第二男子寮OB会代表佐柳信男さんに聞く 二男OBはいま何を思うのか
|建物の老朽化のため、ついに今年の7月1日に閉寮される第二男子寮。寮に最後の別れを告げようと、先週から閉寮祭やプロムを始めとする様々なクロージングイベントが開かれている。50年以上の長い歴史の中で輩出されてきたOBたちはいま何を思うのか。第二男子寮OB会代表でID93の佐柳信男さんにお話を伺った。
(※インタビューは再構成済み)
――第二男子寮(以下第二)がついに閉寮となります。OBの皆さんにとって、第二はどんな寮だったのでしょうか?
時期によって寮のカラーはかなり違ってくるので断定はできないのですが、私が寮生だった1990年代頃は学内外問わず、様々な活動をしている学生が本当にたくさんいました。寮生はありとあらゆる方面に顔が広く、積極的な人が多かったように思います。
当時今の二男――昔は第二と呼んでいました、ではボールを年に7回開き、その間に細木杯や岡田杯の練習、Open Room、春祭りやクリスマスといった季節イベントの準備等を並行していました……バカですよね。そして、今でこそ旧寮には「勉強しない」文化があるようなのですが、以前は勉強に力を入れている寮生も多く、私も単位は落したことがないんですよ。今考えると、あの忙しさの中どうやって生きていたのか不思議で仕方ありません。
――旧寮は新寮と比べて「自由」なイメージがあります。
私が第二にいた頃は新寮が無かったので、自分たちが自由だとは思っていなかったのですが、自由だったと言われればそうかもしれないですね。ただ、自由の中にも規律は存在していて、「超えてはいけない一線」を寮生同士でしっかりと決めていたように感じています。明文化された寮のルールもありましたし、何か改善した方が良いことがあれば自分たちで発議、決定していました。私が住んでいた時は大きな問題が起こることはなかったのですが、時期によっては自由さが暴走してしまい、問題を起こす時もあったので、そこは旧寮の改善した方が良い点だとは思いました。
ただ、外部からの監視が強いと自分で自分の管理をしなくてもよくなってしまうので、あまりにも管理しすぎては寮教育の意味がなくなってしまいます。寮の管理にどこまで大学が関わるのかというバランスが必要だと思います。
――寮、特に旧寮にある独特の雰囲気や文化は昔から変わらないのですか?
私は第二のことしかわからないのですが、昔の第二は他の旧寮と比べて「バンカラ」だと呼ばれていましたね。寮の雰囲気や文化は、その時に住んでいる学生のカラーによってガラッと変わることが多いので、一概に旧寮の文化とは言えないかもしれません。ちなみに、今の第二で使われている恋人の有無を表す「不毛/有毛」文化は私たちの時にはありませんでした。私たちの頃は「全方位外交」といって、寮の皆と仲良くすべくまめに活動していこうという文化だったはずなのですが……変わりましたね。
ただ、皆となんとなくだらだら喋ることのできる雰囲気は以前から旧寮にありました。特定の人とずっと一緒にいると、どんなに仲の良い人でも息が詰まることがあると思うのですが、好きな時にふらっと友人の部屋に行き、時間を気にせずにまったりと過ごすことで、息抜きができていたように思います。社会人になると時間に追われることが多く、利害関係も発生してくるので、大学生のうちに「人と深く付き合う」経験をすることはとても大切だと思います。
――2017年4月に開寮する新々二寮は「教育寮」とも呼ばれていますが、教育に関する部分の大学側との話し合いはどの程度おこなわれたのでしょうか?
新々二寮に関する広聴会やシンポジウムも何度か開かれていますし、今の学生部長の布柴先生は、学生や寮のOBGの声をとても大切に聴こうとしてくださっています。
大学側には、もし残っている旧寮や新寮、新々二寮を「教育」寮とするのであれば、一方的に管理するのではなく人とのつながりがもっと生まれやすいような環境を整えて欲しい、そのために何ができるのかをもっと考えていこうと提案しています。
新々二寮のことだけではなく、今あるそれぞれの寮をよりよくできるよう、これからも学生と大学、そしてOB会などで話し合っていけたらと思っています。
――第二OB会として、閉寮後はどのように大学寮と関わっていこうと考えていますか?
第二自体は閉寮してしまうのですが、私たちはこれを寮の生まれ変わりだと考えています。布柴先生は、第二OB会の意見や学生とのつながりを出来るだけ残そうとしてくださっていますが、やはり寮はこれから住む学生のためにあるので、OBとして何か伝統を押し付けたりするつもりは全くありません。
私たちがOB会として出来ることはそこまでないかなとは思っているのですが、フォーラムなどを通して大学と学生を繋ぐことなど、何かできることがあれば協力していきたいと思っています。
――ありがとうございました。