恒例!!WG社員がICU入試を解いてみた!!

年末からお正月にかけて、Weekly GIANTS Co.(以下WG)では今年もICUの入学試験の問題を解く企画に取り組んだ。ただ、この時期の大学生のメンタルはだいぶ緩んでいる。入試を直前に控えた受験生諸君が見たらまとめて一喝したくなるような有様かもしれない。もちろん入学試験に対する準備も受験戦士諸君に比べればはるかに劣る。それでもICUに入学を果たしている以上、彼らは実際にICUの入試を受け、現在の受験生と同じ状況を数年前に体験し合格している。そんな彼らの入試に対する生の声をお届けすることでICUを受験する人たちの力にわずかでもなれれば幸いだ。また、今回使用した入試問題集は教学社編集部による『国際基督教大学(2018年度入試シリーズ)』である。

今回の参加者は全部で7名。人文・社会科学受験者が6名、自然科学受験者が1名である。また自然科学と人文・社会科学の差を比較するために自然科学受験者も人文・社会科学の試験問題を解いてみた。ATLASと英語のListeningに関しては、音声スクリプトが非公表のため今回の試験対象からは除外した。また人文・社会科学選択に偏っているのはWGがメディアサークルであるということが理由の一つとして推測される。なので自然科学選択で受験するのが不利なのではないかと心配する必要はない。それではさっそくWG社員の得点を見ていこう。

(正答数9割以上:☆ 8割以上9割未満:◎ 7割以上8割未満:〇⁺ 5割以上7割未満:〇)

 

英語(リーディング)

ペンネーム             正答数(全問正解で35)
①高野豆腐                                        29/35 ◎
②alka                                                23/35 〇
③ 鑰                                                  30/35 ◎
④らぺっしゅ          34/35   ☆
⑤イヴ                                                25 /35  〇⁺
⑥からあげ☆レモン                        25 /35  〇⁺
⑦真っ黒なホトトギス                       24/35   〇

 

人文・社会科学

ペンネーム             正答数(全問正解で40)
①高野豆腐                                        37/40 ☆
②alka                                                 27/40    〇
③鑰                                                     24/40 〇
④らぺっしゅ                                       29/40 〇⁺
⑤イヴ                                                 31/40 〇⁺
⑥からあげ☆レモン                           31 /40  〇⁺
⑦真っ黒なホトトギス                       35/40 ◎

 

自然科学(数学・物理選択)

ペンネーム             正答数(全問正解で32)
⑦真っ黒なホトトギス                       30/32 ☆

 

ここでそれぞれの社員の感想を見てみよう。各社員皆それぞれのバックグラウンド、大学に入学してから勉強した分野によってもICU入試に対する印象が大きく異なっている。様々な意見の中から自分にとって参考になるものを探してみてほしい。

 

①高野豆腐 

英語(リーディング) 29/35 ◎

人文・社会科学    37/40    ☆

実はICU高校から推薦入試で入学した私(ID21:2021年卒業予定の現学部1年生のことを指す)にとって、今回がICUの入試問題を解く初めての機会だった。ICUの合格を得てからも高校3年生の12月までは上位国公立大学や早慶の入試問題に対応した受験勉強を予備校で続けていたが、ICUの一般入試については今まで全くというほど知識が無かった。

【英語(リーディング)】

思ったよりも正答数が少なかったので正直ショックだった。前半の PART I(長文読解)で時間を使いすぎてしまい、後半のPART II(空欄補充)で焦ってしまったのが敗因だろう。リーディングは時間配分を考えずにのんびり回答を進めると私のように後半で時間が足りないことになるので、注意するべきだ。また、自然科学に関する文章では日頃見慣れない単語が出てくるので動揺せずに問題に取り組むべきだろう。

【人文・社会科学】

自分の予想以上に簡単だったので驚いた。しっかりと文章を読み込むことで読解をクリアすることができるだろう。

 

②らぺっしゅ 

英語(リーディング)35/36  ☆

人文・社会科学    29/40 〇⁺

初めてICUの一般入試問題を見ましたが、やはり「批判的思考」などICUが大切にしている考え方が盛り込まれていると感じました。余談ですが、2017年度の入試の際、学内アルバイトで会場にいたので、「あの時多くのID21はこの問題を解いていたのか」と感慨深かったです。ATLASと英語リスニングを解いていないので合格できたかは定かでないですが、できてるといいですね! 一般受験はしていませんが、ICUで様々な受験形態で合格した学生と一緒に学ぶことができて幸せです!

【英語(リーディング)】

英語問題に関しては、ほぼ満点を取ることができたので嬉しかったです。

【人文・社会科学】

帰国入試と一般の人文・社会科学の資料は似ていましたし、回答形式が選択式か小論文かが違う程度だと思いました。全体的に読んでいて興味深いものが多い気がします!

 

③alka 

英語(リーディング)23/35 〇
人文・社会科学   27/40 〇

【英語(リーディング)】
PART の穴埋めで爆死した。長文読解はICUに入学してから培ったスキルで上手く要旨を把握して設問に答えられたが、穴埋め問題はどれも悩んで時間をかなり使ってしまった。60分はそこまで長くないにも関わらず、穴埋め問題にたどり着く頃には集中力も切れかけていたように思う。初めに選択肢を見たとき、単語のレベルもそこまで高くはないと感じたのに、いざ選ぼうとするとなぜかどれもしっくりこないという事態に。もともと英語は全く得意ではないので、長文でそこまで失点しなかったのは運が良かったのかもしれない。

【人文・社会科学】
文章は世界史を勉強していればすんなり理解できるトピックが多くちりばめられていたが、知識問題では日本史に関連するものも混ざっていた。世界史選択だったので読みやすく感じられた。読解問題は、深く考えすぎて全体像を見失って間違えたものがいくつかある。知識問題は勘に頼ったら運良く合っていたり。受験から2年が経過し、かなり世界史の知識が抜けたなと感じる。

 

④鑰 

英語(リーディング)30/35 ◎
人文・社会科学   24/40 〇

【英語(リーディング)】
英語の問題は、個人的に英語の勉強を継続しているため比較的解きやすかった。ただ、PARTIIの穴埋め問題のテキストにハンナ・アーレントという哲学者について書かれていたのは驚いた。私はアーレントがどのような理論を展開し、主張していたのかを大学に入ってから学んだので、ICUの試験の受験者は問題を解くのに幅広い知識を持っていなければならないのだと再認識できた。

【人文・社会科学】
人文・社会科学の試験を解いてみたのは今回が初めてなので、いかに問題が複雑なものが多いのかを体感できた。特に世界遺産に関する問題はまったく歯が立たず、自分の知識不足を痛感した。

 

⑤イヴ 

英語(リーディング)25/36 〇⁺

人文・社会科学   31/40 〇⁺

私は、現在ID20の、一般入試で入学した2年生です。正答数は、英語が36問中25問、人文・社会科学が40問中31問でした。以上を踏まえ、今回約2年ぶりにICUの入試問題を解いてみた感想を書いていきます。

【英語(リーディング)】

こんなに分量が多かったものかと驚愕しました。時間が60分と決して長くないのにもかかわらず、長文が4つもあるのはかなり大変だと思いました。今回解いてみて、ICUで学んだからこそ解けたという問題も数問あったので、ICUで頻繁に耳にする英単語が問題に組み込まれていると感じました。そして受験生には、いかにすらすら英文を読む力が備わっているかが求められているように思います。

【人文・社会科学】

80分と時間はたっぷりあるので、いかに誤答を減らすかが大切になっていると感じました。英語力だけでなく高い日本語力も問われているのはもちろんのこと、一般教養が身についているのかも見られているように思いました。ICUの入試が他の私大と比べて異質であることを改めて感じさせられました。

最後に、久々に解いてみて、当時はかなり勉強していたのでそこまで難しくは感じていませんでしたが、改めて解いてみると難しかったです。かなり英語の点数が落ちていて、危機感を感じさせられました。

 

⑥からあげ☆レモン 

英語(リーディング)25/36 〇⁺

人文・社会科学   31/40 〇⁺

私は、4月入学の1年生で、入試方式は指定校推薦である。恥ずかしながら、受験生時代は1冊も赤本を購入したことがなく、よってICUの入試問題を解くのも初であった。

【英語(リーディング)】【人文・社会科学】

まず、文章の内容そのものが、読み物として洗練されていると感じた。特に、世相を反映し、ハンナ・アーレントについて多く言及している点だ。2017年といえば、前年にトランプ米大統領が誕生したことを受け、ポピュリズム研究の第一人者であるアーレントが世界的に再注目された年だ。単なる入試問題にとどまらず、読者に訴えかけるメッセージ性をも包含している。私は入試問題であることを半ば忘れ、1つの作品として楽しみながら読みこんでしまった。しかしながら、正確に解答するには教科横断的な広範な知識を要求する。ここに、リベラルアーツを標榜するICUらしさが看取できよう。受験生の皆さんには、入試本番までの日々を全力で過ごしてほしい。 

 

⑦真っ黒なホトトギス 

英語(リーディング)24/35 〇

人文・社会科学   35/40 ◎

自然科学      30/32 ☆

筆者は2017年度のICUの一般入試A方式・自然科学選択受験者である。したがって自然科学の問題の内容については鮮明に覚えており、回答するのはかなり容易だった。そのためこれから受験する者にはあまり参考にならないかもしれないが、大学受験経験者として、実際に受けた時と一度解いたものを解き直した今回を比較して感じたことを伝えようと思う。また実際には受験しなかった科目である人文・社会科学も解いてみた。こちらは初見なので理系科目を選択した学生の視点として紹介しておきたい。

【英語(リーディング)】

読みながらCritical Thinkingをすることも大切だが、それ以上に文章の書き手と設問者の意図を汲みつつ問題文と文章を照らし合わせながら設問への回答に徹することが重要である。内容もむしろ英語の方が人文・社会科学より人文・社会科学だったように思う。

【自然科学(数学・物理)】

問題を解く時間配分を上手く調整するのが大切だと思う。私がICUを受験した時はかなり数学に時間をかけたために物理を急ぎ足でやるはめになった。わからない問題があればどんどん飛ばすか、あるいは複雑な計算をしなくても公式のあてはめで解いていける理科科目を優先するなど方法は色々だろう。もちろん数学にせよ物理にせよ、基本的な暗記事項をド忘れすると失点する。一度解いたにもかかわらず満点ではないのはそういう事だと察してほしい。また、物理の問題で生活に身近な自転車の原理を力学の問題に絡めてきた問題は、ICUらしいなと思った。その問題の問いも普段解いてきた公式の適用というより現象の理解という感じだったので、公式などの知識が頭から抜け落ち始めている大学生にとっても非常に解きやすく、解いてて面白い問題だった。 

【人文・社会科学】

与えられた文献の文脈を追って答える文章読解問題の中に、ICUの人文・社会科学試験に特有の、歴史の細かい知識が無いと答えられない知識問題がいくつか散りばめられているという印象だった。知識問題ではまぐれのおかげで点数は良かったが、むしろ大半を占める文章読解をしっかり腰を落ち着けて解く方が重要だと思った。  

 

いかがだっただろうか。ICUの入試は、他の大学の入試に比べて特殊だと言われることが多い。今回はその特殊性の代表格ともいえるATLASや英語のListening試験を解いていないため、若干ICUらしさは失われてしまっているが、それでも人文・社会科学、英語(リーディング)、自然科学の各科目においてICU独自の題材選びがなされていることは間違いない。ぜひ入試前に過去問を解き、先輩方の感想と見比べてみてほしい。興味深いなと思った先輩の感想は試験本番に臨むにあたってきっと役に立つことだろう。

WG社員一同、入試本番の受験生の健闘を祈っている。

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