ICUの猫をサポートする、「ICU地域猫クラブ」の活動を追った
|ICU生にとって最も身近な動物とは何だろうか。最近はICUに生息する動物というとアナグマのイメージが定着しつつあるようだが、「最も身近な動物」といえばやはり猫ではないだろうか。正門、バス停、駐輪場、キャンパスのいたるところで猫の姿を見ることができ、その愛らしい姿は多くの学生の癒しとなっている。TwitterにはICUの猫の写真を毎日投稿するアカウントも存在するくらいだ。しかし、一匹の生き物としての彼らに向きあい、彼らの生活や将来のことまで真剣に考えている学生は、それほど多くないように思える。
ICUの猫を陰ながらサポートしている団体があることをご存じだろうか。今年初めに設立された「ICU地域猫クラブ」だ。今回、筆者は彼らの活動に同行させてもらった。
放課後に集合し、まず向かったのは理学館の裏の駐車場。ここには約12匹の猫が生息している。そんな猫たちに持参したキャットフードを与える。時間になると自然に集まってきた猫たちにとって、猫クラブの面々はおなじみの存在なのだろう。
駐車場の猫への餌やりをすませたのちに、本館裏へ向かう。ここにも10匹程度の猫が生息している。聞くところによるとICUのネコは基本的には群れ単位で行動しており、2016年現在、キャンパス全域で120匹程度の野良猫が生息しているという。地域猫クラブは、理学裏、本館裏、バス停の計3か所、合計30匹程度の猫の管理を行っている。
餌やりのほかにも、彼らには重要な仕事がある。猫たちに避妊・去勢手術を施すことだ。もしかしたら手術に対して否定的な考えを持つ人もいるかもしれない。しかし、狩猟能力がない彼らは人間が餌をあげるのをやめるとたちまち食糧難に陥ってしまう。長期的な視野でみれば、手術を施し、過度な繁殖を抑制するほうが彼らのためになるといえるだろう。現在彼らが餌やりを行っている3つのエリアの猫たちには、すでに適宜手術を施しているという。今いる猫に餌をやりつつ、これ以上野良猫の数が増えるのを避けるのが、彼らの活動の基本的な目的だ。
猫クラブの活動の発端となったのは、元ELA教員のミゲル先生の個人的な活動だったという。それから同じくELA教員のオードリー先生や有志の学生も加わり、餌やりや避妊・去勢手術を施すなどして、目立たないながらも猫の管理をしてきたという。しかし、目前には厳しい現実がせまっている。ミゲル先生が昨年度ICUを去り、オードリー先生もこの春でICUを退職することが決まっているのだ。今までは先生方の支援のもと、餌やりや避妊・去勢手術を行ってきたが、これからは学生主体でエサ代、手術代などの資金集めや、持続可能な活動体制を整えていかなければならない。今年初めに正式にサークルとしての活動を始めたのも、そういった理由があるという。
中心となって活動している秀島真奈さんは「人手、そしてお金を確保することは私たちにとって急務です。現在18を中心に6人ほどのメンバーで活動していますが、今の状況では一人当たりの負担が多すぎて手が回らなくなってしまっているし、この中でも留学に行ってしまう学生がいます。早稲田大学に存在する同様のサークルでは、学生主体で寄付金をもとにキャンパスに30匹いた猫を3匹まで減らすことができました。彼らを目標に、今の部員が卒業した後も、サークルとして持続的に猫のサポートをできる体制を整えたいです」と話す。
日々、駐輪場で猫と触れ合うことを楽しみにしてきた筆者であるが、一度たりとも彼らの生活に思いを馳せたことはなかった。今回の活動に参加し、普段身近にふれあい、癒しを得ていながら猫たちには何もしていなかった自分を少し恥ずかしく思った。ICUの猫に少しでも癒された経験がある人は、一度真剣に彼らの将来を考えてみてもいいのではないだろうか。
なお、ICU猫クラブは4月22日金曜日の19時から20時30分までH-307教室でセミナーを行う予定であるとのことなので、興味がある学生は参加をお薦めする。
詳細は以下の画像を参考にしていただきたい。