと、新体育館はエアコンが設置されていて、冷暖房対応できます。それと、新しいプールもあります。
岸本さん:そうですね。プールは25mで、こちらの屋根も木で組んでいます。また、プールサイドに小さなセミナールームを設けています。プールの授業で、その場で座学の授業もできるようになっています。
ーー以前のプールから変わった点はありますか。
岸本さん:まず深さが違います。前のプールに比べて浅くなっています。前のプールには、4mの深さになる場所がありました。ですが、あそこは初心者の人が泳ぐには適さないので、今度のプールでは一般的な深さ(1.3mから1.5m)になりました。それと、レーンは6レーンあります。
ーープールが利用できるようになるのは、新体育館と同じ時期ですか。
岸本さん:はい、同じ時期です。
ーー新体育館はガラス面が多いのが特徴的ですが、台風や地震などの震災への対策はどうなっていますか。
岸本さん:耐震基準はしっかり計算して建てられているので、安心していただいて大丈夫です。また、ガラスの強度もきちんと計算されています。
防災に関しては、マンホールトイレという設備があります。実際に見ていただければわかると思うのですが、新体育館の北側にマンホールがいくつかあります。そこに囲いを立てると、災害時の仮設トイレを設置できるようになっています。災害時、トイレはとても深刻な問題になります。そのような問題にも対応することができます。
高井さん:新体育館は災害時の避難所になると想定されています。
ーー最後に、読者に一言お願いします。
岸本さん:学生数3000人に対応した立派な体育施設ができましたので、体育の授業を履修していない学生さんやスポーツ系のクラブ・サークルに入っていない学生さんにも、新しい体育館に来てもらいたいなと思っています。例えば、プールやテニスコートなどは、団体に所属していなくても、一般利用の時間帯を設けてあるので、ぜひ積極的に利用していただきたいなと思います。
ーーありがとうございました。