第1回ICU世論調査⑵ 〜学内問題編〜 Cコード反対、64.9%

 Weekly GIANTS Co.(以下WG)は、2020年1月下旬から3月上旬にかけて、ICUの学生を対象に無記名アンケート方式の世論調査を実施した。今回は、アンケート後半部「学内の問題」に関する調査結果を公表する。アンケート前半の政治意識に関する調査結果、調査方法、結果を見る際の注意点に関しては、前回記事「第1回ICU世論調査 内閣支持率、衝撃の15.7%」を参照されたい。

実際に使用したアンケート用紙

【調査結果】

10. 岩切新学長について

 この質問への回答は「分からない」が圧倒的多数の77.0%を占めた。「そもそも誰かわからない」「この教授の名前を初めて聞いた」と言った声も聞かれた。このアンケートは、岩切教授が学長に就任する直前に行われたものであったため、岩切新学長への是非を判断する以前の問題だったと思われる。岩切学長はフランス文学等を専門とされる、人文科学デパートメントの教授だ。

 3月以降、国内で新型コロナウイルスの流行が拡大を見せると、岩切学長が表立って対応する姿が見られた。同月のオンライン授業決定通知に始まり、緊急事態宣言発令時には学長から直接メッセージが送られた。授業料および施設費に関する返還・減額要請の署名運動が起こった際には、学生らの疑問に対し回答も為された。

 おそらく今の段階で同様のアンケートを行えば、少なくとも「知らない」と答える学生が減ることは想像に難くない。ちなみに、岩切教授の新学長就任決定に際して、WGはインタビューを行った。以前は紙面のみの掲載だったが、今回のアンケート結果を受け、Web版に後日再掲する。

11.「Cコード」についてどう思うか

 「Cコード」に関する質問では、「賛成」「どちらかといえば賛成」が合わせて24%、「反対」「どちらかといえば反対」が合わせて64.9%となっており、学生の間では反対派が多いことがわかる。

 「Cコード」(正式名称:キリスト者条項)とは、「ICUの専任教員は原則としてキリスト者でなければならない」という規程のことを指す。同条項は、学校法人国際基督教大学「寄附行為施行細則」第7条において規定されており、細則には必要によって例外を認め、キリスト者でなくとも任用する場合があることも記載されている。

 教派は問われないものの、教員採用の幅を狭めかねないこの規定は、しばしば学内で議論の対象となっている。大学側が「キリスト者条項は本学の献学理念を保持するために必要」としている中で、当局と学生間に相違が見られる結果となった。

12. 本館老朽化に伴う建て替えについて

 結果は、「賛成」「どちらかといえば賛成」が合わせて78.9%となっており、大多数の学生が建て替えに賛成であることがわかる。本館は、東日本大震災の際には壁にひびが入るなどしており、その老朽化を嘆く声は以前から上がっていた。今回の結果は、その声が反映されたものと考えられる。

 しかし、本館は2017年の耐震性能調査において問題が見られず、またICUの伝統と歴史的価値を象徴していることから、現在は建て替えではなく改修が計画されている。給排水・衛生・空調に関しては経年劣化がみられるため、新校舎の建設を待って、抜本的な改修が行われる予定だ。

 大多数の学生がその老朽化を懸念する一方で、その歴史的価値を尊重する声が存在することも事実だ。「本館建て替え問題」に関する詳細は、以下の記事を参照頂きたい。

13.「大部分をオールジェンダー トイレ(性別に関係なく利用できるトイレ)にすべき」という意見について

 「賛成」「どちらかといえば賛成」が合わせて43.9%、「反対」「どちらかといえば反対」が合わせて40.4%と、この問題に関しては意見が拮抗していることが見て取れる。

 本館東側トイレ(1〜2階)は、先日改修工事が完了し、内装、外装ともに一新された。中央トイレに関しても、夏休み中に改修される予定だという。LGBTQに対する配慮の観点から考えると、導入は前向きに検討すべきかもしれない。しかし、現時点では学生間の意見は二分されている。

 この質問は、「オールジェンダー トイレ導入に関するアンケート」が、一時期ICU Portalに掲載されていた(現在は削除済み)こと、ジェンダー ・セクシュアリティ研究関連の授業においてしばしば話題に上ることから、質問事項として加えた。

14. WGを知っていたか

 さて……。これはWG社員のモチベーション維持に関わる重大な質問だ。WGは、キャンパスが閉鎖されている現在はWeb版のみの活動となっているものの、平時は紙版・Web版の2形態で活動する、「給料は出ないくせに作業量は半端ない」と評判のブラック・サークルである。このアンケート調査においても、約2ヶ月間のランチタイム・空きコマが犠牲となった。しかも調査は対面式のため、人見知りのWG社員には試練と言っても過言ではなかった。この質問で「知らない」と回答されようものなら、WG社員は悲嘆にくれてしまう。

 結果は8割以上が「知っていた」と回答したことから、知名度は上々の様だ。一方で、「知らなかった」と回答した人が2割弱存在することも事実である。40年以上に渡り、ICUのメディア系サークルとして活動しておきながら、この結果はいかがなものか。真摯に受け止め広報活動を増やしていくべきかもしれない。

 だが、問題は次の質問である!

15. WGを読んだことがあるか

 なんと、実際に読んだことがある学生は、6割に満たないのである! 前問では約8割が「知っていた」と回答していることから、「知ってはいるけど読んだことはない」という層が一定数存在すると考えられる。日々、人手・資金不足に喘ぎながらも、新聞を発行していた我々の努力は何だったのだろうか。しかも、より多くの人に手に取って貰えるようにと、2018年度からはフリーペーパー化にも踏み切っている。それでもなお「読んだことがない」という層が4割以上存在するのだ。

 改めて広報させて頂くと、WGは1976年から存在する、ICUのメディア系サークルである。普段は紙版・Web版の2形態で活動し、紙版は本館メールボックス前・図書館入り口・ガッキにて配布している。日々、学内の情報をかき集め、その他にもコラム・書評なども掲載した全ICU生必読の書だ(誇大広告)。時間を持て余したICU生の、良きお供となることは間違いない!

おわりに

 今回、この調査は全て対面式で行った。自由時間を謳歌する学生らに対し、政治意識だの学内問題だの、面倒とも思われかねないアンケートを押し付けるのは中々心苦しい作業であった。時には社員一同心が折れ、「にこやかにアンケートを渡し回答を懇願する係」の押し付け合いも発生した。それでもこの一連の調査結果が、学生間の議論活性化の一助となれば幸いである。しかし、最終質問の結果は……。今回、本記事をお読み頂いた方には、どうか友人諸氏にWGを勧め、手に取ってもらうよう伝えて頂くことを切にお願いしたい。

【棟梁】【RN】【まっくろくろすけ】

【参考】

・新井亮一 (2017)「ICUの施設設備の現状と展望」2020年5月15日最終閲覧

・国際基督教大学 「ICUのキリスト教理念」 2020年5月15日最終閲覧

・ 「ICU 国際基督教大学」公式Twitter 2020年5月15日最終閲覧