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祝・世界武術選手権出場&メダル獲得 池内理沙さん(ID18)インタビュー

2017年9月29日から10月3日までロシア・カザン市で開催された第14回世界武術選手権大会で、教養学部4年の池内理紗さんが棍術で2位、刀術で3位、長拳で11位という結果をおさめ、来年行われるワールドカップへの出場権を獲得した。聞くところによると、池内さんは今年の6月までイギリスのシェフィールド大学に交換留学をしており、勉学と練習を両立したうえで、これらの快挙を挙げたという。今回は、大会を終えた上での率直な感想や、武術を始めたきっかけ、留学中どう練習をやりくりしていたかなど、ご本人から貴重なお話をうかがった。(内容は再構成済み)

 

――まずは、大会お疲れ様でした。そして、入賞おめでとうございます! 最初に、今回池内さんが出場された「世界武術選手権大会」について、簡単に教えていただけますか?

世界64か国から約900人が参加する武術の大会で、大きく2つの競技の枠に分かれて行われます。私はその中で、「套路(とうろ)」と呼ばれる競技に出場しました。套路は実際には戦わず、体操競技のような形で点数をつけ、順位を争います。ちなみに、もう一方は「散打(さんだ)」と呼ばれ、こちらはボクシングに近い形で実際に戦い、格闘技として争われます。

さらに、套路の中にも細かくわけると「長拳」「太極拳」「南拳」と3つの競技が存在し、私は「長拳」に出場しました。長拳は、伸びやかな動きが求められ、手足を大きく使うほか、ジャンプをする機会も多いです。

 

――池内さんは「棍術」で銀メダル、「刀術」で銅メダルを獲得したとお聞きしましたが、刀術、棍術というのは「套路」というジャンルの中の、さらに細かい種目ということなのですか?

そうですね。複雑なのですが、出場する選手は何も持たない種目と、「短器械」「長器械」の3つの種目群の中から、それぞれ1種目を選ぶことになります。それが私の場合、それぞれ「長拳」「棍術」「刀術」だったということです。棍術と刀術は男子が選ぶことが多い種目で、女子で選ぶ人があまり多くないので、狙い目ではありました。一応それぞれ2位と3位を獲得したのですが、種目に出場した選手は元々15人ほどです。

 

――池内さんが武術を始めたきっかけを教えていただけますか?

私が9歳のときに中国から武術の先生が来日して、長拳のスポーツチームを作るという話が持ち上がりました。私の母は大学生のときから太極拳を習っていたので、その縁で私にも先生から「チームに参加してみないか」と声がかかりました。軽い興味で見学に行ってみたのですが、本当にかっこよくて。先生の動きが人間のものじゃないみたいに感じられたのを覚えています。それまで運動は好きだったし、なにか競技をやってみたいなあと思っていたので、チームに参加してみることにしました。

最初は週1回だけ練習する話だったのに、じわじわ練習時間が増えていって、今に至る感じです。

 

――9歳のときから始められたということですが、練習は大変ではありませんでしたか?

きつかったです。結局、今は週6回のペースで練習しています。長拳にはプロ制度がないので、チームのメンバーはみんな学生生活や社会人としての生活を送りながら練習の時間も確保をして、そういう形で練習せざるを得ない状況です。私も、今は休学していますが、ずっと学校に通いながら練習をしてきました。練習場所が家からかなり遠くて、行き帰りだけでも大変でした。

 

――武術をしている中で、ICUでの学び活かされているたと思った経験はありますか?

私にも周りの多くの武術選手と同じように、武術と密接な関係のある中国語を勉強するために大学に入ったり、スポーツ系の専門学校に行くという道ももちろんありました。しかし、新しいことを学んで自分の世界を広げることに魅せられて、武術とは関係のない事を学ぶことに決めました。専攻はMCC(メディア・コミュニケーション・文化)を選びましたが、リベラル・アーツの中で学んできて、一見全く関係がなくても、いつか勉強してきたことが武術に活きてくるんじゃないか、繋がるんじゃないかと考えています。

その一環が、留学です。留学に行くと言ったとき、周囲の人からは「留学に行ったら武術はやめざるを得ないのでは」とか「帰ってきても体が追い付かないのでは」などと心配されましたが、私はそうは思いませんでした。実際、留学中も練習を続けられました。もちろん練習量を減らさざるを得なかったし、練習環境も全然整っていませんでしたが、その分集中して取り組むことで補いました。武術を続けたからこそ出会えた人や学べたことは数え切れません。逆に留学中の学びや出会いには、これから武術に活かしていけるヒントがたくさん転がっていました。

また、留学を終え、留学前の自分は世界大会に近くもなんともなかったんだと、武術に対する姿勢が変わったからこそ叶った夢なのだとわかりました。

 

――留学中はどのように武術の練習をされていたのですか?

週2回、土日だけマンチェスターにある武術のチームに参加していました。私は留学でイギリスのシェフィールド大学に行っていたのですが、毎週土曜日の朝、シェフィールドからマンチェスターまで1時間くらいかけて電車で行き、練習をし、その夜は友達の家に泊めてもらって、日曜日も練習して帰ってくるみたいな生活をしていました。それでも週6で練習していた頃とくらべたら全然足りなくて。絶対太るし、体力も落ちると思ったので、加えて平日はジムに通っていました。

それでも、帰国前と比べたら明らかにジャンプが飛べなくなったりしたのですが、帰国後猛特訓して、3週間後にあった全国大会で3種目中2種目で3位で、今回の世界大会の代表にも選んでもらえました。

 

――次のワールドカップに出場する権利を獲得したとお聞きしましたが、このワールドカップはどういった大会なのですか? 世界武術選手権大会とはどういった関係性なのでしょう。

規模は世界武術選手権大会よりは小さいのですが、種目の上位8人の選手だけが出場を許される大会なので、よりレベルは高いです。次回のワールドカップは第2回の大会で、まだ大々的に取り上げられる大会ではないかもしれませんが、武術の普及促進といった側面も強い大会ですので、一役買えるように頑張りたいと思っています。

実を言うと、今回の世界大会で私が行ったプログラムは「そこまで難しくない動作を確実に成功させる」ものでした。今回、ライバルたちは難しい動作に挑戦して、失敗して、私より点数が低くなってしまったケースが多かったです。でも、そんな運に頼った戦略でワールドカップでも勝てるとも思わないので、私ももっと実力をつけて、いくら周りが成功しようが関係なく優勝できるようにしたいと思っています。そのために今は筋トレとか柔軟とか、そういった基礎的な部分からトレーニングをしています。

 

――最後に読者に向けて一言お願いします!

留学行くかどうか決める際、私はとても悩んでいました。当時は「もう少ししたら世界大会の代表に選ばれるかもしれない」という時期だったし、大学生の時期にしか集中して練習できないと思っていたので。一度は留学に行くのを辞めようと考えたこともあったんですが、自分で世界を狭めたくなかったし、気持ちさえあればなんとかなるだろうっていう思いもあったので、結果留学に行き、上手くいくことができました。留学中は、そもそも私はあまり自分から人に話しかけにいくことは得意ではなかったのですが、それでも頑張って現地の大会に一人で参加して、そこでマンチェスターのチームを見つけることもできました。そのチームからどんどん輪を広げて、いろんなことに挑戦することができました。

なんでも挑戦してみて、そしてやる気をずっと保てば、何事もなんとかなるものだと思うので、皆さんにもぜひ「挑戦をすること」をお薦めしたいです。

 

――ありがとうございました!

▲池内さんの「長拳」の演技

▲「棍術」の演技

▲「刀術」の演技