ICUのキャンパスはどう変わる? キャンパス・グランド・デザイン事務局にインタビュー
|ICUは献学から60年以上が経ち、本館も築70年を超えた。そこでICUは今年2月、「これから60年かけてICUが創るキャンパスの未来像」を謳う、キャンパス・グランド・デザインを発表した。しかし、キャンパス・グランド・デザインに示された計画は漠然としたもので、実際にキャンパスがどう変わるのかは見えてきづらい。そこで、今回は未来のICUのキャンパスがどのようなものになるのか、法人事務局長で、キャンパス・グランド・デザイン事務局の担当である佐藤雅昭さんにお話をうかがった。
――まず、キャンパス・グランド・デザインが策定された経緯について教えてください。
ICUは献学60周年を迎え、次のステップに進む時期を迎えています。2014年には文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援事業にも採択され、大学は今後、より一層の国際化を進める計画です。次の60年を考える時、その構想の中心は教育・研究ですので、それらを支える教育・学修・研究環境は大変重要です。歳月を経て、ICUの施設は老朽化が進んでおり、その施設を今後どう整備するか、考える必要があります。また、個々の建物だけに注目するのではなく、キャンパス全体の機能とデザインをどのようにしていくのかという視点がなければ、統一感のないキャンパスになってしまいます。そういった理由から、この度、キャンパス・グランド・デザインを策定することになりました。
本館の建て替えは決定事項ではない
――やはり本館は老朽化が進んでいるのですか?
数年前に耐震工事を終えましたので、危険な状態ではありません。しかし、本館は建設から70年以上を経過しており、建物としての寿命は懸念されます。
本館の建て替えは決定したものではありませんが、長い目で見た場合には建て替えを視野に入れて検討する必要があります。
――つまり、本館の建て替えはまだ決定したわけではないのですね。
まだ決定していません。もちろん、検討中のいろいろな選択肢のうちの一つとして、新しい本館を建てる、ということがあります。
――一方、旧D館のほうは建てられた時期が本館よりも後になりますが、こちらも老朽化が進んでいるのでしょうか?
ディッフェンドルファー記念館東棟(旧D館)は歴史のある建物です。安全性という面も含めて考えると、本館と同じ理由で、建物自体の建て替えを視野に入れて、今後の整備計画を考える必要があります。
ただ、こちらもどうするか決定した計画はありません。大学のWebサイトに掲載されている工程表も暫定的で、今後変更される可能性があります。キャンパス・グランド・デザイン全体像は2030年頃をイメージして想定されたものだと理解していただければと思います。
――新しく整備されるD館、野外劇場、小劇場などはどのような施設になるのでしょうか?
現段階ではどこにどういうものを建てるのかということを検討しており、具体的にどのような設備を備えたものになるのかなどはまだ決まっていません。
体育館やプールは?
――では、体育館やプールなどの施設はどのように変わるのでしょうか?
現在、新しい学生寮2棟の工事が進められていますが、その次に、新体育館と新プール棟を含む体育施設の建設と学内住宅の整備が予定されています。
――つまり、旧D館や本館よりも先に体育館の整備をするのですか?
そのような計画です。
――このキャンパス・グランド・デザイン計画の施行にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
これから具体的な計画を策定するので、概算額として算出してはいますが、理事会は、ICUの財政負担を十分考慮して、基金運用益からの一部充当や学外機関からの借入れなどにより、必要な経費を支出する予定です。
9月に意見交換会を実施予定
――学生がキャンパス・グランド・デザインに関する要望を大学側に届ける方法としてはどのようなものがあるのでしょうか?
すでに、ICU Portalに掲載していますが、9月に学生対象の意見交換会を行う予定です。意見、質問等がありましたら、是非その場で伝えてもらえればと思います。
――最後に、キャンパス・グランド・デザインの策定に建築家の隈研吾さんが関わることになった経緯について教えてください。
教育関係機関の施設整備の実績を持つ複数の設計事務所を候補とし、それぞれの提案について理事会および大学幹部会メンバーに対しプレゼンテーションを行ってもらった結果、総合的に評価が高かったのが日本設計と隈研吾建築都市設計事務所の共同企業体でした。ICUの自然を活かすことを大切にした提案であったことも、重要なポイントであったと思います。
学生のみなさんにも意見を出してもらいながら、より良いキャンパスを作っていきたいと思っています。
――ありがとうございました。