SEAプログラム体験記 University of Victoria編
|ICUの数ある留学プログラムのなかに、夏期休暇を利用した海外英語研修(Study English Abroad)プログラム、略してSEAプログラムがある。現在は多くの1、2年生がこのプログラムに参加し、さまざまな国の大学で語学研修に臨んでいる真っ最中だ。WGでは、いま現在シープロに参加し、海外にいる記者による現地からのリポートを連載する。
今回は、カナダのUniversity of Victoriaでのプログラムに参加しているTさん(ID19)からの報告を紹介したい。
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筆者は現在、7月12日からビクトリア大学におけるSEAプログラム(SEAプロ)に参加している。ビクトリア大学はバンクーバー島の最南端の美しい港町の郊外に、その広大で自然豊かな敷地を有しており、1週間のホームステイと5週間の寮生活からなるプログラムをICU生に向けて実施する。
ホームステイは1週間というわずかな時間ではあるが、ネイティブな英語に触れられるという利点がある。特に、筆者のホストマザーはとても親切な人であった。そのため、ホームステイの期間を、これといった不自由もなく過ごすことが出来た。しかし、仕事が忙しかったようで、なかなか会話が長くできる時間がなかったことに後悔が残る。ただ、友人たちの話を聞く限り、友人たちは、それぞれユニークで興味深い経験をホストファミリーにさせてもらったようだ。個人的な感触としては、家に小さな子供などがいる家庭の方が会話も多く、ホームステイに向いているのではないか、という感想を持った。筆者のホームステイ先も、会話の量こそ多くはなかったものの、現地の方たちの等身大の生活が感じられ、貴重な体験となった。
一方の寮生活であるが、1人部屋で生活できるうえに、1日3食、大学構内のカフェテリアで済ますことができるために快適である。大学構内には自然があふれており、窓からリスが見えることもあるような、長閑な環境を提供してくれる。ただ、どうしてもホームステイ先よりは英語に触れられる時間は少なくなることが大きな欠点である。SEAプロの本来の目標を見失わず、積極的に他国からの留学生に話しかけていくことが大事であると言えよう。
大学での授業についてであるが、筆者たちは午前中に2コマの授業を受けることとなる。授業はディスカッションが中心であり、リスニングとスピーキング力の向上が図られる。クラス構成はだいぶ偏っており、筆者のクラスは7割以上が日本人であった。これは、大学の言語習得プログラム参加者全体における日本人の割合が多いことが原因として考えられる。また、上のレベルのクラスであるほど、日本人が多いという特徴は顕著であるようだ。プレースメンステストが簡単である上に、文法がその内容の半分を占めるために、他国の留学生よりも比較的、文法問題に強い日本人は上のクラスになりやすいのかもしれない。もしも、プレースメンステストにスピーキングテストなどが付け加えられたならば、クラスの構成はまた違うものとなったであろう。
授業の内容は前述したようにディスカッションが中心であるが、そのトピックはあまりアカデミックであるとは言えず、その点においてはELAの方に優位性が認められる。さらには、そのトピックが、ある答えが初めから期待されているような、あまり議論の余地のないものであることも多く、ただただ無為に会話を消費しているような、一種のやるせなさを感じることもあった。しかし、プレゼンを他国の留学生と共同でやり遂げたときには何とも言えぬ達成感があり、授業を受ける意義を身をもって経験することが出来た。
午後にはビクトリア大学の学生が企画してくれたアクティビティがあり、他国からの学生たちと有意義な時間を過ごすことができる。アクティビティの内容は、ビーチでの運動や山登りといったことから、博物館やお城の見学といったものまで多岐に渡る。ただ、ビクトリアは自然が多いことが特徴であるので、自然に関するアクティビティが特に多い。足を延ばせばすぐに雄大な山の自然に触れることが出来たり、海の気高さに触れることが出来るとはなんとも素晴らしい場所であると言わざるを得ない。ビクトリア大学でSEAプロに参加することにおいての一番の利点はこのような風光明媚な場所で英語を学習できるという点にあるのかもしれない。
筆者のシープロも残すところはあと1週間となった。現在、筆者はビクトリアへの愛着と望郷の念が入り混じった、筆紙に尽くし難い複雑な思いにとらわれている。何はともあれ、センチメンタルな思いに流されることなく、残りの1週間も、当初の目的である英語学習へと精を出していきたい。