【履修のお悩み】意外と複雑!? ジェネと卒業要件

 波乱のオンライン履修登録から始まった今学期。きっとまだ「この授業をとったことは果たして正解だったのか」とか、「他の授業を履修すればよかった」など、履修について様々な感想を抱いている人も多くいることだろう。そして何よりも、新入生の皆さんは、履修というものの分かりにくさを痛感したと思う。そこで、多くの新入生が履修しているであろう一般教育科目(General Education / ジェネ)の卒業要件について、分かりにくい部分や勘違いを生みやすいであろう部分を解説付きで以下にまとめた。

 一般教育科目の全容を知るためには、まず、大学側が公表している以下の表を理解することが必要だろう。ただし、これは入学したての新入生が理解するには複雑過ぎるためか、履修する際に混乱してしまう者が毎年のように現れる。

領域必修単位数備考
キリスト教概論
人文科学系列Ⅰ(H1)から履修
社会科学系列Ⅱ(S1)から履修
自然科学系列Ⅰ(N1)、系列Ⅱ(N2)から履修
自由選択任意系列Ⅰ、系列Ⅱ、GELから履修
卒業要件単位数21余剰単位6単位まで選択科目の単位として認められる。それ以上の余剰単位は卒業要件とは数えられない。

※GEL=リベラルアーツセミナー                     ※自由選択の6単位は、系列Ⅰ(H1 / S1 / N1)/ Ⅱ(H2 / S2 / N2)及びGEL からとることができる。

 筆者が新入生のとき、この表を初めて見たときの感想は、「は?」の一言であった。とにかく、ここで重要なのは

人文科学H1の科目を3単位取ってね。※H2の科目を取ってもここにカウントされないよ!
社会科学S1の科目を3単位取ってね。※S2の科目を取ってもここにカウントされないよ!
自然科学N1とN2のどっちを取っても良いから、とにかくNの科目を合計6単位取ってね!

ということである。

 上記の3つの領域の中で最も特殊なものが自然科学であり、人文科学や社会科学と違い、N1のみではなく、N2の科目もその必修単位数としてカウントされる。また、他より3単位分多い6単位分の履修が要求されている。この自然科学の扱いについても疑問が生じやすく、特に「N1とN2の科目をどちらも履修しなければいけない」と勘違いしている学生が多い。例えば次の2つのケースを考えた場合、

ケースA  N1)情報科学概論(3単位)+ N2)環境研究(3単位)=6単位 OK!

ケースB  N1)情報科学概論(3単位)+ N1)数学の方法(3単位) =6単位 OK!

N1とN2の組み合わせに関わらず、とにかくNの科目を6単位分満たせば良いため、どちらも問題はないということになる。

では、次のような場合はどうなるだろうか。

ケースC  N1)情報科学概論(3単位)+ N2)コンピュータ・リテラシー(2単位)+ N2)ネットワーク情報活用(2単位) =7単位 OK!

 確かに卒業要件の6単位は満たしてはいるが、1単位分の余剰が生じてしまっている。ちなみに、自然科学の科目には他の領域に比べて2単位のものが多いため、このような状況が生じる可能性は高い。では、この余剰した1単位分はどうなるのだろうか。当然、無かったことになる訳ではなく、「自由選択」という領域において加算されることとなる。

 この「自由選択」という領域の存在がくせ者で、我々の理解を大きく妨げる可能性がある。表を見たときにこんなことを思わなかっただろうか。「キリスト教概論、人文科学、社会科学、自然科学の必修単位数を全部合わせても15単位なのに、一般教育科目全体の必修単位数が21単位なのっておかしくない?」この疑問のカギになるのが「任意」と記載されている「自由選択」の領域だ。簡単に説明すると次のようになる。

領域必修単位数履修科目群
自由選択6単位何でもOK!H1、H2、S1、S2、N1、N2、GELのどれを取ってもここにカウントされるよ!

 簡単に言えば、上の表の通りである。筆者は、なぜ自由選択では6単位分が必ず必要なのに、必修単位数の欄に「6単位」と記載せず、あえて「任意」という勘違いを生むような書き方をしているか、未だに理解できない。とにかく、自由選択も6単位分必要であることをしっかりと頭に入れておいてほしい。そして、人文科学や社会科学ではH1とS1の科目のみが必修単位として要求されていることから、自由選択においてはH2、S2、N2のみが必修とされていると勘違いしている人も多いが、決してそうではない。、H1、S1、N1の科目も同様に、自由選択の領域に含まれることも注意してほしい。

 さて、ここで具体的な例について考えてみたい。

Kさんの履修

キリスト教概論キリスト教概論(3単位)
人文科学H1)音楽と社会(3単位)
社会科学S1)社会と文化(3単位)
自然科学N1)情報科学概論(3単位)+N2)コンピュータ・リテラシー(2単位)+N2)ネットワーク情報活用(2単位)=7単位
自由選択H1)哲学の世界(3単位)+ リベラルアーツセミナー(3単位)=6単位
合計22単位

 この場合、卒業要件の21単位を満たすものの、余剰分が1単位生じてしまった。この余剰分がどこに加算されるのかというと、他の基礎科目(Foundation/ファンデ)や専攻科目(Area Major)なども含めた「選択科目」(Elective)の領域に加算される(「自由選択」とは異なる)。この「選択科目」については、ELAのストリームやメジャーの形式によって卒業要件は異なる。例えば、ELAのストリームが3でメジャー・マイナー形式の学生は、28単位分もの単位を履修する必要がある。そのため、余剰分とはいっても卒業要件を満たすための大切な単位として加算されるため、ジェネの履修計画を立てるときには、この「選択科目」という領域に十分に留意してほしい。

 選択科目という領域の存在を知ると、表の備考欄に記載した「余剰単位6単位まで選択科目の単位として認められる。それ以上の余剰単位は卒業要件とは数えられない」という文言について、理解することができる。ここで言う「余剰」とは、上記Kさんのケースのように、ジェネ全体での総取得単位数が必修の21単位を超えた場合の余剰分を指す。つまり、「ジェネは27単位分までは卒業要件に入れてやるけど、それを超えて履修した単位数分は無かったことにするから注意してね(卒業要件に入らない)」ということだ。そのため、「基礎科目とか専攻科目は難しくて成績取りずらそうだから、ジェネいっぱいとって成績稼ぐわ」と思っていたとしても、27単位の大台を超えてしまえば余剰分の科目の成績がいくら良くても、卒業要件やGPAには一切反映されないことになるので注意してほしい。

 以上がジェネの卒業要件に関する一連の説明である。勘違いを起こしやすい点や分かりにくい点については一通り説明してみたが、いかがだっただろうか。履修に関する知識は、自らが卒業できるかどうかに密接に関わるものなので、分からない部分をそのままにしておくと取り返しのつかないことになってしまう。そのため、もし分からないことがあったら遠慮なく周りの先輩などを頼ったり、大学側に相談したりして解決していくことが大切だ。【うじ】