交換留学 新生活の始まり――カリフォルニア大学留学体験記 連載第1回【寄稿】
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ペンネーム スイスチーズ(Twitter: @hdfrx にて交換留学体験記をリアルタイム配信中!)
※これらはあくまで個人の意見や経験であり、2017年度やそれ以降からの留学においては事情が異なる場合があります。
アメリカ入国からもうすぐ1ヶ月が経ち、留学先の大学の授業にも慣れ始めてきたので、ここで交換留学生活の1ヶ月目を振り返ってみることにします。前年度に留学に行っていた先輩や現地の日本人学生などから留学前にいろいろな情報を仕入れていたので、特に大きなトラブルもなくアメリカでの新生活を始めることができましたが、それ以外にも後輩のために書き残しておくべきであろうことを主に記していきたいと思います。
目次
1.大学生活
2.寮生活
3.交通機関
4.近隣の店舗
5.気候
6.携帯電話
6.銀行
1.大学生活
アメリカの大学といえばとてつもなく敷地が広い印象がありますが、カリフォルニア大学バークレー校の中心となるキャンパスについて言えばそこまで広々とはしていないように思われます。敷地面積はICUのそれより一回り大きいくらいですが、建物が密集しているからか妙にこじんまりとしているように感じられます。ただし、キャンパス内の高低差は大きく、特にI-House(寮)までの道のりは急な坂道になっているので帰宅する時には授業で疲れきった身体に追い打ちをかけられているような気分になります。
大学生活については、やはりいろいろな側面でICUと似通っている点が多いと感じます。メジャー制度や授業の番台制度、教員と学生の距離の近さ、オフィスアワー制度、タブレット椅子などICUと似ていた制度や設備が多かったおかげで特にカルチャーショックのようなものは受けることはありませんでした。留学前にいろいろな人からオフィスアワーを積極的に活用するべきだというアドバイスを頂いていましたが、ここでは嬉しいことに非常勤の講師でもオフィスアワーが設定されているので、授業内容や学業的な関心についてたくさんのお話をすることができています。余談ですが、今までこの大学で見かけてきたタブレット椅子の机はどれもICUのそれより大きいです。
ICUとUCの違い
一方で大学の歴史的背景や規模の大きさなどの違いゆえか、ICUとは異なる点も多く見受けられた。
まず、履修登録が夏休み中から段階的に始まるということに困惑した。6月上旬からのPhase 1では10.5単位、8月上旬のPhase 2では16単位、授業開始日直前の8月中旬からのAdjustment期間では20.5単位までと登録できる単位数が段階的に増えていく仕組みになっていた。ICUの履修登録日のようなものはなく、ここの学生たちはそれぞれの段階が始まったら履修したい授業を真っ先に登録していく。
さらに、多くの授業では履修可能な学生数の上限があり、履修登録に遅れてキャンセル待ちになってしまうこともある。3万人以上もの学生数を抱える大学で少人数教育を維持するための苦肉の策なのかもしれないが、授業開始後もしばらくキャンセル待ちの状態で受講するのはやはりストレスフルだった。開講される授業が公表されたら速やかに優先順位を考え、履修登録が始まったら受講したいものから真っ先に取っていくべきだということをアドバイスしておきたい。また、ここでの授業はどれも大変なので、少なくとも最初の学期に取る授業は最低履修単位数に抑えておくことが推奨されている。
また、授業のシラバスが事前に公表されることはほぼなく、知り合いが少ない交換留学生は初回の授業で配布される紙媒体のシラバスで授業の課題や試験などの重さを確認するしかない。ちなみに帰国してからの単位編入の手続きでは履修した授業のシラバスが必要になるので、なくさないように厳重に保管するかスキャンしてバックアップを取っておくといいかもしれない。
もう一つのICUとの大きな違いとしては、Berkeley Timeを挙げる。Berkeley Timeとは授業やその他のイベントが定刻よりも10分遅れて始まるという一種の文化のようなものであり、留学当初は戸惑うかもしれないが次第に慣れてしまうはずだ。
授業はやはり難しい
肝心の授業については、ICUの英語開講の授業よりもはるかに大変なものばかりであった。一つの授業で毎週100ページほどのリーディングを読まされることもざらにあり、リーディングの内容をしっかりと理解しないと講義やディスカッションについていけない。授業では積極的な参加を求められ、教授が教える講義とは別に大学院生が授業について解説しつつ学生同士にディスカッションをさせるディスカッションセクションでは学生たちが競いあうように発言している。幸いにもICUでリーディングやレポート課題が多かったり、ディスカッションをするような授業をいくつか取っていたおかげで今のところは僕自身も頑張って参加できている。
ということで、カリフォルニア大学に限らずアメリカへの交換留学を考えている方は今からでも遅くないので、大変だと言われているICUの英語開講の授業をたくさん履修して備えておくべきだと強く言いたい。
また、多くの授業では電子機器の使用が禁じられており、紙でのノートテイキングのスキルも身につけておくと役に立つかもしれない。
また、授業でのリーディングは教科書かReaderのいずれかであることが多い。Readerとは本からの抜粋、論文、記事などをまとめたオリジナルの教科書のようなもので、要するにELA Readerのようなものだ。ページ数が多いとタウンページほどの分厚さになるものもある。教科書はあまりにも高額なので新品で購入することはまずありえず、Amazonでレンタルしたり中古品を書店か他の学生から購入するべきだ。Readerは新品だと40ドル程度だが、内容が以前と大きく変わっていなければ中古品のほうが圧倒的にお得だ。学生同士で教科書を売買するためのFacebookグループもあったりするので、レンタルや購入をする前にぜひ確認してみてほしい。
2.寮生活
留学中の住居はキャンパスの南東に位置するInternational House(通称I-House)を選択した。I-Houseは8階建ての寮で、1階にはカフェやラウンジなど、2階には大学の国際交流室のような部署や食堂と図書室、3階から8階までが住居となっている。
寮には国内外からの学部生や大学院生、さらには研究などのために海外から来ている教授も住んでおり、多様なバックグラウンドを持った人と毎日のようにお話することができている。食堂で見知らぬ住人と相席したり、寮が主催している様々なイベントに積極的に参加して新たな知り合いを作っていくことができる。
ちなみにI-Houseの建物や敷地は大学の所有物だが、運営は半ば独立していることもあって他の寮とはいくつか勝手が違うところもあるらしい。(例えば学内の他の食堂で使えるプリペイド式のポイントとの互換性が無いなど。)
入寮前から言われていたように部屋の大きさはやはり狭く、面積は公式サイトでも書かれていたように3×4メートルほどであった。部屋には机やデスクランプ、ベッド、そして十分な数のクローゼットがあったので持って来た服の収納に困るようなことはなかった。
部屋のベッドにはマットレスが備え付けられているものの、シーツや枕、そして掛け布団などは自分で調達する必要がある。ちなみに僕はそのことを失念していて、初日の夜は日本から持って来ていたマットレス用のシーツのみをセットして予備のシーツを掛け布団代わりにして半ば凍えながら寝ていた。
寮は2人部屋
学部生は原則的に二人部屋で、僕が選択した二段ベッドのRegular Double、少し面積が広くて床の上に二つのベッドを別々に置いているLarge Double、さらにはLarge Doubleと同じ構造だが湾側に面しているPremium Doubleという三つの選択肢があった。もちろん料金はLarge、Premiumとそれぞれ年間1000ドルほど高くなっていく。(I-House公式サイト)余談だが部屋にはコンセントが合計で4つしか無いので、電源タップを用意しておくべきだ。
また、低階ほど社交的な住人が多いとも言われており、静かな環境がお望みであれば出来る限り上の階を選択するのがよいかもしれない。
食堂
食堂では平日なら朝食が7:15から9:30まで、昼食が11:30から13:30まで、夕食が18:00から20:00まで提供される。週末はブランチと夕食のみが提供される。それ以外の時間帯に何か食べたいときは寮内のカフェテリアで軽く食べるという選択肢もある。
食堂はビュッフェスタイルなので日替わりのメニューも含めて好きなものを好きなだけ食べることができる。ちなみに味については今のところは日本風のメニューが出たとき以外は美味しいと感じている。
寮費にはI-House内の食堂で学期ごとに限られた回数(およそ200回ほど)食べられるポイントと、カフェで使える250ドル分のクレジットが含まれているので学期末までに余らせないようにある程度計画的に使用していくべきかもしれない。仮に使いきってしまった場合は割引価格で追加購入することはできるらしい。
トイレとシャワーについてはフロアごとに男女別に共用となっている。毎朝清掃が入るので今のところは汚いという印象は受けていない。
共用のパソコンも
寮の2階には図書室もあり、部屋で勉強するのが苦手ならここで集中して勉強することができる。また、パソコンやプリンタを使いたい場合は3階にあるコンピュータ室を使用できる。パソコンは無料で使えるが、印刷は有料なのでオンライン上で事前に料金をチャージしておく必要がある。ちなみに寮内には無線LANが設置されているものの、今の時点では暗号化がされていないのでセキュリティの面では少しばかり不安である。
寮内の洗濯機と乾燥機についてはコインランドリーのようなシステムになっている。1回の料金は洗濯機が1.50ドルで乾燥機は1.25ドルとなっており、支払いはクオーター(25セント)コインとオンラインでのプリペイドのいずれかが選べる。(ただし僕は今のところ前者しか使ったことがない。)また、クオーターコインについては洗濯機の横に設置されている両替機で手に入れることができる。
友人づくり
寮では様々なイベントが開かれており、それらに積極的に参加していくことで新たな人と知り合いや友人になれたりする。
入寮直後には様々なウェルカムイベントが開かれたり、参加は任意だが一泊二日のリトリートも行われたりするので興味があれば早めに調べて定員に達する前に予約しておくとよい。ちなみに、リトリートなど有料のイベントは事前にクレジットカードで支払う事になっているのだが、ドタキャンがかなりの頻度で発生するので例えキャンセル待ちに入っていたとしても参加できる可能性はかなり高い。
毎週水曜日の夜には大広間でCoffee Hourというイベントが行われており、授業や課題からの息抜きがてらコーヒーやお茶とお菓子をいただきつつ、他の寮生と交流することができる。
また、一部の寮生がアメリカ版の人狼とも言えるMafiaというゲームを毎週金曜日の夜に大広間で開催しており、僕も数回ほど参加して新しい知り合いを作ることができた。
3.交通機関
キャンパス周辺の主な公共交通機関としてはACトランジットとBearトランジットというバスおよびBARTという地下鉄のような鉄道がある。
ACトランジット
ACトランジットはカリフォルニア湾東岸を拠点とするバス会社で、キャンパスと周辺地域を結んでいる。また、キャンパスからサンフランシスコ湾上に架かるオークランド・ベイブリッジを通ってサンフランシスコのバスターミナルまでを結ぶ便も運行している。
4.近隣の店舗
バークレーのキャンパス周辺は学生街のようになっており、大抵の必需品は遠出することなく手に入れられる。ここでは僕が大学生活を始めるにあたって活用したいくつかのお店を紹介していく。
ダイソー
キャンパス周辺を散策していて最も驚かされたのは、日本でもお馴染みのダイソーの存在であった。日本のダイソーとほぼ同じような品揃えで、日本では税抜き100円の品物を1.50ドルで購入することができる。日本同様にかゆいところに手が届くような品物を安く取り揃えており、寮からでも徒歩5分ほどと非常に近くて便利なので、バークレーでの新生活を始める際にはぜひとも立ち寄ってみて欲しい。
Walgreens
シャンプーやボディーソープ、柔軟剤や洗濯洗剤などが必要になったらWalgreensという大きなドラッグストアのような店に行ってみるといいだろう。こちらもダイソーの近くに位置しており、寮から5分ほどで辿り着ける。
Target
寮生活を始めるにあたって枕や掛け布団、シーツ、電源タップなどが必要になったら寮から少し距離があるダウンタウンに位置するTargetというお店を訪れてみるとよい。行きは徒歩でも大丈夫だが帰りに重い荷物を持って坂道を登るのは大変なのでACトランジットかBearトランジットといった学生が無料で使えるバスを利用しよう。
番外編 Amazon
大学の学生会館のような建物であるMartin Luther King Jr.(通称MLK)にはAmazonの配達ロッカーが設置されている。もちろんAmazonで注文した品物を寮に配達してもらうこともできるが、このロッカー宛にするとAmazonプライム会員でなくてもお急ぎ便を無料で使えるらしい。(参照: Amazon.com Berkeley Student Store)ちなみにこちらのAmazonプライムは学生だと半年間は無料で使え、その後は年間費として49ドルかかるとのことだ。
5.気候
カリフォルニアといえばとても暖かいイメージを個人的に持っていたが、実際に行ってみると8月中旬にも関わらずとてもひんやりとして半袖姿ではむしろ寒いくらいだった。サンフランシスコ湾を挟んだ対岸に位置するバークレーも日中の気温はセ氏20度前後で、慣れるまでは常にパーカーを着ていた。次第に気温は上昇して9月末には30度を超える日もあったが、10月に入ってからはひんやりとしてきた。朝方には涼しいのに昼は暑くなったりと一日での気温変化が激しい日もあり、体調を崩さないように注意する必要はある。また、秋過ぎには雨が降り始めるので雨具も用意しておいた方が良い。
ちなみに万が一風邪を引いた時のために、日本から葛根湯や風邪薬を多めに持ってくることを強く推奨する。
6.携帯電話
アメリカに来てからの携帯電話については、日本で既に使っていたSIMフリーかつアメリカの通信会社の周波数にも対応しているZenfone2に、T-MobileのプリペイドプランのSIMカードを刺して使用している。
日本国内においてもSIMフリーの端末の販売が増えてきているが、アメリカの通信会社が提供する周波数に必ずしも対応しているわけではないので、留学を見据えて携帯端末を購入しようとする際は予め端末と通信会社の双方の周波数をしっかりと確認しておく必要がある。
また、最近ではNTTドコモなどの日本の通信会社から販売されている端末も条件付きでSIMロックの解除に対応するので、手持ちのiPhoneなどをアメリカでもそのまま使い続けることができる可能性もある。
7.銀行
カード社会のアメリカではほとんどの店舗ではクレジットカードで支払いをすることができるが、時には現金が必要になる。
まず、キャンパス内での利便性を最優先にするなら大学と提携し始めたバンク・オブ・ザ・ウェストという銀行で口座を開設することを推奨する。キャンパス内に支店も開設される予定であり、すでにI-Houseも含めて様々な場所にATMが設置されている。
一方で、僕はキャンパス外での利便性も考慮した上でバンク・オブ・アメリカで口座を開設した。支店はキャンパスからは2ブロックほど離れているだけなので、今のところは特に不便に思ったことはない。
ちなみにシティバンクの支店は寮から少し距離のあるバークレーのダウンタウンのみにしかなく、利便性の面では劣るであろう。
シティバンクについては未確認だが、バンク・オブ・ザ・ウェストとバンク・オブ・アメリカの両行は学生かつ23歳以下でであれば残高が少なくても口座維持費は無料となっている。また、口座の開設にあたってはパスポートと学生証のみを用意する必要がある。バークレーは留学生が多いこともあり、行員はとても丁寧に対応してくれるので何かわからないことがあれば積極的に質問していくべきだ。
ただしクレジットカードについてはソーシャルセキュリティーナンバー(SSN)が必要となるので事実上発行は不可能であり、事前に日本で発行しておく必要がある。