三鷹産の野菜を大学で販売 地域とつながるICU地産地消プロジェクト

▲地産地消プロジェクトの玉木友貴さん(左)と上原花野さん(右)

三鷹で採れた野菜をICUで販売する活動が本格化している。大学食堂と共同でこの試みを始めたICU地産地消プロジェクトの川越紅美さん(ID19)、玉木友貴さん(ID21)、岡田光さん(ID21)、そして東京むさし農業協同組合の森屋賢さんにお話をうかがった。

 

——まず、ICU地産地消プロジェクトがどのような経緯で始まったのか教えて下さい。

川越さん:私と別のメンバーがオックスファム・ジャパンという国際協力NGOのユースプログラムに参加したことがきっかけです。そのプログラムは、貧困問題を解決するために「何らかのアクションを自分の大学から起こしていこう」というプログラムで、オックスファム・ジャパンの掲げる理念の一つに地産地消がありました。その後、ICUなら周りに農家さんがたくさんいらっしゃるので地産地消が可能かもしれない、と考えて大学食堂の支配人の方に相談しました。そして、すでに三鷹の農家の方が定期的に学食に野菜を納品されているとうかがい、そのことはあまり学内では知られていないように感じました。そこで、三鷹産の野菜だけを使用したカレーを期間限定で販売したらもっと三鷹の農業のことを知ってもらえると考え、2016年の夏に初めて販売を行ったのが最初の活動です。学食での1週間の特別メニューの提供は今まで毎年夏と冬に行っており、今年の夏で5回目を迎えました。

 

——どうして大学で野菜を販売することにしたのでしょうか?

玉木さん:もちろん三鷹の野菜を広めたいということと、ICUの学生の役に立ちたいという思いがありました。私も川越さんも寮生ですが、寮からはスーパーが遠くて買いものに行くのが大変です。ICUでも三鷹の野菜に興味がある学生はいるのですが、三鷹緑化センターもICUから結構遠い上に朝早く行かないと野菜が売り切れてしまうこともあります。そうした学生としての立場からも、ICUのキャンパス内で販売できたらと思って始めました。

 

——農家さんの側としては、大学で野菜を販売することにどんな良いところがありますか?

森屋さん:農協で販路を広げていこうという話が出ていた時に、ちょうど川越さんからこの話を頂きました。地産地消プロジェクトの皆さんが、三鷹産の野菜を買いたいと思っている学生数などのデータも出してくれていたので、農協で話を通しやすかったです。三鷹緑化センターに野菜を持ってきている農家は20軒ほどで、規模がそこまで大きくありません。緑化センターは確かに駅から離れているし、ICUからも離れているので、まとまった数の野菜を持っていって販売できるというのは緑化センターとしても魅力的なことです。農家さんとしてはもっとたくさんの人に買ってほしいという思いがありますが、どうしても駅から離れているので近隣の人以外は来づらく、営業時間も5時までなので学生には厳しいですよね。その上、荷が残ってしまうとその農家さんが持って帰らないといけません。売れ残ってしまうとなると緑化センターでの販売をためらう農家さんもいると思うんです。しかし販売数が伸びれば、三鷹の農家さんに緑化センターでの販売をお誘いしやすくなります。そういう意味でも、販路も広がるという点で特に魅力的なプロジェクトでした。

 

——客層としてはやはり学生が多いのですか?

岡田さん:もちろん寮生を中心に学生が多いですが、販売にあたっての手続きをする中で関わった職員の方々も帰りがけに買いに来てくださります。

 

 

——売れ行きはいかがですか?

玉木さん:今のところ毎回14000円分くらい納品していただいて、完売しています。売り方としては、17時から19時半までに旧D館の店頭で売って、売れ残った分は大学食堂や寮に持って行ってさばくという流れです。19時半までにだいたい12~13種中10種は完売しています。それぞれ10個ずつくらいです。サトイモやトウガラシ、銀杏などの調理しづらいものはなかなか売れにくくて、そういうものはガッキの方に買い取っていただいたり、寮生の方に「どうですか?」と勧めに行って買っていただいたりして、今のところ10月中の販売日は3日間とも完売しています。

 

——今後なにか改善していきたい点はありますか?

玉木さん:徐々に販売数を増やしていけたらいいなと思います。また、買いに来てくださる方の層を増やしていきたいです。今のところ客層としては、教授の方や職員の方、あとは私たちの知りあいで三鷹産の野菜に興味がある学生が中心です。もっと普通にスーパーに行くような感覚で気軽にいろいろな学生に来てほしいと思っています。また、”Zero Waste”に取り組んでいる方からビニール袋をつけてほしくないというリクエストがあって、それにどのような形で応えていくか検討しています。地産地消だけではなくて、もっと幅広く「食」や「環境」などの視点からより良い活動の仕方を探っていきたいと思っています。

 

——最後に今後の抱負をお願いします。

森屋さん:元々こういう大学での販売を始めたのは、三鷹の農業のことをもっと知ってほしいという思いからでした。今、都市農業は大きな転換期を迎えていて、「農業のことを知ってもらう」ところから「農業をうまく使って地域を盛り上げていこう」という考えに変わってきているので、農業自体を使って大学の活動を盛り上げていってもらえたらと思います。

岡田さん:学生としてこうした活動に関わる目的にも通じるところがありますが、自分たちが食べるものというローカルな次元の問題を、こうして大学という教育機関で扱うことの意味も大きいと感じています。地産地消という一つの取り組みを教室外で実践していき、そういう問題を考える入り口になったらいいなと思っています。

玉木さん:地元で取れた野菜を販売するのは継続した活動ですが、例えば1週間限定で学食にて三鷹産の野菜を使ったメニューを出すことは特別なイベントの様になっていると思うんです。地元のものを食べることは当たり前であるはずなのに、今の世の中ではそれが当たり前ではなくなっていますよね。これからは、地産地消という「当たり前」を取り戻していけるような活動をしていきたいと思います。

 

——ありがとうございました。