ドリコン入賞企画、「ICU Identity Project」の全貌に迫る
|9月17日(木)、ICUの同窓会が主催する「ドリコン」(Dream competition)の受賞者が発表された。ドリコンとは、ICU同窓会がICU生の夢への一歩を応援するための制度で、審査を通過し、受賞した企画にはICU同窓会からのサポートと、賞金、そしてアラムナイハウスのラウンジ1回利用権が授与される。
今回は、JICUF賞を受賞した「ICU Identity Project」について、企画した団体であるICU Brothers and Sisters(IBS)にお話を伺った。
(※インタビューは再構成済み)
――受賞に至るまでの経緯などを教えていただけますか?
まず、2年前にもIBSとしてドリコンに出て、受賞しました。その時はUC Irvine(カリフォルニア大学アーバイン校)にアドバイジングの研修をしに行き、その際は本当に多くの学びがありました。やはりドリコンは同窓生のコネクションを活かせたり資金がいただけたりするので、より充実したイベントを開催したいという強い想いから、またドリコンに出ようかという話になりました。
そこで、それまでにIBS内の研修でICUの歴史を学んだり、卒業生のワークショップに参加したりする中で、様々な変化の波にさらされているICUにおいて、アイデンティティのようなものを考える必要があるんじゃないかということがメンバーの共通の意見として出てきました。そこで、ICUのアイデンティティのようなものを考えるようなイベントを開こうということで応募しました。
しかし、一次審査は通過したものの、軽井沢でのドリコン合宿の前にメンバー間でも、そもそもドリコンに出る必要があるのかとか、この企画は本当に魅力的なのかとか、いろんな意見が出て、紆余曲折がありました。例えば、ドリコンに出ることは、賞金を得ることがある程度の目的になるわけですが、ICUへの貢献を謳いながら賞金をもらうことがいいことなのか、それよりはアドバイジングのためのIBS内の情報の整理など、IBS内部での活動に重点を置くべきなんじゃないか、という議論がありました。そのような経緯で、一次審査を通ったものとは違う案で二次審査に望みましたが、合宿の1日目に、その案だといまいち何がやりたいのかはっきりしていないと言われて、結局、最初の案に戻って徹夜で作業してプレゼンを作り、本番の審査に臨みました。
――企画の内容はどのようなものなのですか?
今、メディアへの露出が増えたり、アジアのトップ10リベラルアーツ大学に選ばれたり、安保法案についての議論が盛り上がっている中で、戦後の反省の下に献学されたICUが岐路に立たされているように思います。そこでもう一度、ICU生のアイデンティティ、ICUらしさについて考えてみよう、という企画です。
今は、企画をブラッシュアップしている段階なのですが、ただICUについて考えてみたりICUの歴史を振り返るだけではなくて、それを参加者それぞれのフィールドで活かせるようなイベントにしていきたいと考えています。
具体的な内容としては、同窓生をゲストスピーカーとしてお呼びして、ICUの歴史を振り返り、湯浅八郎先生の言葉などをシェアして、ICUってなんだろう、ICU生らしさってなんだろう、未来にどういうICUらしさを伝えていくべきだろうかといったことを考えなおします。そして、そこで学んだことを参加した学生・教員・同窓生のそれぞれのフィールドでのアクションプランにつなげてほしいと思っています。例えば学生は、献学の思いを知って、そこで得たものを自分の学びに活かし、社会人はICUで学んだことの意義について改めて考えて、社会に対してのアクションにつなげてもらうことを願っています。
――では、そういったICU生に共通したアイデンティティがあるとお考えなんですね。
あると思っています。もしかしたらないかもしれないですが、たぶんあるのではないかと思います。最近では、ICU生を1つの枠にはめるものとしてのアイデンティティではなく、ICU spiritのような、ICU生に共通した精神があるのではないかと考えており、企画名も“ICU Spirit Project”に変更しています。
――ICUに来ているけどあまり思い入れはない、という人はICUのspiritと言われると、そんなものあるの?という疑問も持つと思うのですが、どうでしょうか?
私たちは、ICU生らしさはあると思うけれど、それを定義付けするべきではないと思っています。そうではなく、ICU生に共通していることが何なのかに興味があります。その共通点がICUの歴史にあるのか、教育にあるのか、そもそもそういう人たちがICUに集まっているからなのか、興味があるのです。ICU生のspiritを1つに定めて、それに当てはまらない人をICU生らしくないと疎外する目的はありません。
――ありがとうございました。