建設現場に潜入! いま新々2寮は?
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白い壁に包まれた、新々2寮の建設現場。青いネットで覆われた建造物の合間から背の高いクレーンが天を突き、ときおり中から鳴り響くブザーは学内各所で聞こえる。
2017年度春学期から利用が始まる、新々2寮。現在は、昨年12月から来年1月までの工期のちょうど折り返しの時期にあたり、建物の構造自体を組み上げる「躯体工事」と、完成した建物に内外装を施す「仕上設備工事」の二段階のうち、「躯体工事」の段階にある。
今回われわれWG編集部は、その建設現場への立ち入り取材の許可を得た。外からでは白い仮囲と青いネットに覆われて全貌の見えない、新々2寮。その現在の姿をお伝えしよう。
(※工事の様子は6月8日時点のもの)
ブザー音の正体
建設現場の白い仮囲の内側に入っても、学内おなじみの風景となりつつあるクレーンの存在感は圧倒的だ。2基のクレーンは、建物全域に行き届くように対称の位置に設置されている。これらは、建造している建物からの支えを必要としない自立式にて計画されているそうだ。
ときおり断続的に鳴り響くブザーは、これらのクレーンを回転させる際、アームが上空を通過することを下の工事関係者に知らせるための安全上のもの(ICU Portalのページのお知らせも参照)。しかしこのブザー音を聞いて「異常事態が発生しているのではないかと不安を感じた」などの声が寄せられているため、今後はより耳障りの少ない音に変更していく予定とのことだ。
新々2寮は湯船つき
新寮には設置されていない湯船が、新々2寮には設置されることになっている。
建物内1階の一番東側のスペースで見ることができた、2つの大きなくぼみ。ここには、湯船つきの浴室が設けられることになっている。くぼみそれぞれが男子浴場の湯船、女子浴場の湯船として工事中だ。完成後は完全に分かれる浴場が、工事の段階では一体の構造として作られていることが印象的であった。
階段を登ると……
取材の際にも登った階段は完成後もそのまま用いられる常設のものだが、まだ鉄の骨組みだけで、下が透けて見えるような状態だ。取材にあたったWG記者陣に高所恐怖症の者がいなくてよかったものだ。
鉄板でつくられた階段を上っていくと、目に眩しい空の下に出る。南棟の最上部では、5階床部分の造成が進められていた。型枠に生コンクリートを流し込み、手作業でならしていく。このように、高層ビル建設の際に用いられるようなプレキャスト製品を積み上げていく方法ではなく、一つ一つの部材を手作業で、1フロアずつ工事が進めている。すでに終わっている4階までのフロアの工事も同じ工程を繰り返して組みあげられてきた。
ちなみに新々2寮は、北棟は5階建て、南棟は7階建てである。教会側の構造を低くしているのは、教会周辺の景観を損ねないためだ。それでもなお高い5階建ての圧迫感を軽減するため、北棟の教会側に集中的に木を植えるするなどの配慮も行われるという。
1フロア分工事を進めるのに約2週間。つまり、7階建ての南棟の構造がすべて完成するまではあと1ヶ月と少し、ということだ。
そこから1フロア降りた4階の様子。まさにその瞬間生コンクリートが流し込まれている直下には、つっかえ棒として鉄パイプが無数に立ち並んでいた。流し込んだ生コンクリートが固まるまで、このように支えをしておくのだ。
気になるお部屋は
すでにコンクリート養生用の棒が取り除かれた、3階の様子。「ここが廊下です」「ここが部屋になります」と言われてもなかなか想像しづらい。指をさしながら説明してもらって、ようやくフロアのレイアウトがイメージできた。梁で分けられた窓2つ分の空間がそれぞれ、2人部屋となるそうだ。各部屋に2つずつ設けられる窓はかなり広い印象だ。
「これは何でしょう?」
壁に空いた2つの穴の正体は、エレベーター扉のための開口部。これには記者たちもすぐ気がつくことができた。なかなか完成後のイメージを付けにくいコンクリートむき出しのフロアにあって、この部分は完成後の姿を容易に想像することができる。完成の暁にはこれが寮生たちの日常風景となることを思うと、なかなか感慨深い。
春学期、私たちが本館や理学館の教室に通う間にも徐々に高く伸びてきた、新々2寮。構造自体は夏季休暇の間に最上階まで完成する予定であるが、内装の工事はまだまだ先といった印象だ。今回工事現場に立ち入っても、完成後の雰囲気まではやはり見えなかった。
しかし浴場やシャワー室、エレベーター開口部、寮生たちが暮らすことになる各部屋の窓などの工事が下の階から順次始められている。筆者はそこに、コンクリート打ちっぱなしのただの空間から生活の場へと変わるのに必要な「命」のようなものが吹き込まれ始めているように感じた。この無機質な建造物が学生たちが暮らす寮としてどのように完成を迎えるか、心待ちにしておきたい。