SEAプログラム体験記 Monash College編
|ICUの数ある留学プログラムのなかに、夏期休暇を利用した海外英語研修(Study English Abroad)プログラム、略してSEAプログラムがある。現在は多くの1、2年生がこのプログラムに参加し、さまざまな国の大学で語学研修に臨んでいる真っ最中だ。
WGでは前回に引き続き、いま現在シープロに参加し、海外にいる記者による現地からのリポートを連載する。
今回は、オーストラリアのMonash Collegeでのプログラムに参加しているOさん(ID19)からの報告を紹介したい。
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夏休みが始まって間もない6月27日、筆者はSEAプログラム(シープロ)の参加者として、東京から8000km離れた真冬のオーストラリアへと飛んだ。研修先となる大学はモナシュ大学、正確を期せばMonash University付属のMonash Collegeである。
まず、Monash Collegeを選んだ理由について述べておこう。シープロにおける筆者の最大の目的はスピーキング力の向上であった(筆者は海外在住経験のない、いわゆる「純ジャパ」である)。Monash Collegeは6週間の滞在が全てホームステイであり、現地の家族と共に生活することはスピーキング力向上の一助になるはず、と考えたわけだ。また、ノートパソコンなどの電子機器を活かした授業であること、メルボルンは「世界で最も住みやすい都市」として有名であることなども決め手となった。
Monash Collegeはオーストラリア第2の都市、メルボルンの中心部となる「シティ」のちょうど真ん中にキャンパスを構える。キャンパスはショッピングビルの3階、4階、5階を占有しており、外から見るとMonash Collegeの看板を除いて大学のキャンパスといった雰囲気は感じられない。森林によって外界と隔離されたICUのキャンパスとは正反対であるものの、シティライフをエンジョイするにはこれ以上ない立地とも言える。また、キャンパスではコーヒー、紅茶、ココアが飲み放題である。みなタンブラーを持ち込み、休憩時間のたびに補給して授業にのぞんでいた(驚くべきことに、メルボルンで600mlのコーラを購入する際には350円前後の出費を覚悟せねばならない)。
肝心の授業であるが、午前または午後のどちらか一方で、いずれも2時間の授業が15分休憩を挟んで2つ続く形である。出発前に日本で受けるペーパーテストと、現地到着後の短い会話形式のスピーキングテストでクラス分けがなされ、それによって午前授業か午後授業かが決まる。1クラス20人ほどでICUにおけるELAのセクションと似た雰囲気であり、筆者のクラスは日本人3人(そのうち筆者含め2人がICU生)、オマーン人1人、ベネズエラ人1人、そして13人の中国人で構成されていた。他の研修先の話を聞いて比べると、日本人が比較的少ないこと、圧倒的に中国人が多いことが特徴と言えよう。その中で気になった点は、言うまでもなく授業中は英語を用いねばならないはずなのだが、中国人たちが集まって中国語で話す光景がしばしば見られたことだ。教員が注意する場面はあったものの、結局は筆者自ら「今、何を話していたの?」と尋ねざるを得ないときもあった。シープロ参加を考えるならば、このようなことは覚悟しておいてもよいだろう。
授業内容はディスカッション中心で、ELAと比較すると内容は簡単ではあったものの、スピーキングの機会は十分にあったので、その点では満足している。それ以上に衝撃的だったのは、現在完了や過去完了などの基礎的な文法をしっかりと教えこまれたことである。筆者は当初、授業内で扱う文法事項が中学レベルであることに一種の苛立ちを覚えたものの、問題を解いていくうちに簡単には全問正解できないことがわかったので、不満を述べるのは控えて。ICU生として恥ずべきことかもしれないが、それが現実なのであった。宿題は課されないときのほうが多く、あっても30分程度で終わる量だった。ただしこの分量は比較的少ない方だったらしく、宿題を大量に課されるクラスもあったと聞く。
振り返ってみると、シープロの6週間は予想以上に早く過ぎ去っていった。全日程が終了した今、筆者はシープロそのものには満足している。では、己の英語力はどう変化したか? はっきり言えば、リーディングとライティングの力はほとんど伸びていないだろう。しかしながら、スピーキングとリスニングの面では、それが小さなものであれ確かな向上を感じたし、今後の学習において大きなモチベーションを得ることができた。また海外での生活を疑似体験することも、「純ジャパ」の筆者にとっては大いに刺激を受けられるものであった。シープロの良さは、単なる英語力向上以外の面でも大きい。シープロに参加すべきかと来年の新入生に尋ねられれば、筆者は参加を強く勧めるであろう。もちろん、高額な参加費のことも付け加えて、ではあるが。