「D館まつり」に足を運ぶ

ICU祭開催中の10月22日、大学と同窓会の共催で「ホームカミング『D館まつり』」が開催された。このイベントは、学生や卒業生に「D館」と呼ばれ親しまれているディッフェンドルファー記念館東棟(以下D館)が、近代建築の記録と保存を目的とする国際学術組織であるDocomomo Japanによって「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されたことを記念して行われたものだ。

この「D館まつり」ではICUの卒業生(ID93)で青山学院大学准教授の樺島榮一郎氏と、東京工業大学准教授の山崎鯛介氏の両氏によるD館についての講演会がダイアログハウスで行われた後、いくつかのグループに分かれてD館内で建築についてのツアーが行われた。その後、アラムナイハウスにおいて祝賀会が開催された。

講演会では今まであまり知られていなかったD館の建築当時の様子が紹介されたり、D館の建築的な特徴について説明がなされ、D館についての知識を深めることができた。また、講演会の後に行われたツアーでも、実際に自らの目でD館の建築を見て、その素晴らしさを実感することができた。今回は、「D館まつり」で紹介されたD館建築の興味深い点についていくつか紹介する。

D館では、建設当時珍しかったアルミサッシが多用されている。これらはまだ規格化される前の物で、D館のために特注で作られたものだという。また、規格化されている現代のアルミサッシに比べて窓枠が薄いので、建物の内部に多くの光を取り入れることができる。そして1950年代当時から今もなお残り続けるアルミサッシは非常に貴重なものだそうだ。

▲1958年の建築時からの貴重なアルミサッシ

D館では手すりが窓の外に設けられており、それがD館の特徴の一つになっているが、それらは全て「プレキャストコンクリート」と呼ばれる、あらかじめ形成されたパーツが組み立てられたものだ。また、手すりの窪みは打放しのコンクリートを軽快に見せる働きを持つそうだ。

▲プレキャストコンクリートの手すり

今回開催された「D館まつり」は、建築に興味を持っている私にとって非常に有意義なイベントだった。また、多くの卒業生のほか、冒頭にあいさつを行った日比谷学長や北城理事長ら多くの教職員が訪れ、盛況を呈していた。しかし、多くの教職員や卒業生が「D館まつり」に参加しているのにも関わらず、私のような現役の学生と思しき参加者の姿があまり見られなかったのが残念だった。現役のICU生は自分の好きな時に好きなだけICUのキャンパスを堪能することができる。だからこそ、このようなイベントに足を運んで自分の大学の建築についてさらに知識を深めてみてはどうだろうか。

 

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