ICU祭のテーマを考える

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2015年度ICU祭のテーマの募集が始まった。テーマは学生から募集され、集まった候補のうち、ICU祭実行委員によって絞られたテーマから履修登録日の投票で決める。過去5年間のICU祭のテーマは以下の通りである。

年度テーマ
2014夢限
2013還~次の60年に向けて~
2012地球滅亡するなら就活しなくていいんじゃね!
2011
2010

*出典 ICU祭実行委員会フライヤー

過去のテーマは、2012年度の「地球滅亡するなら就活しなくていいんじゃね!」を除き、漢字1字または2字の単語が選ばれている。「繋」、「躍」、「夢限」と、ICUが献学60年を迎えた2013年度の「還~次の60年に向けて~」以外は、「繋がり」や「躍動」、「無限」といった無難なものが選ばれている。このようなテーマならば、わざわざ投票する必要があるのか疑問に感じる。

テーマが平凡になってしまう要因の1つとして、ICU祭を実施する目的が見えにくいという点が挙げられる。

祭では、各サークルやELAの各セクション(英語科目を受講するクラスを指す)が飲食店や展示ブースを出したり、あほ山でパフォーマンスをしたりする。このようなICU祭に対して「皆で出し物をして盛り上がる」以外の意味を見出している学生がどれほどいるのだろうか。そして、もしICU祭がただの出し物発表会なのであれば、なぜICU祭実行委員会が存在し、どんな理由で彼らは祭りのテーマを募集しているのだろうか。

2012年度は地球滅亡と就活を掛けたテーマであった。

このテーマは、地球滅亡の流言を使ったり、就活生や就職活動自体を単にからかったりしているだけで、それ以上の批判的なメッセージが込められているわけではない。「就職活動よりも祭が大切」、「明日地球が滅亡しようとも祭をしよう」のように、過酷な就職活動だけが学生生活ではないという意見を表明する、オカルト話よりも日常を大切にする姿勢を表すという試みもできたであろう。しかし、内容の善し悪しはともかく、ある程度議論を呼んだものであった。

ICU祭は、入学式や卒業式を除けば、ICU生が一体となって1つのことを成し遂げる貴重な機会である。確かに、漢字1字や2字でどんな大学祭にも当てはまりそうなテーマだったら、何の論争もないかもしれない。しかし、就職活動や表現の自由の制限、同調圧力の高まりなど、現代社会には様々な問題がある。

普段の学業とは異なる、特別な非日常の場のテーマが何の意見も言っていないに等しいものでよいのか。せっかくICU祭というメッセージを発表する場があるのならば、例えば現代社会を批判するなど、何らかの意味のある言葉を発信したりすべきではないのだろうか。

毎年恒例だからという理由でテーマを集めるのではなく、今年度こそはその意味をもう一度考え、メッセージが込められた言葉が選ばれるのを期待したい。