2年目の学外開催を振り返ってーSpring Ball主催者にインタビュー

昨年から、学外で開かれているSpring Ball(以下Ball)。今年も吉祥寺のCLUB SEATAで開催された。新入生にとっては初めてのBallの体験であったことだろう。そこで今回、我々はBallを2年に渡って主催している花岡圭太(ID19)さんに取材を行った。(※内容は再構成済み)

 

――まず、Ballの概要について教えてください。

学内で開かれていたBallは2年前に終わってしまったので、カナダハウスや女子寮、今はなくなってしまった第二男子寮といった学内で開かれていたBallの歴史という点については詳しくはわかりません。元々Ballというのは、普段は寮生しか入れない寮の空間に音響機材を持ち込んで、DJが音楽を流して、寮に住んでいない学生も集まって行う音楽イベントでした。

 

――Ballの目的を教えてください。

Ballの目的に関してはいろんな解釈があると思いますが、Ballを2年間主催してきた身としてお話しさせていただきます。私は大学というのは基本的には研究を行う場であって、学生は研究を行っている教授から知識や教養を得るというのが主たる目的であると思っています。特にICUでは真剣に勉強されている方がたくさんいると思います。大学院に進学する人には大学で学んだ知識などが進路に活きることでしょう。ですが、それ以外の人にとって、知識というのはすぐに忘れられてしまうものだと思うんです。教授も学部生に対して、教えた知識を全て覚えてほしいというよりは、考える練習をしてほしいと思っているのではないでしょうか。そこで、大学を卒業した後に残るものは何かと考えた時に、やっぱり友達や一緒に過ごした人との人間関係が卒業後に大きな財産になるのではないかと思っています。そこでBallというのは、顔見知りやいつもすれ違うけど話しことがない人とつながる機会になると思います。僕自身もそういう経験がありますし、周りにもそういう経験をしたと言う友達がいます。また、普段仲良くしている友達とのつながりを深められる機会にもなります。僕は、Ballには人間関係をかき混ぜて、出会いそうで出会わなかった人をつなげる力があると思います。ICUの卒業生って、社会ですごいことをしている人が多いじゃないですか。そういった人たちが大学時代につながっていることって、ものすごい価値のあることだと思います。サークルに入っているだけじゃ、同じ興味がある人にしか会えないですよね。Ballに来るか来ないかでフィルタリングはされていますが、そういった点でBallはいままで知らなかった人と会える機会になると思って、主催しています。

 

――花岡さんがBallを主催した理由を教えてください。

もともと、僕は自分でイベントを開催していた身なので、ある程度開催に関するノウハウはあったという背景があります。それに加えて、アンケートをとったわけではないのですが、僕の周りやいろんなところからBallを惜しむ声が聞こえてきたので、できるんだったらやってみようと思うに至りました。先ほど話した、Ballの目的に関することも僕の中では動機として強かったです。

 

――Ballを開催するために、何か気をつけていることはありますか。

Ballを主催する身として、安全面に特に気を使っています。今年は実施しませんでしたが、去年初めて学外でBallを主催した時はプロのセキュリティースタッフの方を2人雇って、その方々に常に会場を巡回してもらっていました。そして、誤解されている方も多いのですが、Ballでは未成年の方は絶対にお酒を買えません。そういった取り組みをしているから、僕も2年間Ballを開催することができました。同じ状況を見ても、人によって捉え方は違ってくると思いますが、僕が見ている限り、Ballに来ている人も節度をわきまえて楽しんでいるように見えます。

 

 

――1年目はセキュリティースタッフの方を雇っていたとのことですが、2年目にセキュリティースタッフの方を雇わなかったのはなぜでしょうか。

1年目主催した時に、主催者として事故が起きることが怖かったので、万全を尽くしてセキュリティースタッフの方々に来てもらいました。結局、1年目開催してみて、セキュリティースタッフは要らない、ということがわかったので、2年目は呼びませんでした。実際に、2年目も事故は起こらずに、無事終了することができました。もともと、寮のBallにもセキュリティースタッフなんていませんでした。1年目にセキュリティースタッフを呼んだ理由は、万全を尽くしたかったから、ということで理解していただければ、と思います。それに、どうしてもコストがかかってしまうという点もあります。

 

――花岡さんは、Ballの魅力はどういうところにあると思いますか。

お酒を飲んで踊るといった行為を否定的に捉える人はどの時代にもいたとは思いますが、集まって踊るというのは昔から人間がやってきたことだと思います。世界中にそういった活動をしてきた跡が残っているのを見ると、人間にとって本能に近い重要な活動なのではないかと思っています。そういった活動も時代とともに形を変えて、いまだとクラブでパーティーという形で残っているのではないでしょうか。この世の中、お酒を飲んで踊ることって、意味がないとか、合理的じゃないとか簡単に言えることだと思うんですよ。でも、よく考えると、世の中に無意味なことはいっぱいありますよね。意味のないことをやる寛容さって、人間の豊かさなのではないでしょうか。もちろん、そればっかりやっていてはダメなんですけど、意味のないことをただ楽しいからやるっていうことも人間として大事だと思います。正直、Ballの魅力は分かる人には分かるし、分からない人には分からないものでしょう。ただ、分からないからといって、Ballやその魅力が分かる人を否定するのは良くないですよね。僕は世の中にいろんな人がいて良いと思っていて、例えば金曜日の夜の過ごし方として、一人で静かに本を読みたいって人もいれば、仕事したいって人もいるだろうし、友達と集まって飲みたいって人もいる、はたまたクラブでみんなと踊りたいって人もいると思います。ただ、その過ごし方をお互いに尊重できればいいですよね。

 

――2年間、学外でBallを開催していますが、Ballを学内に戻したいとは思いますか。

Ballを学内に戻したいかと言われると、もちろん答えはYesです。Ballという名前を使って吉祥寺に会場を移して主催していますが、僕はあれを本当のBallだとは思っていません。ただ単に、Ballという文化が途切れてしまわないように、一時的にあのように開催しているものだと僕は考えています。そういったものに否定的な圧力がある中で、一度でも途切れてしまうと、再び始めることはものすごく大変なことだと思います。4月という年度の始まりの時期にやることで、Ballという文化が続いているという印象をいろんな人に与えたかったという気持ちがあります。Ballを学内に戻したいのですが、戻すための努力として先ほど言った安全を確保して、2年間無事故でやってきたという実績をいろんな人に考えてもらいたいところです。Ballを学内開催に戻すためにはいろんな条件があると思うんですが、戻す上でもし何か協力できることがあれば、僕としてはぜひ全力を尽くしたいと思っています。戻したい理由としては、いろんな理由があるなかで、やはり伝統だから、というのが大きいです。長い間Ballを学内で開催できていた理由としては、安全管理などをはじめとする数々の努力を学校側に理解してもらっていた面が大きいと思うんです。学外でBallを行うことがどの程度安全性の証明になるかはわかりませんが、学外でも安全にBallを開催できるということを示したうえで、問題点を解決できるようなアイデアを提供できたら良いなと思っています。

 

――最後にICU生に向けてメッセージをお願いします。

Ballに来たことがない人に対して言いたいことは、ぜひBallへ1回来てほしいということです。たぶん好き嫌いは分かれると思います。実際、この前のBallでも、メインの会場の扉を開けてすぐにもうダメだって帰っちゃった人もいたらしいです。もちろん、それは仕方ないことだと思います。これも、さっき言った異なる存在をお互いに理解すべきだというところとつながってくることなんです。僕はいろんな人と飲んで話すのが好きなんですけど、おとなしくしていた人もお酒の力を適度に借りると、いつもの様子とは違う話を聞けたりするんですよ。そういうのを見ていると、やっぱり人間は本質的に時々自分の殻を破りたいとか、時々自分が普段言えないようなことを言ってみたいとか、どこかに思っていることがあるのではないでしょうか。そういう意味で、Ballはすごく良い機会だと思います。Facebookの投稿とか見てると分かると思うんですけど、みんなお利口なこと言ってますよね。そういうのが良しとされる風潮の中で、飲みすぎて恥をかくような失敗をBallですることって大事だと思うんですよ。僕の見ている限りだと、日本は失敗が許されない社会だと思います。けど、やっぱり人間って、失敗からしか学べない面ってあるじゃないですか。そういう意味で、危なくない範囲でいろんなことに挑戦して失敗することって、人間的な豊かさを養っていく上ですごく大切なことなのかな、と思うんですよね。Ballに来てくれている人に対しては、暴れすぎないでください、ということを言いたいです(笑) でも、しっかり楽しんでください。来てくれている人は、Ballの魅力がわかっていると思うので。

 

――ありがとうございました。