「聴衆に響け!熱い想い」
英語プレゼンテーションコンテスト
優秀賞受賞 宮田果歩さんインタビュー

 

 昨年11月に神田外語大学で「第9回全国学生英語プレゼンテーションコンテスト」が開催された。当大会にて優秀賞を受賞されたICU4年の宮田果歩さんに、WG社員がお話を伺った。

 

▼目次

・全国学生英語プレゼンテーションコンテスト

・大会準備・本番

・ICUの4年間を通しての英語力の磨き方

 

▲優秀賞を受賞された宮田果歩さん(ID21)

 

全国学生英語プレゼンテーションコンテスト

――全国学生英語プレゼンテーションコンテストでの優秀賞獲得、おめでとうございます。まずは、大会の概要について教えてください。

 英語で表現する力、論理的に考える力、プレゼンテーション能力を向上することを目的とした大会です。与えられたテーマの中から一つを選択し、英語でプレゼンを行います。

 大会の形式としては一次予選と二次予選、本選に分かれています。一次予選は、プレゼン概要と4分以内のプレゼン動画を撮影して応募するものです。今回の大会だと、応募者は1000人以上いて、そこから審査に通過した250人程度が二次予選に進みました。二次予選では、コロナの影響もあり、Zoom上で10人程度の小さなグループに分かれてプレゼンを競い合いました。その約250人の中から、合わせて8組の個人やグループが本選に進出し、各界の専門家や有識者で構成された審査員を前にプレゼンを行いました。最終的に私は上から2番目の優秀賞を受賞することができました。

 大会は(13ヶ月以上の)留学経験がない、英語が母語でない大学生、大学院生、専門大生、短大生を対象にしたものです。個人または3人までのグループが出場できて、どちらも同じ土俵上で競い合います。私は個人で出場しました。お題として与えられるテーマは三つあり、参加者はその中から自由に選べます。毎年テーマは変わるのですが、私のときは一つ目がコロナ後を見据えたこれからの時代に必要な教育のあり方の提案、二つ目が無人駅を活用してどのように人々を集めるかという企画の作成、三つ目が地球規模の気候変動問題に個人レベルでできることの提案でした。私は新型コロナウイルス感染症の拡大により、今年新しく加わった一つ目のテーマでプレゼンを行いました。

 

――当大会に参加しようと思われたきっかけは何でしょうか。

 私は2021年度から教員になります。これから現場に立つ教員として、新型コロナウイルスがいつ収束するかわからない状況下で必要な、実現可能性のある教育を提案したいと思いました。このテーマに惹かれた部分があると思います。

 

――「新型コロナを踏まえたこれからの時代に必要な教育のあり方」というテーマですが、具体的にはどのような内容を発表されたのでしょうか

 簡単に言うと、伝統的な対面での授業形態とオンラインでの授業形態を組み合わせようというものです。はじめに、Flip Learning(反転授業)と呼ばれる授業形態を提案しました。反転授業とは、生徒がICT機器を用いて事前に授業内容を確認し、教室では主に他の生徒とディスカッションするという授業方法です。加えて、生徒と先生、さらに保護者をつなぎ、情報のやりとりをするシステムも提案しました。このシステムにより、どこにいても、どんな時でも、すぐに3者(生徒・先生・保護者)が生徒の成績や精神状況等の情報を共有できます。最後に、生徒が海外の方や、日本全国の地場産業・伝統工芸に従事している労働者の方々と、オンラインを用いて交流できる仕組みを提案しました。社会科見学等では、生徒は自身の住む地域以外の状況を知ることはできません。知らないという理由から興味を持っていない生徒もいると思うので、実際に人々とオンラインで交流する体験があれば良いのではないかということを提案しました。

 

大会準備・本番

 

――当大会に向けてどのような準備をされましたか。

 もともと教員を目指していたこともあって、発表したような提案はすぐに思いついたのですが、それらを実践できるかという点が危ういなと思いました。『月刊先端教育』という教育雑誌を購読したり、オンライン上で行われた教育フォーラムに参加したりして、プレゼンでの主張の裏付けとなる様々な情報を集めました。

 

――いつ頃から準備を始められましたか。

 ICUの掲示板やFacebookで告知がされていたので、コンテストの存在は以前から知っていました。参加しようと思ったのはコロナの感染が拡大し始めた4月で、本格的に情報を集めたり内容を考え始めたのは8月に入ってからです。

  

――英語力を高めるために、何か準備をしていましたか。

 私は1年生のときから英語ディベート部に所属し、ある程度の英語力を身に着けましたが、それでもやはり自信を持てない部分がありました。特に、プレゼン後の質疑応答にも何%か配点されますが、そこをしくじりたくないというのがありました。なので、想定される質問を40個くらい考えて、英語で答えられるようにしました。加えて、プレゼンも全て暗記するなど、十分に事前準備を行いました。

 

――大会本戦ではどのようなことを意識されましたか。

 発表内容をどのように伝えるかを意識しました。対面で行われる本選では、審査員の方に最低5回は目を合わせるとか、声に抑揚をつけるとかの工夫をしました。私だけが喋ってプレゼンをしているという形ですが、なるべく聴き手とのコミュニケーションを取ろうと気をつけていました。

 

――大会に向けての準備または本番で大変だったことはありますか。

 やはり机上の空論にしたくなかったので、内容の裏付けに力を入れました。最終選考の本戦には文部科学省の方も来てくださっていて、特に教育のテーマだったので、情報の信憑性にも気をつけました。また、自身の好きなテーマだからこそ、10分間で伝えられる内容に絞ることにも苦労しました。

 

――優秀賞を受賞できた最大の要因は何だと思いますか。

 裏付けとなる証拠を集めることに力を入れたので、それがプレゼンの中で自信となって現れていたというのがあると思います。質問されたときにもつまることなく答えられました。審査員の方に言われたのがプレゼン内容に実現可能性があるということと、思いが伝わってきたということでした。これは、教育という自身の将来に関係する内容であったことが要因だと思います。

 

――大会に参加した後で、何か感じたことはありましたか。

 審査員の方を含めて、多くの方が教育に興味をもっていて、これからどうしていこうかというのを真剣に考えているんだなと思いました。三つあるテーマの中で、一つ目を選んだ参加者が断然多くて、全体の半数の500人くらいでした。全ての発表は見ていませんが、予選も含めて興味深いアイデアもいくつかありました。また、文部科学省の方をはじめとして、教育に携わる審査員の方々が私の提案を聞いてくださったことが嬉しかったですし、「これからの教育」というテーマをとても多くの人たちが重要な問題として捉えているのは、とてもステキなことだと思いました。

 

 

ICUの4年間で英語力をどのように磨いたのか

 

――大学入学時から、英語は得意でしたか。

 もともと、大学に入った時は英語で自己紹介くらいしかできなかったんですよ。なので、セクメの中でもディベート部の中でも、英語が出来ない子の象徴のような感じでした。。けれども、努力してこういう結果が出せたというのが単純に嬉しくて、ICUで勉強してよかったなと思います。

 

――「入学当初英語がほとんど話せなかった」とおっしゃっていましたが、ICUでの4年間は英語力の向上あるいはコンテストに役立ちましたか。

 私はディベート部に入っていたことが大きかったと思っていて。ディベート部で英語を毎日喋っていたというのと、周囲から文法が変だとか発音が変だとか言われていたのもあって、英語力を伸ばそうと思いました。ディベートってすぐに反応しないといけなくて、プレゼンコンテストの質疑応答もディベートに比べたらましだなと。即座に返す力、論理的に考えて間髪入れずに英語で返す力がディベートで身に着いたなと思います。ディベートだと「なんで?」というところが突っ込まれるので、根拠のない薄っぺらなことを喋っていると指摘されるんですね。主張に加えて証拠を必ずつける癖がつきました。

 

――今までどのようにして英語を学んだのですか。

 私は日本で英語を勉強してきたんですね。最初にオーソドックスに単語と文法を必死に勉強しました。教員になりたいというのもあって文法をできるだけ完璧にしようと、英語力の土台を作りました。その上で、ディベートやスピーキングなどのアウトプットに移っていきました。海外経験に関しては、短期でSEAプログラム等に行ったことがありますが、文化や宗教、人との繋がりといった関心は高まった一方、実際の英語力に結びついたとはあまり思いません。ほとんどは独学で、英検などの資格試験をを3ヶ月にいっぺんくらい受けてました。教員になる時に有利になるのかなと思って。あとは、Youtubeで英語学習に関する動画や映画を見たりもしましたし、他にも、スタディサプリのテキストを何回も解いたり、40万円くらい払って週2、3回は英会話塾に通ったり……。とにかく、英語を頑張りたい生徒がやりそうな英語学習を一通りやっていた感じです。

 

――最後に、英語プレゼンが苦手な人へのアドバイスをお願いします。

 長期的に見ると、自信が自分を支えてくれると思うので、自信をつけるというのが大事かなと思います。日本人って完璧な英語じゃないと喋りたくないという人が多いと思うんですね。私もそうで、ICUの中だと英語を喋りたくないし。でも、中高で習ってきた文法や単語を使って英語を喋っているのなら、上手くなかろうと発音が悪かろうと、何かを伝えようという気持ちさえあれば内容の方が大事かなと私は思います。自信がなかったとしても、何かを伝えようという思いがあってプレゼンするのであれば、聴衆にも絶対に伝わると思います。

 

――ありがとうございました!!  【あまちゃん】