【初公開】
オスマー図書館に新設「O’s cafe」
オープン前に突撃取材!

 

 3月某日、学修・教育センターの職員の方からWeekly GIANTS Co.に1本のメールが届いた。

 実はオスマー図書館地階の旧マルチメディアルームが改装され、カフェになりました。
 つきましてはうぃじゃんの記者の方にオープン前に取材していただき、記事化をお願いできないかと思いご連絡差し上げました。
 実はこのプロジェクト自体、いかにお金をかけずに作り上げるかという低予算との戦いでして、衝撃的な予算で実現したカフェなのです。

 「衝撃的な予算」……!?我々はその猛烈な訳アリ感に興味をそそられてしまった。

▲旧マルチメディアルーム

 今回カフェに改装された旧マルチメディアルームは、ELAの図書館ガイダンス等の際に使用されていた。そのため、ID23以上の学生にとってはお馴染みの空間だろう。複数並べられた横長の机の上に、何台ものパソコンが設置されているだけのシンプルな作りの部屋だ。そんなマルチメディアルームが、まさかオシャレなカフェに変わることなど、誰一人として予想できなかっただろう。

 カフェ開設に至るまでに、一体どんな経緯があったのか。我々はその真相を探るべく、オープン前のカフェにお邪魔することにした。

 

 今回カフェを案内してくださったのは、大学職員の紀平さんと長濱さん。お二人のご案内のもと、我々はカフェの前にたどり着いた。

▲カフェの看板(紀平さんの手作り)

 ――「O’s CAFE」  ドア横の看板には、そう記されていた。木材の温もりと抑えめな色調が織りなす独特なアンティーク感はまるで、このカフェに内包された数々の「遊び心」を象徴しているかのようだった。何とこの看板は、紀平さんの手作りだという。 そして、看板の下に目を向けると、年代物のタイプライターが設置されていた。

紀平さん:これは過去に図書館で使用されていたものなんです。

 決して派手ではない。しかし、そのシックで落ち着いた佇まいがオスマー図書館の辿った歴史の深みを感じさせ、早くもノスタルジックな想いで胸が一杯になってしまいそうだった。

▲紀平さん(左)と長濱さん(右)

 

 「この重厚なドアの向こうには、未知なる世界が広がっている……」そう確信し、我々はその扉を開けた。

さて、ここから先の情報は、初公開のものを含む。

 

 「あらあらあら……。すげぇ……」カフェに足を踏み入れた瞬間、思わず嘆声を漏らしてしまった。

 我々の目の前に広がっていたのは、ICU内の他の施設とは世界観を異にする特別な空間だった。暗がりの中に輝くライトの優しい光、カフェ全体に広がる軽やかなジャズの響きなど、この空間を構成する全ての演出が密接に交わり合い、誘われた者たちに居心地と安らぎを与えてくれる。

――何人分の席が設置されているのですか。

紀平さん:約60席あります。でも、感染防止のために何席か間引くことを検討中です。

 学生に安心してこのスペースを使用してもらうため、コロナ対策も徹底しているという。その対策の中にもカフェの雰囲気を演出するためのちょっとした工夫が施されていた。入り口付近に設置された消毒スプレーの入れ物をよく見てみると、煌びやかなガラス製のボトルとなっている。このような遊び心が随所にちりばめられているため、利用者は思う存分、このカフェの雰囲気に浸ることができる。

▲ガラス製のボトルに入った消毒スプレー

 

 そして目に留まるのは、アンティークでオシャレな雑貨類。本棚の洋書や壁に掛けられた色合い豊かな絵が、この空間に彩りを加える。

――インテリアや雑貨類はどのように入手したのですか。

紀平さん:本棚にある本は、基本教授などからの貰い物や図書館にあったものです。インテリアや観葉植物は、Amazonとジモティーを駆使してかき集めました(笑)。

――それだけでここまでの空間を創り上げることができるのですね。

紀平さん:何せ予算が少なかったもので……。椅子や机の組み立ても全部、長濱さんがやってくれたんです。あと、壁に掛ける絵を探していると言ったら何人かの先生が「持っているよ」と声をかけてくれたのですが、あまりにもテイストがバラバラすぎて、何でもかんでももらう訳にもいかず……(笑)。最終的に、このような形になりました。

 

 いよいよ、ドリンクを飲んでみることにした。自販機にはブレンドコーヒー、カフェモカ、ミルクココア、キャラメルマキアートなど、様々なメニューが揃っている。レギュラーサイズだとどれも110円以下のリーズナブルな価格となっているため、学生でも気軽に利用することができるだろう。また、その隣にはお菓子類の自販機も設置されているため、ドリンクのお供を気分に合わせて購入することも可能だ。

▲ミルクココア(レギュラーサイズ)

――おすすめのドリンクはどれですか。

紀平さん: おすすめは「クリーミーカフェラテ」ですかね。滑らかな味わいがポイントです。他のメニューも、キャラメルをトッピングしたり、味の調節をしたりすることも可能なので、自分なりの飲み方を楽しんでみてほしいです。

 注文した「ミルクココア」は、ミルクのまろやかさとココアのほろ苦さが絶妙にマッチした、大人の味わいを楽しめる逸品。喉を通るココアの温かさと優しい甘さが、後を引く美味しさだ。

 余談になるが、筆者は取材ということも忘れ、カフェの雰囲気に浸りながらココアを味わっていた。インタビュー取材ならではの職務放棄を思う存分楽しんでいると、何故かその様子を写真に撮られることになってしまった。カメラ慣れしていない筆者は、その瞬間全身の筋肉が強張り、見るに絶えない被写体となってしまった。「もっとリラックスしましょう」「片肘をつきましょう」「あっち向いてください!」そしてしまいには、「何かちょっとカフェに慣れている感じじゃないですね……(笑)」というトドメの一言を食らった。ICUのインスタグラマー諸君には、是非筆者のリベンジを果たしてほしいと願う。

▲緊張でココアの味など全く感じていないWeb編集長

長濱さん:この自販機は学内の何ヵ所かに設置されているのですが、とても良い機械で、価格で言うと何百万円もするものなんですよ。

紀平さん:でも本当はここに業者を入れて、カフェのお店をオープンしたかったんですけどね。予算や設備の関係で断念せざるを得なくなりました。ただ、もし学生がいっぱい来てくれたら、もう一度プレゼンし直すことも考えています。

 これからのO’s CAFEの発展のためにも、より多くの学生にカフェを利用してもらう必要がある。そのため、この空間には人々を引き付けるための魅力的なアイデアの数々が隠されていた。

 

 突然、何かを操作し始めた長濱さん。次の瞬間、部屋の前方に大きなスクリーンが現れた。何とこのカフェでは、映画が上映できる。旧マルチメディアルームに設置されていたスクリーンをそのまま残しているため、2つの画面で映像を楽しめる仕様になっているのだ。これにより、カフェ内でイベントや上映会を開催するも可能となり、より多くの学生の利用が見込めるという。

▲映画が上映できる前方のスクリーン

紀平さん:イベントの開催についてはルールを策定中です。コロナの状況もあるので様子を見ながらの運用開始になると思いますが、より多くの学生のニーズに応えられる空間にしていきたいと考えています。

長濱さん:ちなみに、壁に絵などを掛けることもできるので、学生が描いたイラストを展示する企画なども面白いと思います。

――既に開催が決まっているイベントはありますか。

紀平さん:あります。4/19(月)に岩切学長がコーヒーを淹れるイベントを開催する予定です。コーヒーを片手に学長とのお話も楽しむことができます。ちなみにこの企画は、岩切学長から売り込んできてくれました(笑)。(※イベントの詳細は下部に記載

 また、窓際のブラインドを開ければ、ライトの灯りが静かに灯るシックなムードから一転、明るい春の日ざしが差し込む爽やかな雰囲気の空間へと様変わりする。このように、イベントやその時々の状況に合わせて、カフェ内の雰囲気に変化をつけることができるのも、このスペースの魅力の一つだ。

▲ブラインドから差し込む春の日差し

 ここまで見てきた通り、O’s CAFEでは日ごろの疲れを癒しながらのんびりとくつろぐことができたり、雰囲気のある空間でより質の高いイベントや企画を開催できたりする。様々な学生のニーズに最適な形で応えられる魔法のような空間なのだ。しかし、O’s CAFE開設までの歩みは決して順当なものではなかった。

 

――このプロジェクトは、いつから始まったのですか。

長濱さん:最初は2018年11月に……。

――かなり前ですね。

紀平さん:そうなんですよ。亀の歩みでして……。その間にプロジェクトを担当するスタッフも1人減ってしまいました。

――このカフェを設置することになったきっかけは何ですか。

長濱さん:図書館学(EDU216)という授業で、将来のオスマー図書館の方向性について学生と議論したことがありました。そのときに、カフェスペースを作った方が良いという意見がとても多かったんです。確かに、食事ができるスペースって図書館にあまり無かったんですよね。それがきっかけとなり、大学職員もその意見に賛同して思い切ってカフェを開設に向けて準備することになりました。

 学生たちの提案を受けて開始されたこのプロジェクトであったが、当初は予算のやりくりや設備の充実などの面で、様々な問題が山積みになっていた。それに追い打ちをかけたのが昨今の新型コロナウイルスの流行だった。オープンが遅れてしまう事態となっただけでなく、感染防止対策という新たな課題も浮上してきた。

 それでも様々な問題を乗り越えてオープンまでたどり着くことができたのは、カフェ開設に対する職員の方々の並々ならぬ熱意があったからだという。

紀平さん:とにかく怪しい空間が作りたかったんです。例えば、昔のD館ってとても怪しかったんですよ。地下に靴磨きのコーナーが設置されていたり、床屋も営業していたり……。でも最近は、そういう胡散臭い場所が大学からどんどん無くなってしまって綺麗になる一方なんですよね。だからこそ、暗くて、怪しくて、決してコミュニケーションが得意ではない方でも安心して利用できる場所を作りたかったんです。

長濱さん:「一人でも居られる」というところがポイントです。色んなタイプの椅子や机も用意されているので、様々な学生に安心して利用してほしいですね。

 学生、そして大学職員の方々の想いが込められた憩いの場O’s CAFE。こういうご時世ではあるが、感染対策を十分にした上で、この特別な空間を思う存分楽しんでみてはいかがだろうか。
【うじ】

 

▲今回の取材の様子はこちら!

 

【O’s CAFE】

開室時間: (学期中平日)8:30~19:30

※飲食可。ただし臭いの強い食べ物(カップ麺など)は不可。

※使用後の清掃はセルフサービスです。清潔で快適な空間の維持にご協力ください。

※新型コロナウイルス感染症防止にご協力ください。

 

岩切学長のイベントに関する情報

イベント名:「カフェ・ポニー」日時:4月19日(月)15:10~16:20場所:O’s CAFE(オスマー図書館地下1階、旧マルチメディアルーム)募集人数:10名※日程が近づきましたら申し込みフォームのURLをICU Portal上でお知らせします。
「カフェ・ポニー」は岩切正一郎学長が目の前で淹れるコーヒーを嗜みつつ、先生とのDialog(対話)を楽しむカフェイベントです。密を避けるため10名限定で参加者の募集をします。先着順ですのでお早めにご応募ください。※コロナウィルスの感染状況によってはイベントが中止になる可能性もあります。あらかじめご了承下さい。


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