湯浅八郎記念館 日本の色 赤・黒展

もうすぐ中間テストやレポート等で忙しくなる季節がやってくるが、皆さんはいかがお過ごしだろうか。

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日本の色 赤・黒 ポスター

現在、湯浅八郎記念館では「日本の色 赤・黒」展を開催している。この展示は、日本の伝統色である赤と黒の漆器に焦点を当てており、食器や酒器、化粧道具など約90点が展示されている。

今回の企画展の特徴は、展示品のほとんどが赤と黒に限られているという点だ。一般的な漆塗りのイメージは赤と黒だが、漆の色にはその他にも緑や黄などもある。しかし、この展示ではあえて赤と黒の漆に限定することで、漆工品の形や文様の複雑さや美しさを再発見できる場になっているという。展示の構成としては、お弁当箱、菓子重、お盆、膳・椀、酒器、化粧道具という6つのセクションに分かれており、セクションごとの赤と黒の対比がとても美しい。

ここではその中から、筆者が特に気に入った展示品をいくつかご紹介したい。

 

提重(さげじゅう)・荷担(にない)弁当

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提重 萩と蝶文 湯浅八郎記念館所蔵

 

提重と荷担弁当は両方とも、大人数で月見や花見をするときに用いられた漆塗りのお重と小皿や盃のセットである。3~5人前のお酒や肴などを持ち運ぶために作られ、一般庶民から貴族まで幅広い層の人々が使用したという。

数点展示されている弁当箱の中でも、ひときわ目を引いた展示品が「萩と蝶文」の提重であった。これは4~5人前用で、金蒔絵で蝶の文様を施した重箱と、萩文様が全面に描かれた盃、そして酒を持ち運ぶための酒筒が収納されている。豪華なのは中身だけではない。外箱は盃とは逆に、黒地に朱漆で萩が全面に描かれており、ただ見ているだけでも存分に風情を味わうことができる。

荷担弁当は、手で持つ提重とは違い、棒を用いて担ぐことができるために荷担弁当と呼ばれた。今回展示されているものは3人用のもので、大きな箱型の黒漆の入れ物に、朱漆の器が収納されている。おひつやお吸い物を入れる容器、おたま、しゃもじなどが一緒に入っているのも印象的であった。

 

秀衡椀(ひでひらわん)

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秀衡椀 菖蒲文 湯浅八郎記念館所蔵

秀衡椀は東北の南部地方で伝統的に作られている重ね椀で、展示されているものは飯碗、汁椀、香の物椀の3つまたは4つが重ねられている。主に上客に食事を振舞う際に使用されたお椀であるためか、椀の外側に施された黒漆の上から朱漆や金箔で鶴や菊、松などのめでたい文様がいくつも描かれ、その装飾は目を見張るほどだ。当時の人々は贅沢な食事だけではなく、器の美しさで目も満足していたに違いない。

 

「日本の色 赤・黒」展は3月13日(金)まで開催されている。2月4日(水)までは、毎週水曜日に学芸員実習生によるギャラリートークも行われるので、テストやレポートの合間に是非足を運んでいただきたい。

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